見出し画像

色のメッセージを受け取る#3中国共産党の「赤」の補色を選んだのは…

カラーの勉強を始めてから、思わぬ場面で色の意味に気づくことがある。今回は、台湾の総統選でシンボルカラーとして使用された「緑」について書いてみたい。政治活動にも色の意味が反映されていて、人々の行動と色が分かちがたく結びついていると深く感じ入った。

2024年1月13日は、台湾の総統選の投票日であった。当日の夜、与党の民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が勝利宣言を行った。その集会で、頼氏をはじめとする民進党の幹部が着用していたのが、緑色のジャンパーであった。民進党の紹介動画によると、「緑」は同党のシンボルカラーのようである。

今回の総統選の争点は、台中関係つまり中国との距離をどのようにとるのかということであった。民進党の頼氏は、立候補した3候補の中で「最も中国と距離をとる」「台中接近はしない」という現状維持の立場から選挙戦を闘った。

「緑」には「スペース」という意味がある。自分のスペースを大事にして、心に余裕を持たせバランスをとるという意である。民進党のシンボルカラーにはまさにこの「緑」の意味がそのまま反映されているようだ。台湾の人々は、中国との関係について調和を保ち、距離を置く現在の関係を維持するという民進党の方針に賛意を示したのである。

さらに面白いことに、「緑」は「赤」の補色である。そして「赤」は中国共産党のシンボルカラーである。台湾の民進党は、複雑な関係にある中国共産党のシンボルカラー「赤」の補色を自分たちの象徴として選んだのである。補色関係にある色同志は、相乗効果を発揮する。お互いがお互いの強みを引き立て合い、相手の弱点を補い合う関係である。これは、中国と良い関係を保ちつつ、お互いが利益を得られるような関係を維持したいという民進党の意思の表れではないか。

「緑」には「心の真実を生きる」というキー・ワードもある。台湾の人々は、急速に中国と接近することは望まず、かといって鋭く対立することがない良好な関係を志向しているのであろう。

私たちが色を選択するとき、その色は、私たちの深層心理や思想信条を的確に表してくれる。色のメッセージを読み解く醍醐味である。

国民党の集会
https://www.youtube.com/watch?v=frmeaEx2MV0


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?