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「文章なんて書けません!」という方に贈るちょこっとTIPS【前編】

さて、今回は表題のとおり「文章の書き方」に関するお話し。

気がつけば、編集や、書くことを生業にするようになって10年近く経ちますが、文章って、こうでなければならないというルールがある一方で、そこは自己判断で、という割と曖昧な部分もたくさんあるので、いまだに私も「これでいいんだっけ……?」と思って文献などを調べることがよくあります。

でもそれはあくまでも、ライティングの決まりやテクニックの話。

私は記事を作るときに「作り方」で悩むことはありません。それは、ちゃんと記事をどうやって作ればいいかわかっているからです。

採用広報の仕事を始めてから「書きたい気持ちはあるけど、そもそもどうやって書けばいいかわからないんです」という相談をいただくようになりました。

そうですよね。
例えば、雑誌をぱらっとめくって、素敵な記事を見つけたとしても、それがどんな風にできあがったものなのか、編集の仕事をしていなければわかりません。
学校教育においても、作文の課題は出るけれど、じゃあどうやって構成を組み立てるのか、どんな表現手法があるのか、という具体的な手法は教えてもらえなかったように記憶しています。みんな400字詰めの原稿用紙を前に、なんとなく書いていた。

「文章を書く」って、結構大変な作業です。
例えば、このnote記事のようなものを作る場合、

まず言いたいことはなんなのかを言語化し、ターゲットとなる読者について考え、そのうえで適切な構成を組み立て、読みやすい文章を書く

という一連の流れを踏むわけですが、作文やレポートに苦しみ、書くことに苦手意識がある方にとっては、なんとも果てしない作業のように思えるでしょう。
そして、読み手にわかりやすく書くためには一定の日本語への理解も必要です。

しかし、緻密で技巧を凝らした文章表現や、表現そのものに個性が必要になるような小説や随筆ではなく、情報を伝えるために書く記事やコンテンツは、まず第一に 「自分が伝えたいことが伝えたい人に分かりやすく届くかどうか」 が大切。
そしてそれは、ちょっとしたTIPSを知っておけば、目が眩むほど高いハードルではないんです。

もちろん多少の努力は必要ですが、やり方がわからないまま、模索するのと、今日これからお話しするやり方を知ってトライするのでは、結果が全く違います。
なので、まずはこれをじっくり読んで、とりあえず書いてみる勇気を出してみてくださいね。

前編の今回は「書く前にやること」について、後編の記事では、いざ書くときに知っておくとプロフェッショナルに近づける、ライティングのTIPSをご紹介します。

【前編】←この記事
▶︎ 文章を「書く」前にやる4つのSTEP


【後編】
▶︎ 書くのが苦手だと思っている方がやってしまいがちなこと3つ
▶︎ 意外と知られていない文章のルール

今回は、ざっくりとコンテンツ作成の流れを知ってもらうことが目的なので、あまり細かいことは書きませんでしたが、もし「こういう場合はどうしたらいいの……!」という疑問があれば、いつでも私Mirandaまでご連絡ください。懇切丁寧に解説しつつ、壁打ちも全然付き合います。Twitterのリンクを置いときますね↓

さて、では前置きが長くなりましたが、順にお話ししていきましょう。

【ちょっと待った!】 いきなり書き始めていませんか?

慌てて書かなくていいのよ!

文章を書く時に、なんとなく「〇〇について書こう」という曖昧なイメージだけで、突然書き始めていませんか? 文章を書くことに苦手意識がある方が、結構やってしまっているのではないか、と思うのが、このいきなり書き始めてしまうパターン。

プロのライターでも、いきなり文章を書き始めることはありません。

書き始めるまでに、少なくとも4つのSTEPがあります。

【文章を書き始めるまでの4つのSTEP】
STEP①:まずは「言いたいことをひとつに絞る」
STEP②:「プロット作り」をサボらない
STEP③:大見出しで記事の流れを確認する
STEP④ :そのエモエピソード、捨ててください

