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ウルトラマン新世代ヒーローズシリーズと日本神話の関係

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 ウルトラシリーズには元々宗教の要素があるようですが、近年のニュージェネレーション(新世代)ヒーローズシリーズには、特に日本神話の気配を私は感じています。

 ここではとりあえず、『ウルトラマンギンガ』、『ウルトラマンギンガS』、『ウルトラマンX』、『ウルトラマンオーブ』、『ウルトラマンジード』、『ウルトラマンR/B』、『ウルトラマンタイガ』、『ウルトラマンZ』まで、大雑把に取り上げます。
 元々専門知識があるわけではなく、参考文献も分かりやすいものから入ったので、精密さには欠けるかもしれませんが、ご了承ください。

『ウルトラマンギンガ』

 『ウルトラマンギンガ』では銀河神社が登場し、怪獣の人形「スパークドールズ」を祀っているような描写も劇場スペシャル2にありました。

『ウルトラマンギンガS』


 『ウルトラマンギンガS』ではサクヤが登場し、コノハナサクヤヒメから取られたと見られます。醜く長寿なイワナガヒメと、美しく薄命なコノハナサクヤヒメのうち後者のみ選んだのがバナナ型神話に当たるそうです。
 サクヤを含む主人公達が逆らったダークルギエルが、「永遠の命」を肯定していたため、生命の死の摂理に逆らったと解釈すれば、スサノヲが死んだ母親に会いたいと泣いたのを連想します。
 すると、ウルトラマンギンガはアマテラスに対応するかもしれません。

 ギンガは雷、火、剣の技を使い、イザナギが火の神であるカグツチを剣で斬った血から雷の神であるタケミカヅチが生まれたのを連想します。

『ウルトラマンX』

 『ウルトラマンX』のホオリンガはホオリノミコトから取られたと見られ、太陽神の子孫である山の神に繋がり、それは、生きているか曖昧なスパークドールズにされなかったことが、「命の摂理」の受容の象徴だとも取れます。

『ウルトラマンオーブ』


 『ウルトラマンオーブ』のマガオロチはヤマタノオロチを明らかに連想させる尻尾のくだりがあり、『X』で文明を水に沈めたガーゴルゴンを通じて、ヤマタノオロチが川の水害の象徴だとされるのも私に連想させました。

 ヤマタノオロチは斐伊川の鉄分の赤色の大蛇のイメージに繋がり、製鉄とも関わるとされます(三橋健 2013年:pp.126-127)。

『ウルトラマンジード』

 『ウルトラマンジード』で、母親がいない生命体である朝倉リク=ウルトラマンジードも、『古事記』のスサノヲに似ていると考えました。

『ウルトラマンR/B』

 『ウルトラマンR/B』のウルトラマンロッソとウルトラマンブルがそれぞれ火と水を使いやすいこと、それを交換出来るのは、太陽神アマテラスと、海の神スサノヲがそれぞれの物品を交換して神を生み出した儀式「うけひ」を連想します。
 第1話で女子高生の姿として生まれた湊アサヒは『竹取物語』から月を連想し、復活もしており、世界各地の神話で月の満ち欠けが不死や再生の象徴とされることとの繋がりを感じさせます。

『ウルトラマンタイガ』

 『ウルトラマンタイガ』で、「罰当たり動画」を上げていながら本物の霊能力者だった藍は、アマテラスが天岩戸にこもったときにアメノウズメが「馬鹿騒ぎ」とも取れる行いを神々にさせて誘き出して世界を救ったのを思い出しました。

 『オーブ』で怪奇現象をネットで追跡するジェッタが「炎上してでもうちのサイトのアクセス数を上げれば避難の役に立つかもしれないだろう」と言ったのも思い出します。藍はフォトンアースの能力をウルトラマンタイガに与え、ジェッタ達はオーブオリジンの能力をウルトラマンオーブに取り戻させました。どちらも、「光の復活」と言えます。

『ウルトラマンZ』


 『ウルトラマンZ』では、サメとワニを合わせたようなゲネガーグがセレブロを運んだのが因幡の白兎、メスの怪獣の体組織から人間が能力を得るのがオホゲツヒメやウケモチのようなハイヌウェレ型神話、その戦いをヘビクラ=ジャグラーが隊長として指示したのがスサノヲやツクヨミを連想します。ジャグラーはスサノヲやツクヨミを連想させるところもあります。

