振り返ったら、夏だった。
午後10時をほんの少しだけ過ぎた頃。ほろ酔い気分で、今年撮りためた写真をなんとなく漁ってみる。
机の上には、半分ほどになったギネスビール。おつまみは安定の枝豆だ。ビールデビューは、つい3か月ほど前。苦いとしか思えず、10年以上も敬遠し続けてきたビールが、何故か急に美味しいと思えるようになった。これが、大人になったということだろうか。
「意外にたくさん撮ってたんだなあ」などと、自分事ながら驚きつつ、1枚1枚ゆっくりと眺める。
おさななじみの子どもの写真が出てきた。男の子と女の子。可愛い盛りの2人だ。幸いなことに、おじさんの僕にもなついてくれている(笑)。
体中にまとわりつくような暑さに対抗するべく、2人と一緒に庭先で水浴びをした。2人は、勢いよく水を放出するホースを手に、全速力で駆け回る。
10分たっても、20分たっても、飽きることなく周囲に水をまき散らしていた。気づけばもう、全身ずぶ濡れだった。
思えば、僕らにもこんな時代があったはず。虫捕り・雑魚釣り・プール・海水浴…。全身全霊で夏を感じてきたんだよなあ。
それこそ、夏休みなんて毎日がパラダイス。宿題そっちのけで遊びほうけてたっけ。宿題だけじゃなしに、日記帳も全くつけていないもんだから、最終日に慌てて適当に書き殴って提出した。結局、日記帳に記した天気があまりに適当だったので、先生の大目玉をくらったよ。
1年また1年と年を重ねるごとに、夏のアクティビティを楽しむ回数が減っていった。当たり前っちゃ当たり前なんだろうけれど、これが大人になるってことなんだなと思う。
ただ、その分こうやって、夏がくるたびに“僕が子どもだったころを懐かしむ”という楽しみ方ができている。うん、これでいいんだと思う。
振り返ったら、夏だった。
そんな楽しみ方もありだよね。
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