今「うげ! そんなにやることあるの?」って思いましたね? でも大丈夫です。ちゃんと説明します。

【怖がることないの】 書くための道筋を整えておこう

コンテンツを作成するにあたって、この準備をきちんとやっておくことは「目的地に向かう道のりを、乗り換え路線と時間まで含めてちゃんと把握しておく」のと同じ。「書く」作業って実際は最終の仕上げの工程なんですね。

計画を立てないと時間も労力も無駄になるの

突然パソコンを開いて書き始めるのは、いきなり最終ステップに着手するようなもの。それはプロであっても、効率よく書けません。

では、どんなSTEPを踏んでいるのか、一つずつみていきましょう。

■STEP①:まずは「言いたいことをひとつに絞る」

まず、書くのが苦手、という方は、大大大前提として、ひとつのコンテンツで伝えたいことは、ひとつに絞ってください

言いたいことをいくつもならべながら、ひとつのまとまったコンテンツに仕上げるのは中級レベル以上の話なので、最初はまず絶対に欲張らない

いくつも言いたいことがある場合は、言いたいことの数だけコンテンツを作るのが賢明です(一つひとつ書いた方がコンテンツの本数も稼げますしね)。

■STEP②:「プロット作り」をサボらない

言いたいことが絞れたら、つい書き始めたくなってしまいますが、その前にプロットを作ります。
プロットってなんぞや、というと、コンテンツで言いたいことをきちんと説明するための設計図のようなイメージですね。

▶︎タイトル
▶︎誰に向けた文章なのか
▶︎最も伝えたいメッセージ
▶︎大見出し(記事全体の構成)
▶︎大見出しごとのセクションに書く内容のサマリー

メモ書き程度でもいいので、最低でもこのくらいの要素は事前に用意しましょう。
なぜこれが必要かと言うと、記事の骨子を事前に整理しておかないと、書いているうちに内容が飛躍したり、何を書いているのか分からなくなったり、といった迷走状態(コンテンツの破綻)に陥る危険性があるからです。

面倒に思う方もいるかもしれませんが、このプロット作りを怠ると、結局書いているうちにあちこち破綻して、イライラするのが関の山。
これは絶対にやってみてください。

■STEP③:大見出しで記事の流れを確認する

きっと今「そもそも大見出しがうまく作れないんだが」と思った方もいるはず。私も駆け出し編集者だった頃、記事のラフに入れる見出しがうまく書けなくて、何度もボールペンをへし折りたくなったので、よくわかります。

実際のコンテンツにそのまま使えるレベルで、ある程度セクションの内容がわかる大見出しのサンプルを作っておくのが理想ですが、文章が苦手な方はそれすらも苦痛に感じてしまいそうなので「この案件の背景」とか「どうして自分はそう思ったのか」といったラフな見出しでも一旦構いません。

なぜ大見出しを並べてみることが必要かというと、段落ごとの因果関係を明らかにして、流れが破綻していないかを確認したいからです。
とにかく、書きたいことを説明する流れ(段落のつながりの因果関係)が作れているのか、をよく考えて段落を並べてみてください。

【ちなみに……見出しって結構大事なのよ、という話】
ときおり、見出しをおざなりにつけている文章を見かけることがあります。これってとても残念なこと。なぜかというと、見出しはその記事のサマリーになる重要な役割があるからです。見出しだけ読んでも、なんとなくコンテンツの内容を類推できるようにする、という意識で考えてみてください。

魅力的な見出しをつけることで「え、この段落には何が書いてあるの?!」とワクワクさせることができれば、コンテンツをしっかり読んでもらえますよね。

■STEP④:そのエモエピソード、捨ててください

キャッチーさを求めて誤解を生みそうな見出しにしてしまいましたが「エモいことを書くな!」と言っているわけではありません。
その段落で語るべきことと関係ない話は思い切って書かない、たとえそれがどんなにエモかろうとも、という意味です。

大見出しを並べてみて全体の構成をざっと確認したら、各段落ごとのサマリーを作成します。このとき、まず、その段落に入れたいと考えているエピソードをとりあえず全部書き出してみます

