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一度立ち止まって

2022年5月
第9波が来ていると言われている中、新型コロナ感染症は「5類感染症」に移行される。

2020年2月
手元にあったのは、“ほとんど風邪のような症状の感染力の高い病気が中国の方で流行っている”という曖昧な情報。
アルコール消毒を用意し、スタッフはマスク着用。
学科有志で行われる「映身展」を行った。

コロナ禍に突入してしまう、本当に直前。ギリギリ強行突破で開催出来た。

2ヶ月後には、気軽に外出出来なくなり、大学にも行けず、アルバイトも出来ない日々が来るとは考えてもみなかった。

なにより、私は大学に入ってから演劇しかしていなかった(当時はダンスも)。何かしらの稽古や舞台が毎月あった。

それがパタリと止まってしまった。

でも、私としては有難い日々でもあった。

なにしろ通学に片道約2時間半、往復5時間かかっていたので、オンライン授業が主になってくれたのは大変有り難かった。

あと、普通に2年生の時に授業をサボって稽古にばかり行っていた(他大学にいる時間の方が長かった)ために、単位が危うかったので、何も出来ずに授業を受けるしかない環境になったことも有り難かった。
おかげさまで、無事に単位を回収し、ストレートで卒業出来た。
今までで一番真面目にノートを取り、提出物も出して成績も上がった🖋


対面の時にも一緒に授業を受けていた3人で、オンライン授業になったらLINEで実況中継のようなやりとりをしていた。
もちろん会えないのは寂しかったけれど。


あと、コロナ禍直前にギリギリ受けられた芝居のワークショップで、演出家から「映画や舞台作品は1000本観てからだ」と言われていたのだが、
時間が出来たことにより、映画をたくさん観たり、本を読む時間か増えたことが大収穫だった🥕
2020年は映画100本以上、本も100冊近く読んだ。そのインプットの習慣は今も身についている。


確かに1年間大学には行けなかったし、舞台も長いことストップしてしまった。

でも4年生に上がってからは、キャンパスに通って授業を受けたし、有観客で卒業制作の発表もできた。

行きたくない飲み会だって、そもそも開催されなくなったから、好きな人とだけ会えるようになった。

人と会うことの価値が上がった。

忙しく飛び回っていたのに、急に家に籠ることになり、家族との関係性も顕著になったけれど。
(やってほしくなかったオリンピックは開催され、見たくもないのに親がリビングでつけているから、逃げ場がなかった。わたしには自室がない)

これはコロナ禍で書いたnote。


自分以外の体温に触れたくなる。

世の速度に抗いたくなる、し、わたしはそもそも適切な速度がまわりよりも遅い。

わからないことを、わからないまま、浮遊させてみたり、考え続けていたい。

普通に過ごしていたら、取りこぼしてしまいそうなことに目を向けたい。

ちょっとまってね✋🏻
1日30分だけ散歩に出ていたステイホーム期間
ミニシアターのイス
1つ飛ばしでしか座れなかった
誰もいない中庭
無機質キャンパス
オンライン演劇の公演に出演した
いつもの部屋が舞台になった
アクリル板のせいで全然話が聞こえない
でもいいバランスでスマホ置きになる


ステイホームと言われていた期間〜大学に通学しても良くなってからの間にわたしが撮った写真たち。
静か。でもしっかりと時間が進んでいたことの証。

コロナ禍を経て(まだまだ終わっちゃいないが)、物事と向き合う機会・時間が増えた。
私にとっては決して悪い期間ではなく、必要な期間だったと思う。

家族のこととも向き合う時間が増えたし(いくつかnoteに記しているので是非)、それをテーマに卒業制作も作った。

大切な人たちに、「有難う、大好きよ」と伝えることの大切さ。物事への眼差し。

少し立ち止まることが出来て、良かったのだ。

これから少しずつ、以前のような暮らし方に戻っていくのだろうか。

戻るのではなく、さらに新しいライフスタイルに更新されていくのだろうか。

はじめて草の上に足を下ろしたラプンツェルのように、わたしたちは新たに自由を手に入れるのだろうか。

変化の中にいるというのはワクワクする。
良い意味のワクワクにずっと身を任せていたい。

#いまコロナ禍の大学生は語る

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この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。

この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。

企画詳細はこちら:https://note.com/gate_blue/n/n5133f739e708

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