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35年間、大学教員として勤務。1997年に博士号(経済学)取得。色彩心理学術協会(CP…

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35年間、大学教員として勤務。1997年に博士号(経済学)取得。色彩心理学術協会(CPAA)の講座を受講し、色の奥深さに魅了される。カラフルスフィアのカラーセラピストの資格を取得。多くの学生の進路・人生相談に乗ってきた経験をセラピーに生かせると考えている。文章を書くことが大好き。

最近の記事

色のメッセージを受け取る#8 東京都知事選にみる色

2024年7月7日の東京都知事選に向けて、選挙戦が始まった。現時点では、現職の小池百合子氏が有利という。その一方で、ネット上で候補者の一人、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が話題になっていると聞き、YouTube配信された石丸氏の記者会見を視聴した。 まず小池氏は、赤の強いパワーを発揮して生きてきた女性だ。彼女の半生をつづった『女帝 小池百合子』(石井妙子著、2020年、文藝春秋)を読むと、彼女の生き様は赤のキーワード「情熱」「エネルギー」「勝利」をそのまま体現していること

    • 新米教師のあなたへ:色を意識して効果的な授業を

      良い授業とは何だろう。 わかりやすい授業、面白い授業、ためになる授業、心に響く授業、思考力を鍛える授業…。これまで試行錯誤しながら授業を行ってきた。「教授法」なるものは本格的に学ばないまま、自分の経験と工夫に頼って、やみくもに力まかせに授業をやってきたように感じる。 退職して1年間のブランクを挟んで、この4月から非常勤で週1回、大学の講義を担当するようになった。退職後に色の勉強をしたことが、授業に役に立っていると実感する。この春から新米教師として教壇に立っている人に、役に立

      • 色のメッセージを受け取る #7 日本人女性の色

        ある海外の大都市に数年間、滞在した時のことである。その都市周辺には、たくさんの日本企業が進出し、駐在員の家族も含めて数万人規模の日本人が住んでいた。日本人学校も整備されていて、街のあちこちで日本人の姿を見かけたものである。 現地駐在員の奥様方は、日本にいる時よりも時間的に余裕がある。通いのお手伝いさんを雇っている家庭が多く、家事の負担が少ないのである。また、ご主人が勤務する日本企業が、運転手付きの車を家族が利用できるように便宜を図っていた。貧富の格差が大きいこの都市では、治

        • 色のメッセージを受け取る#6「赤」に働きかける子育て支援制度

          昨今の大学生は、就職活動で希望の企業から内定を得るために、入念な準備をする。特に採用側の心に響くような志望動機を作り込むことが重要らしい。私の所にも学生から、お知恵拝借の依頼が来る。ある学生から「僕の第一志望の〇〇では、朝5時出社で、夜8時に消灯です」という話を聞いた。〇〇は大手商社で、「文系男子の就職したい企業」ナンバー1の企業らしい。「出社すると、コンビニの商品(おにぎりとかサンドイッチのことか?)が数品選べるようになっていて、それを朝食として出社後に食べる」のだとか。

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          色のメッセージを受け取る #5漱石『虞美人草』にみる紫の危うさと美しさ

          「紫」には美というキーワードがある。紫の美は、ミステリアスな美しさである。これは紫が相反する2色が合わさった色であることに由来する。紫は、「情熱的」で「生命力」あふれる赤と、「思考」「冷静さ」を意味する青という極めて対照的な二色を混ぜた色である。この赤と青がせめぎ合いながら、きわどいバランスを保っているのが紫の魅力であり、危うさでもある。そして、そこから神秘的な美を象徴する色となる。 夏目漱石の『虞美人草』では、この紫の美が余すところなく語られている。小説の主人公、藤尾は「

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          色のメッセージを受け取る #4 色の力を借りる

          人は無意識のうちに、色の力を借りようとする。色の勉強を始めてから、自分自身の体験にハッとすることがある。 私には黄色の服を好んで着ていた時期がある。色の意味を深く学ぶ前のことである。その期間は、職場(大学院)のある委員会の取りまとめ役を務めていた時期と重なる。その職場は女性教員の比率が1割で、男性優位の環境。自分自身が、同僚から信頼されているとは思えず、不安を抱えながらの船出だった。加えて、感じの悪い、いわゆる「いけず」な男もいる職場だ。私は、そんな同僚たちの意見を取りまと

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          色のメッセージを受け取る#3中国共産党の「赤」の補色を選んだのは…

          カラーの勉強を始めてから、思わぬ場面で色の意味に気づくことがある。今回は、台湾の総統選でシンボルカラーとして使用された「緑」について書いてみたい。政治活動にも色の意味が反映されていて、人々の行動と色が分かちがたく結びついていると深く感じ入った。 2024年1月13日は、台湾の総統選の投票日であった。当日の夜、与党の民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が勝利宣言を行った。その集会で、頼氏をはじめとする民進党の幹部が着用していたのが、緑色のジャンパーであった。民進党の紹介動画によると

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          色のメッセージを受け取る#2自立の時 

          私は昨年、定年を迎え退職した。退職する前に興味津々だったのは、退職後に、自分が着たいと思う服がどんな風に変わるのかということだった。現役の時は、仕事優先の洋服選びをしていた。職場でどのように見られたいのかが、洋服を購入するときの基準だったように思う。 退職した春先に、真っ先に気になったのがオレンジ色のコートだった。かなり派手な色で人目を惹く。本当にこんな目立つ色のコートを私は着るのだろうか、と自問自答しつつ、購入を決めてしまう。 そして、改めてオレンジ色のキーワードをおさ

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          色のメッセージを受け取る#1白の魔法  

          「白タイツをはくと気分が上がる」とは、K-BALLET TOKYOの芸術監督である熊川哲也さんの言葉である。古典バレエ『白鳥の湖』で主役の王子に抜擢されたある男性ダンサーが、熊川さんからもらったアドバイスという。白タイツを着用すると気分が上がり素晴らしいパフォーマンスを発揮できるので、リハーサルの際にも本番同様、白タイツで臨みなさいということらしい。ファンクラブ向けの広報誌で印象に残った白に関する逸話である。 なぜ「白タイツをはくと気分が上がる」のだろうか。それは、白タイツ

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