そして、ここからが「超重要」

書き手の欲望として、みんなが食いついてくれそうなエモいエピソードをふんだんにつめこみたくなる気持ちはわかります。しかし、

「見出しに書いた内容の説明にならないエピソードは、どんなにエモくても潔く捨てる」
「見出しに書いた内容の説明にならないエピソードは、どんなにエモくても潔く捨てる」
「見出しに書いた内容の説明にならないエピソードは、どんなにエモくても潔く捨てる」

という作業が非常に重要です。すっごく大事なことなので、三回言いました(笑)
これ、キレのある見出しを作るよりもずっと大事なことなんです。
どんなに素敵な話や面白い話でも、段落や、全体の内容と関係ないエピソードは読む人にとって雑音にしかなりません。

思い切って捨ててください。

このときちょっと気をつけてほしいのは、手書きの場合でも、PCなどで作っている場合でも、消す項目は取り消し線を入れる程度にして残しておいてください
この段階で「いらないな」と思ったエピソードが、実際に書いてみた際に「やっぱり入っていた方が説得力があるな」と思い直すこともあるからです。

【準備完了】 さあ書き始めましょう!

迷わず書き進めていいのよ

ここまでの作業をやっておけば、あとはもう書くだけ。
プロットで組み立てた通りに書き起こしていけばいいので、思っている以上に迷わないはず。

記事ってどっから考えればいいの……と感じていた方は「今から書くべきことを整理しておく作業」を一度ぜひ試してみてください。

書いていると筆が乗ってきて、プロットに書いていないエピソードなどを思い出して、追加したくなってしまうことがあるかもしれません。そういうときは、一度冷静になってプロットに戻り「本当に必要なエピソードかどうか」を吟味してくださいね。

【ちょっと補足:「流れが破綻していないってどういうこと?」という話】
よく資料の作り方や、メールの書き方なんかで「結論を先に書いてから理由を説明しなさい」という指南がありますよね。
そういうコンテンツの型を解説した本やWEB記事がたくさんあるので、そもそも流れを考えるのもムリ……という方は一度そういうものに目を通してみるのもおすすめです。

ただ、個人的には型にとらわれすぎずに「言いたいことを読み手に理解してもうための話の流れ」を自分で考えられる力も大事だと思っています。
見せ方のバリエーションはたくさんあるので、かならずしも「結論を先に書く」みたいなセオリーに当てはまらないコンテンツもたくさんあります。
自分が「これいいな」と思う記事の見出しを書き出して構成を眺めてみたり、段落を並べ替えてみたりと試行錯誤を重ねるのも、長い目でみてコンテンツをゼロから作れる力が身につきます。

苦手だな、やだな、と思うのはやり方を知らないから

やり方さえわかれば、闇雲にストレスを感じずにすむの

例えば、英語が苦手だなって思う人は、英語の文法や単語を知らないからそう思うわけだし、料理が苦手だなって思う人は、食材をどう調理すれば美味しくなるかを知りません。
未知のことに積極的になれないのは、仕方がないこと。

だけど、やり方を学んで、実際に行動してみたら、いつのまにか難なくできるようになって、気が付いたらそれが楽しくなっていた、っていう経験はありませんか?

もしも今まで、どういう手順で文章を書けばいいのか見当もつかない、と思ってぼんやり空を見上げていた方がいたら、今回ご紹介したやり方でまずはひとつ、記事を書いてみてください。

それから、書いたものは、ある程度のところで一旦人に読んでもらいましょう。ずっと文字を連ねていると「ああ、ここはもっとこうかな」とか「こうした方がわかりやすいかな」という推敲が止まらなくなってしまい、全体がわかりにくくなってしまった、ということがあります。

1日寝かせてみて、翌日冷静に見てみる、というのもありですが、もし見てくれる人がいるのであれば、サッと一読してもらった感想をもらいましょう。
自分では気が付かなかった論理の破綻や、読みにくさを教えてもらえますよ。

さあ、後編の記事では、実際に文章を書く時に意識したいTIPSについてお話しします!

※そして、本当はこの記事に「インタビュー記事の書き方」も入れていたんですが、ちょっとあまりにも長くなってしまうので、今日は一旦ここまでにしておきます。

マネーフォワード 採用広報部 Miranda.


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