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色のメッセージを受け取る#1白の魔法  

「白タイツをはくと気分が上がる」とは、K-BALLET TOKYOの芸術監督である熊川哲也さんの言葉である。古典バレエ『白鳥の湖』で主役の王子に抜擢されたある男性ダンサーが、熊川さんからもらったアドバイスという。白タイツを着用すると気分が上がり素晴らしいパフォーマンスを発揮できるので、リハーサルの際にも本番同様、白タイツで臨みなさいということらしい。ファンクラブ向けの広報誌で印象に残った白に関する逸話である。

なぜ「白タイツをはくと気分が上がる」のだろうか。それは、白タイツが多くの場合、王子様や主役の男性ダンサーが着用を許される特別なタイツだからだろう。

2023年の秋に、熊川氏が独自の解釈に基づいて新制作した『眠れる森の美女』を観劇した。その第2幕で、オーロラ姫の婚約者候補として4人の王子様が登場する。全員が白いタイツをはいているのだが、それぞれ微妙に色合いが異なる。純白の真っ白なタイツ姿なのは、本命の王子様、デジレ王子ただ一人だ。純白のタイツ姿のデジレは、様々な色合いの衣装のダンサーたちが躍動する舞台で、ひときわ目立つ存在だ。

この純白の白タイツが暗示するのは、白のキーワードである「純粋」「無垢」であろう。また白には「新しい始まり」「リセット」という意味もある。熊川版『眠れる森の美女』では、後半のシーンでデジレ王子とオーロラ姫の関係がリセットされ、二人の新しい関係が始まる展開になっている。

白は特別な色、魔法をかけてくれる色。そんな白が気になる時は、人生のどんなタイミングで訪れるのだろうか。

https://www.instagram.com/p/CzUu5siPy0p/
純白のタイツ姿のデジレ王子


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