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35年間、大学教員として勤務。1997年に博士号(経済学)取得。色彩心理学術協会(CP…

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35年間、大学教員として勤務。1997年に博士号(経済学)取得。色彩心理学術協会(CPAA)の講座を受講し、色の奥深さに魅了される。カラフルスフィアのカラーセラピストの資格を取得。多くの学生の進路・人生相談に乗ってきた経験をセラピーに生かせると考えている。文章を書くことが大好き。

最近の記事

色のメッセージを受け取る#6「赤」に働きかける子育て支援制度

昨今の大学生は、就職活動で希望の企業から内定を得るために、入念な準備をする。特に採用側の心に響くような志望動機を作り込むことが重要らしい。私の所にも学生から、お知恵拝借の依頼が来る。ある学生から「僕の第一志望の〇〇では、朝5時出社で、夜8時に消灯です」という話を聞いた。〇〇は大手商社で、「文系男子の就職したい企業」ナンバー1の企業らしい。「出社すると、コンビニの商品(おにぎりとかサンドイッチのことか?)が数品選べるようになっていて、それを朝食として出社後に食べる」のだとか。

    • 色のメッセージを受け取る #5漱石『虞美人草』にみる紫の危うさと美しさ

      「紫」には美というキーワードがある。紫の美は、ミステリアスな美しさである。これは紫が相反する2色が合わさった色であることに由来する。紫は、「情熱的」で「生命力」あふれる赤と、「思考」「冷静さ」を意味する青という極めて対照的な二色を混ぜた色である。この赤と青がせめぎ合いながら、きわどいバランスを保っているのが紫の魅力であり、危うさでもある。そして、そこから神秘的な美を象徴する色となる。 夏目漱石の『虞美人草』では、この紫の美が余すところなく語られている。小説の主人公、藤尾は「

      • 色のメッセージを受け取る #4 色の力を借りる

        人は無意識のうちに、色の力を借りようとする。色の勉強を始めてから、自分自身の体験にハッとすることがある。 私には黄色の服を好んで着ていた時期がある。色の意味を深く学ぶ前のことである。その期間は、職場(大学院)のある委員会の取りまとめ役を務めていた時期と重なる。その職場は女性教員の比率が1割で、男性優位の環境。自分自身が、同僚から信頼されているとは思えず、不安を抱えながらの船出だった。加えて、感じの悪い、いわゆる「いけず」な男もいる職場だ。私は、そんな同僚たちの意見を取りまと

        • 色のメッセージを受け取る#3中国共産党の「赤」の補色を選んだのは…

          カラーの勉強を始めてから、思わぬ場面で色の意味に気づくことがある。今回は、台湾の総統選でシンボルカラーとして使用された「緑」について書いてみたい。政治活動にも色の意味が反映されていて、人々の行動と色が分かちがたく結びついていると深く感じ入った。 2024年1月13日は、台湾の総統選の投票日であった。当日の夜、与党の民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が勝利宣言を行った。その集会で、頼氏をはじめとする民進党の幹部が着用していたのが、緑色のジャンパーであった。民進党の紹介動画によると

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          色のメッセージを受け取る#2自立の時 

          私は昨年、定年を迎え退職した。退職する前に興味津々だったのは、退職後に、自分が着たいと思う服がどんな風に変わるのかということだった。現役の時は、仕事優先の洋服選びをしていた。職場でどのように見られたいのかが、洋服を購入するときの基準だったように思う。 退職した春先に、真っ先に気になったのがオレンジ色のコートだった。かなり派手な色で人目を惹く。本当にこんな目立つ色のコートを私は着るのだろうか、と自問自答しつつ、購入を決めてしまう。 そして、改めてオレンジ色のキーワードをおさ

          色のメッセージを受け取る#2自立の時 

          色のメッセージを受け取る#1白の魔法  

          「白タイツをはくと気分が上がる」とは、K-BALLET TOKYOの芸術監督である熊川哲也さんの言葉である。古典バレエ『白鳥の湖』で主役の王子に抜擢されたある男性ダンサーが、熊川さんからもらったアドバイスという。白タイツを着用すると気分が上がり素晴らしいパフォーマンスを発揮できるので、リハーサルの際にも本番同様、白タイツで臨みなさいということらしい。ファンクラブ向けの広報誌で印象に残った白に関する逸話である。 なぜ「白タイツをはくと気分が上がる」のだろうか。それは、白タイツ

          色のメッセージを受け取る#1白の魔法