流星群が降る夜に。
12月13日から15日にかけ、ふたご座流星群が空を流れた。とりわけ、14~15日は、流星群が最もよく見られる時期の極大(きょくだい)だったらしい。
僕が住む地域は、初日からあいにくの空模様。やや鈍色の雨雲が、切れ間なく空を薄く覆っていた。この先の天気予報も芳しくない。ふたご座流星群を直接おがむのは無理そうだった。
だから僕は、ウェザーニュースのライブ中継で流星群を楽しむことにした。中継先は沖縄県の某所。雲一つなく、どこまでも広がる星空が壮観だ。
ロングヘア―の美人なお天気お姉さんが4名の専門家と対談をしながら、にぎにぎしい雰囲気で進行していた。
極大ということもあり、すごい勢いで星が流れる。それこそ、数十秒に1個見られるくらいだったんじゃないかな。正直、あれほど数多くの流星にお目にかかれるとは思ってもいなかった。
流れ星が流れきる前に、お願いごとを3回するとそれが叶う…。
1個の流れ星に対してそれをするのは至難の業だ。むしろ、人類史上でできた人が果たしているのだろうか。個人的には疑問符がつく。
「流星群であれば、流れ星が流れきる前にお願い事ができるのではないか」と、僕は考えた。
それからの僕は、21インチのディスプレイにめいっぱい映しだされた星空を、まばたきもそこそこに凝視しつづけた。そして星が流れるたびに、できる限りの早さで願い事を唱える。
しかし、人生はそんなに甘くなかった。いくら流星群といえど、願い事を3回唱える間に消えてしまった。僕は結局、夜空の星々に願い事を届けられずじまい。ほんま、人生そんなに甘くない。
『願い事は自力で叶えろ』っていわれている気がした。
そんな、流星群が降る夜に。