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娘の小学校受験体験記

このnoteはプロ専業主婦1年目の私が早稲田大学大学院経営管理研究科(夜間MBA)受験までの道のりや学生生活、仕事と育児の両立、人事のお仕事などについてつらつらと書き連ねているものです。
今回は娘のお受験(小学校受験)について書いていきます。

お受験の世界との出会い

それは本当に突然訪れました。自己紹介記事でも触れたように、私(と夫)は世界一多様性のない田舎町(私調べ)で生まれ育ちました。
バブル期に作られた郊外の新興住宅街。県境を越えて大阪や奈良に行けば私立小学校もあったのでしょうが、電車は1時間に1~2本、そもそも最寄り駅に行くまでもこれまた1時間に1~2本しかないバスに乗らないといけないような場所です。地元の公立小学校に行かない人は1人もいませんでした。

一方の娘は都内にて共働きの両親のもと生まれ、同居の祖父母(私の実両親)がいるおかげで保育園は全落ちし、家から一番近い幼稚園に通います。キリスト教系ではありますが、平仮名カタカナは習わない代わりにどれだけピカピカの泥団子を上手に作れるかをしっかり習得してくるようなどろんこ系幼稚園で、元気いっぱい過ごしていました。
当時の私はというと、幼稚園には珍しいフルタイムのハードワーカーな母であり、持ち前の人見知りに加えコロナ禍まっただ中。ママ友はほぼいませんでした。

そんなある日、近所の公園にて同じ幼稚園に通っていた娘の2学年上の女の子ファミリーに会い、彼女が某有名私立小に進学していたことを知るのです。

有名人のご子息ご令嬢しかご縁がないと思っていたあの私立小に身近な子が通っているとは!あのどろんこ幼稚園からでも私立小に行けるの??この娘はこの年でもう有名大進学まで約束されているの?!もう衝撃でした。さらに彼女だけでなく同じ幼稚園から複数名進学していることも判明します。そのうちの1人は娘が仲良くしている男の子のお兄ちゃんでもあり「弟くんもすでにお受験に向けて準備しているよ」と。
なるほど、確かに周りにはたくさんの私立小がある…選択肢があることすら気づかなかった。

目を丸くしていると、年中さんからお受験専用の塾に通っていたこと、意外と私立小も共働きのご家庭が増えていることなどをとても親切に教えてくださいました。

早速娘に話してみると
「〇〇くんとはなれちゃうのいやだー!それなら私も○○くんと同じがっこうにいくー」
即答。

大した習い事もさせていないし、毎日幼稚園でどろんこになっているだけなので、ひとまず塾の体験にでも行ってみるかと初めて小学校受験の門を叩いてみるのでした。

誤った先入観への気づき

小学校受験というと「詰め込み教育」みたいなステレオタイプなイメージしか持っていなかった私は、小学校受験の塾(通称:お教室)で衝撃を受けます。
まず、娘がめちゃくちゃ楽しそう!!
工作に歌に体操。お行儀の良い、質の高い遊びをひたすらしているのです。計算問題とかをさせられるのかと思ったら大違い。親も娘と一緒に学ぶことが多く、自分の世間知らずさを痛感しました。それから週1回通い始めるのですが、なんだか娘は割とデキる子でして(と上手いこと思わせてもらえまして)、最初に教えてもらったお教室ではちょっと物足りなさを感じるようになり。数か月後、上手く乗せられた親子はより「お受験モード」なお教室に転校するのです。
なお、私がMBAに行こうかなと思ったのは娘をこのお教室に毎週土曜日に通わせ始めたことも少なからず影響しています。(土曜日が暇になりすぎたため)

走り出したら止まれない構造と気持ちの変化

しかしこの後、気軽な気持ちでお受験スタートをしてしまった能天気な親に数々の洗礼が訪れます。
転校した先のお教室では生徒数も段違いに多く、娘もお友達がたくさんできてとっても喜んでいました。しかし年長に上がり受験が近づくにつれ高まる本気モード。こちらが申し訳なるほどの周囲の親の熱心さ。増える授業日数と頻繁に行われる先生との面談。降りられないベルトコンベアーに乗せられるがまま、冬期・春期の講習…と莫大な授業料がかかっていきます。(課金した金額で車1台は買えたな・・・幼児教育ビジネス恐るべし。)