 『古事記』でスサノヲがオホゲツヒメを斬り殺したのは、『日本書紀』ではツクヨミがウケモチを斬り殺した場面に対応しているとみなされています。すると、三日月の模様を持つジャグラーがツクヨミに、蛇と剣に関する部分を持つオーブ=ガイがスサノヲに対応するならば、ジャグラーはガイの「別の可能性」だったという観点もあると私は考えます。

 また、グリーザからベリアロクが生まれてそれに倒されるのは、イザナミがカグツチを産んで命を落としたのを思い出します。セレブロをジャグラーが助けたのは、オオクニヌシが「因幡の白兎」の場面でワニ(サメ?)に復讐されたウサギを助けたのに繋がると考えます。


まとめ


 上記のように、大雑把にまとめただけでも、ウルトラマン新世代ヒーローズに日本神話の要素を見出しました。

 神話は文明や政治や心理学とも関連があるようです(坂本勝 2012年:pp.11-15),(坂本勝 2012年:pp.105-109)。

 これが『ウルトラマントリガー』にどう繋がるか分かりませんが。

取り上げた作品

特撮テレビドラマ

アベユーイチほか(監督),長谷川圭一ほか(脚本),2013 (放映期間),『ウルトラマンギンガ』,テレビ東京系列(放映局)
坂本浩一ほか(監督),小林雄次ほか(脚本) ,2014 (放映期間),『ウルトラマンギンガS』,テレビ東京系列(放映局)
田口清隆ほか(監督),小林雄次ほか(脚本) ,2015 (放映期間),『ウルトラマンエックス』,テレビ東京系列(放映局)
田口清隆ほか(監督),中野貴雄ほか(脚本) ,2016 (放映期間),『ウルトラマンオーブ』,テレビ東京系列(放映局)
坂本浩一ほか(監督),安達寛高ほか(脚本) ,2017 (放映期間),『ウルトラマンジード』,テレビ東京系列(放映局)
武居正能ほか(監督),中野貴雄ほか(脚本),2018(放映期間),『ウルトラマンR/B』,テレビ東京系列(放映局)
市野龍一ほか(監督),林壮太郎ほか(脚本),2019(放映期間),『ウルトラマンタイガ』,テレビ東京系列(放映局)

田口清隆ほか(監督),吹原幸太ほか(脚本),2020,『ウルトラマンZ』,テレビ東京系列(放映局)


特撮映画
アベユーイチ(監督),谷崎あきら(脚本),2013,『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』,松竹(配給)
原口智生(監督),長谷川圭一(脚本),2014(公開日),『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』,松竹(配給)
坂本浩一(監督),小林雄次ほか(脚本), 2015,『劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』,松竹メディア事業部(配給)
田口清隆(監督),中野貴雄ほか(脚本),2016,『劇場版 ウルトラマンエックス きたぞ!われらのウルトラマン』,松竹メディア編集部(配給)
田口清隆(監督),中野貴雄(脚本),2017,『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、お借りします!』,松竹メディア事業部(配給)
坂本浩一(監督),根元歳三(脚本),2018,『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い‼︎』,松竹メディア事業部(配給)
武居正能(監督),中野貴雄(脚本),2019,『劇場版 ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』,松竹(配給)

ネットオリジナル特撮

小中和哉ほか(監督),小林弘利ほか(脚本) ,2016年12月26日-2017年3月13日(配信期間),『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』,アマゾンプライムオリジナル(配信元)





参考文献

平藤喜久子,2018,『日本の神様解剖図鑑』,エクスナレッジ
三橋健,2013,『カラー版 イチから知りたい!神道の本』,西東社
杉本一文(イラストレーション),少年社(星野斉・本田不二雄)・後藤然・渡辺裕之・羽上田昌彦(編集スタッフ),堀立明・高山明美・林弘美(デザイン),企画協力(遊星塾),1992,『神道の本 八百万の神々がつどう秘教的祭祀の世界』,学習研究社

成田亨,1996,『特撮と怪獣 わが造形美術』,フィルムアート社
切通理作,2000,『地球はウルトラマンの星』,ソニー・マガジンズ

坂本勝,2012,『はじめての日本神話 『古事記』を読みとく』,ちくまプリマー新書
吉田敦彦,2007,『日本神話の源流』,講談社学術文庫
吉田敦彦,『水の神話』1999,青土社

大島直行,2014,『月と蛇と縄文人』,寿郎社

次田真幸,1977,『古事記 上』,講談社学術文庫

宇治谷孟,1988,『日本書紀 全現代語訳 上』,講談社学術文庫)

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