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黒の機械兵 第一話 たびだち#4

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「えーとな、体中をギザギザの虫が這い回るような、貫くような……そんな感じの感覚が暫く続くんだ、うん」
「え……あ、そんな記憶が、ある」
「聞いたこともあったか。そうか。ならよかっ……」
「いや、父さんから聞いた覚えはないけど」
「ぐ……ゴメンネ……」
いいよ。

何となくジョンの反応や父さんの説明からして、電気ショックとかそういう類のものなのかなと推測した。僕の前にいるもう一人の男の子が悲鳴を上げながら体をがくがく震わせ、それは確信へと変わる。

「うーん、マルコくんも量は平均的。でも属性は風か。珍しいなあ」
水晶に広がっていた紫色が、じんわりとまた透明に戻っていく。土は緑で風は紫ということなのか。
「じゃあ、次にトーリくん。やってみようか」
そう言うアガツマ氏の目は、なんとなく好奇心と哀れみを含んでいるように見えた。
……なんで? という気持ちを押し隠して、俺は術具の前に腰を下ろした。

「……気をしっかり持ってね」
シスターがぼそっと呟く。まって。なんでそんな不吉な感じなの。
ぎゅっとシスターが俺に密着して甘い香りがする。あ、このやわらか……
「ニギャーーーーーーーーー」
身体に電流が走った。シスターへの恋とかではなく、攻撃とかそう言う方向性で。

体感数時間にも及ぶ地獄の苦しみは、電気椅子処刑ってこんな感じかな? という悟りへと昇華し、やがて体中に流れる気体とも液体とも判じ得ないものを感知すると共にようやく終わった。
「はい、おつかれさま。転生者は大抵魔力量が多いから楽しみだったんだよね」
アガツマ氏が嬉しそうに言いながら記入する記録紙をシスターさんが目にし、驚いた顔をする。

「魔力量は極大。属性は……不明」
「極大!? は、嬉しいですけど、不明?」
「火水土風、そして聖魔。この六属性いずれにも属さない染色の反応が表れた場合、不明ということになってるんだ」
と言われても、拷問に耐えててまったく水晶の反応は覚えていない。
「きみの反応は、中心から爆発するよう輝く白色。これはいずれでもない」
「白色は聖じゃないんですか?」
「いいや? 聖は黄色だ」
ふむ? ならば白色とは一体なんなのだろう。

【続く】

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。