面接対策では
先生「好きなお母さんのお料理は?」
娘 「うちではおばあちゃんがご飯を作ってくれます♪」
・・・とんでもない気まずさも経験。

それでも、娘の希望に沿うようにと親子で紺の上下スーツを揃え、願書配布開始日に合わせて願書をもらいに行ったのですが
ある日、ある朝、娘が言ったのです。

「小学校は家の近くがいい。毎日いっぱい寝ていたい。」

本人が○○くんと同じ学校がいいと言ったので始めたお受験、莫大な時間とお金を費やしたのに!!と衝撃的ではあったのですが
少々の場違い感と莫大なお金にも疲れていたので、本人が言うならもうやめようとプツっと糸が切れたようにお受験本番2か月前に退塾
先生方からは「は??このタイミングで?!?!」と猛反対されましたが気持ちが切れたら仕方がない。我が家のお受験戦争はあっさり終了しました。

今改めてお受験に思うこと

改めて、私は小学校お受験アンチではありません。一時期、選抜された子どもばかりの環境に身を置くことは多様性のない社会に入れることではないかと気になった時期もありましたが、ポロっと相談した兄から「お前の思う多様性ってなに?私立小には公立小とはまた違う(俺たちの知らない)多様性があると思うけど」と言われ、それもそうだなと思っています。
また、お受験は想像以上に子供たちが楽しむことに重きを置かれており、家族全員で四季を感じたり伝統行事を重んじることが大切といわれるのでお受験があったことで意識的に家族3人で毎朝近くの神社まで散歩したり、お団子を手作りしてお月見を楽しんだりとたくさんの思い出ができました。
それに何より、見学に行った私立小学校の設備や環境は本当に素晴らしく、先生方の質の高さも実感しました。少しでもお受験が気になっている方はぜひお教室や志望する小学校の見学に行かれたらいいと思います。
一方で、子どもの意志を尊重したいなとは思っていたので、我が家の場合は気持ちが変化したタイミングできちんと立ち止まり、娘の思いを優先できたことはよかったなと思っています。

公立小学校の良さ

最後に、娘は公立小学校に行って本当に良かったと思っています。
1つはやはり多様性。ここは東京、外国籍の子もひとり親の子も障がいのある子も裕福な子も色々います。娘の話を聞くだけでめちゃくちゃ面白い。
私自身は世界一多様性のない町で育ったなんて言いましたが、それでも自分の裕福さに全く気づいていないご令嬢やスーパーポジティブで全然弱者じゃない障がいのある同級生(のちのパラメダリスト)がいたことは未だに価値観や人生観に大きく影響しています。多様性には色々あるとはいえ、同じ地域に同じ時代に生まれたという共通点のみで、選抜されていない子どもたちがいる環境でしか学べないものがある気がします。振れ幅が大きい場所で、たくさん気づいたり、失敗したりしてほしい。

2つめは負担のなさ。共働きを続けていたら大学まで私立でも大丈夫だったとは思いますが今の私のように思い切って仕事を辞めるなんて決断は金銭的な意味でできなかったでしょう。娘のためとはいえ親が背伸びしすぎて縛られるのは健全ではないかなと思ったりもしました。
また、時間的な余裕もあります。朝はゆっくり寝て睡眠をしっかり取れるし放課後には近所のお友達と自由にお家を行き来できるのも公立ならではです。習い事もたくさんできるので今は娘が興味あると言った習い事をたくさんさせることができています。

3つめは自分の進路を自分で意思決定する機会。大学受験で苦労した身からすると小学校受験という楽しいお遊びのような試験1回で済ませてあげられたらどんなに楽だろうとおもったのですが、振り返ると自分で情報収集しながら自らが所属するコミュニティを選択し勝ち取った経験は、それなりに価値あるものな気がしています。生まれながらに与えられた環境をどう判断し、そこからどのように自ら選ぶ環境へと羽ばたいていくか。自分自身で責任をもって選ばせる機会は1回でも多い方がいいのかなと。小学校受験を辞めたタイミングでそこまで考えていたわけではなかったので、私自身が社会人になってから大学院に行き、修了した今だから思うことかもしれません。今は中学受験も私たち親から提案することはないかなと思っています。今の公立小は中学受験率が高いので周りの影響で挑戦したいというかもしれませんが。

長くなりましたが、そういった教育観を夫婦で何度も話せたという意味では
お受験(受けていないけど)はとってもいい機会だったなと思っています。

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Megumi Sakamoto
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