Mechanical_Dystopia_低画像

Mechanical Dystopia

昨年12月。

早いものでもう一年となる。

2018年のMIDO、Lab Acadenyに出展してくれと、MIDOの運営から依頼が来た。

「Labはいいよ!」と、STEADY金子氏から聞いていたし、事実悔しい思いをしたMIDOで、Labのブースには人がごった返していたのを、自身の目で見た為、条件をつけた。

・Maltaを僕たちの担当から外すこと

・場所はLabの入り口近くにすること

・支払いはギリギリになること

この3つ条件を運営側は飲み、出展する運びとなった。

となると、新しいコレクションを作らなければならなかった。

その時、自分があまり動けず、暇だったので、よくニコニコ動画でスチームパンクの家具、雑貨を作成する動画を見ていて、作成していた。

あまりメガネの新しいネタが思い浮かばなかったのが事実だ。

「じゃあ、スチームパンクで作ってみよう」

そう考えた。

しかし。

自分のオリジナリティになる自信がない。

そう思った時、銃夢を読み返していた。

中学生の時、初見。

「ああ、僕の中でのスチームパンク像は、クズ鉄街なんだ」

と、思い返していた。


「銃夢の作者さん、イメージ描いてくれないかなあ…」

妻にご飯の時、何気なくつぶやいていた。

「聞いてみたらいいんじゃない?ダメでもともとなんだし」

と、旦那が結婚して、いきなり障害者になっても陽気な妻は言った。

「まあ、そうだよね。」


ということで、上記理由で、(Mechanical)Dystoipaというテーマで次回コレクションを作ろうとしています、カタログ等のイメージを描いていただけませんか?という内容だった。

1日後、なんと

「拝見させていただきました、ぜひ、やらせてください」

と返信が来た。

やった。

その後、条件、イメージ等をメールで打ち合わせ、

「銃夢でかけませんか?」

「大人の事情で難しい」

ということで。


しかしその後、意外な言葉が。


「書き下ろしていいですか?」


「え。まじですか。ぜひ、お願いします!」


と、いうことで、木城先生がこの為だけに描いていただくことに決まった。

ただ、お互いかなり年末のタイトスケジュールだった覚えがある。

木城先生から、ラフ案が2枚来た。

(出していいか?とも思ったが、このラフ案が今も素敵すぎて。)

これだけでもかなり、デザインのイメージが湧く。

この2枚を元に、2人で話し合い、出来上がったのがこの画像である。

最高だ。

この絵が来た時、(Mechanical)の()が外れていた。

ここから、"Mechanical Dystopia" (機械仕掛けのディストピア)というものが出来始めていくのである。

この絵を元に、初回に落書きから描いたのが、METRONOMEだと言われるようになる、"Noise Orchestra"という作品である。

そして、"Baby Baby”が生まれた。

Babyに関しては、ゴイステのそのままのタイトルを、クリスマス前に聴きながら、落書きしてから至ったものである。

この2つが、今もMETRONOMEでは注文が多いアイテムである。

そして、テーマどおりにデザインしてみたのが"Systematic"。視力を図る際に使用する検眼メガネをモチーフにした。あのサイバーな感じがかっこいい。たまに展示会でも検眼メガネを着用していたくらいだ。

Dystopiaの世界に、これは外せないということで、僕の特許を使用した作品で、売れまくったのが"100 Miles"。好きな名曲、SPILAL LIFEの"100 Miles"から。Dystopiaの空を飛ぶ時にと。

大人のメガネを、子供がかけた大きさがかっこいい、Dystopiaの世界の大人はこんな感じなメガネをかけてるだろう。と言う感じのものが"TUMBLING DOWN"。レンズをフレームの上に乗せて、+ネジで止めたデザイン。

エレキギターのピックガード感、スチームパンクだよなぁ。という、前からの考えをメガネとして落とし込んだ"GARDEN"。

友達から修理を頼まれたメガネをみて、「これパンクだなあー。この絵の中に出てきそうだな。作ろ。」的な感じの"Crawl"。これ、僕の思惑から外れ案外売れている。ちなみに友達のメガネはまさに、このように上下で割れていた。

そしてドロップされた"Spectrum"。

年始の1月、ロンドンに行く前に、King Gnuの"あなたは蜃気楼"のPV撮影に駆り出され、朝方帰るときの渋谷。

「ああ、こんな気だるい感じのイメージが、多分ずーっとディストピアでは続いてるんだろうな…」と言う感じで、急遽その日にデザインしたのが最後の作品"Mechanical Tokyo"である。

これはよくデザインイメージを聞かれるが、その時帰るときの渋谷、そこからの東京の街をイメージしている。フロント部分が朝から夜を表現し、テンプルの七宝部分がネオンや止まらない信号機を表現している。

この作品達で、ロンドン、ミラノ、ニューヨークとコレクションを発表し、受注を開始した。

日本もこの時から少しずつ展開したため、この作品達のイメージが強い。

2018 AW(僕の表記はLate)の為、今次々発売が開始されている。(納期遅れています、迷惑かけてます、すいません)

木城先生が書き下ろしていただいた作品を、100枚限定でシルクスクリーンに刷られ、関係者や代理店に販促として配られた。

本日12月11日、発売のイブニングで、このシルクスクリーンを10名様にプレゼントさせていただくことに決まりました。

ぜひ、イブニングをお買い求めいただき、応募していただきたい。裏面には〜/100と、ナンバリングがしてある。木城先生に渡したのは、間違いなく頭の方の番号である。

シルクスクリーンでここまで細かい物を表現してくれた、ムウアトランティスの松田くんにも感謝である。普通はシルクスクリーンでは潰れてしまう。素晴らしい出来です。

(松田くんは、このPVで同じ配役で、待ち時間に雑談からこの話が決まった。)

そして木城先生。

この無名のブランド、デザイナーに、書き下ろしてくださり本当にありがとうございました。

このような作品が世に出回るようになったのも、この絵があったからこそです。

そして銃夢の実写化、公開発表、本当におめでとうございます。

改めて、ここにお祝い申し上げます。


2018 12/11 Bisei Iwamoto



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Bisei Iwamoto
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