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第16回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 格の作り方と基本的な用法(属格)

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カレリア語のうち、本カレリア方言-ヴィエナ方言を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。
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GENETIIVI/属格

数ある名詞の格のうち、「属格」について学びます。
格の種類に関しては 第9回 名詞の格活用と場所格 を参照ください。

属格の作り方

属格は「~の」という意味で所有者を表す形です。
単数属格の語尾は -n で、単数語幹につけことによって作ることができます。単数語幹の作り方については 第12回 単数語幹と名詞のタイプ を確認してください。
また階程交替のある語の場合は、弱階程の語幹を使います。

サウナ kyly  > 語幹:kyly-   > 属格:kyly-n
女性  naini   > 語幹:naise-    > 属格:naise-n
家族  pereh  > 語幹:perehe- > 属格:perehe-n

人称代名詞、指示代名詞、疑問詞の属格形

人称代名詞の属格形は以下のとおりです。

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このまま覚えてしまいましょう。
複数形はすべて -eijän という形で終わっているので覚えやすいですね。

さて、お次は指示代名詞です。

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こちらもこのまま覚えましょう。
複数形は、人称代名詞と異なり -ijen という形で終わっています。
気をつけましょう。

そしてよく使う疑問詞 ken(誰)、mi(何)の属格形も確認しておきましょう。

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属格の用法:「~の」

属格は、名詞の前において所有者を表すことができます。

Tämä on naisen laukku. これは女性のバックです。
Se on ukon takki.      それはおじいさんの上着です。
Kenen poika hiän on?  彼は誰の息子ですか?
Stolalla on miun kirja.  机の上には私の本がある。

属格の用法:属格+後置詞

カレリア語の後置詞の多くは、前に属格を伴って使われます
以下は代表的例です。

後置詞            属格+後置詞
alla     ~の下       stolan alla     机の下(に)
yličči     ~の上        järven yličči     湖の上(に)
piällä    ~の上(表)     škuapin piällä    棚の上(に)
ieššä     ~の前        miun ieššä    私の前(に)
takuana   ~の後        kaupan takuana   店の後ろ(に)
viereššä   ~のそば(傍ら)   muamon viereššä   お母さんのそば(に)
lähellä   ~の近く       kylän lähellä   村の近く(に)
luona     ~のところ     ukon luona     おじいさんのところ(に)
kyličči    ~のそば(を通って)talon kyličči     家のそばを通って
piäličči   ~を越えて    kynnykšen piäličči 敷居をまたいで
jälkeh    ~の後(時間)     työn jälkeh    仕事の後(に)
kera    ~と一緒に    maijon kera    牛乳と一緒(に)
kešellä   ~の中央     pirtin kešellä     小屋の中央(に)
ympäri   ~の周り     muajilman ympäri 世界中(に)
vuokši   ~のため/せい   hänen vuokši   彼のため(に)/せい(で)
vaštapiätä  ~の向かい     ikkunan vaštapiätä 窓の向かい側に

例文

Hiän on miun veikko. 彼は私の兄弟です
Tämä kaunis naini on hänen čikko. この美しい女性は彼の妹です
Meijän pereh on šuuri. 私たちは大家族です(私たちの家族は大きい)
Onko heijän tuatto koissa? 彼らのお父さんは家にいますか?
Kenen kynä tämä on? これは誰のペンですか?
Missä on šiun kišša? あなたの猫はどこですか?

Veikko istuu ruokastolan takuana. 兄が食卓(の後ろ)に座っている。
Ikkunan alla on lämpöpatteri. 窓の下には暖房機がある
Talon ieššä on pieni piha. 家の前には小さな庭がある
Oven viereššä on sähkökatkuaja. ドアのそばには電気のスイッチがある
Huonehen kešellä on tivana. 部屋の中央にはソファがある
Auto ajau poštin kyličči. 車が郵便局を横切っていく

Tuatto istuu ikkunan alla tivanalla. 父は窓の下のソファに座っている
Tuaton luona on kišša. 父のもとには猫がいる

Työn jälkeh mie mänen kahvilah. 仕事の後、私はカフェに行く
Juon kahvie maijon kera. 私はコーヒーをミルク入りで飲む

Kenen kera šie pakajat karjalakši? 誰とカレリア語を話しているのですか?
Mie pakajan karjalakši kaverin kera. 私はカレリア語を友人と話します

応用

Miun huoneh on pieni.
Oven ieššä on sänky. Sänkyn vieressä šeinällä on šuuri kirjapolčča. Sänkyn vaštapiätä on kirjutušstola. Kirjoitušstolan ympärilläki on kirjapolčat. 
Oven vašemmalla puolella on konserttikannel. Tavallisešti mie harjottelen kannelta illallisen jälkeh.

[日本語訳]
私の部屋は小さいです。
ドアの前にはベッドがあります。ベッドの横、壁沿いには大きな本棚があります。ベッドの向かい側には机があります。机のまわりにも本棚が(複数)あります。
ドアの左側にはコンサートカンテレがあります。たいてい、私は夕食後にカンテレの練習をします。

学習後のつぶやき

ようやくそれぞれの格の説明に入りました。お次はいよいよ分格です。少しずつ表現がひろがりますね。
が、カンテレについて書かれた小文があったので、その紹介と訳を間にはさもうと思います。

>> カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - もくじ

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