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『ゴジラ ファイナルウォーズ』なども含めて、人間などを資源やもの扱いする存在の扱いを探る

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注意

 これらの重要な情報を明かします。特に今回は結末の説明が必要になりますので、ご注意ください。

特撮映画

『シン・ウルトラマン』
『ゴジラ ファイナルウォーズ』

小説

『灰色の車輪』(小林泰三)
『ショグゴス』
『二重螺旋の悪魔』
『幼年期の終わり』
『タイムマシン』(H・G・ウェルズ)
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(web原作,書籍)

漫画

『左ききのエレン』(少年ジャンププラス)
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』

実写映画

『ターミネーター4』

特撮テレビドラマ

『ウルトラマンネクサス』

テレビアニメ

『新世紀エヴァンゲリオン』

はじめに

 『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(以下『ギフト無限ガチャ』)について、幾つかの意見や考察を記していました。ここでは、私が知る物語と、ある独特の繋がりを見つけたので、説明します。
 それは、『シン・ウルトラマン』や『ゴジラ ファイナルウォーズ』、『ショグゴス』における、「ある人物が奴隷や家畜のように扱う生命やロボットなどの目線や意思が重視される」、「それらの融合に近い現象が起きる」、「奴隷の数が管理されている」ことです。

『ギフト無限ガチャ』の差別と主人公達の行動

 『ギフト無限ガチャ』では、ファンタジー世界で、現実の人間に近いヒューマンが、弱いために獣人やエルフなどの他種族に差別されるのを、ヒューマンの中で特別な「ギフト」を持つ貧農の息子のライトが、特殊な環境で他種族よりも強いヒューマンを召喚して、虐げる種族達に復讐や変革をしようとします。
 ヒューマンの中には、エルフやダークエルフに奴隷にされ、鞭で打たれても実験材料にされても社会的に助けられない状態の人物もいます。「しゃべる家畜」のようにみなされています。
 しかし、性的な問題もあるのか、エルフ種はヒューマンとの間に子供が出来ることもあり、さらにヒューマンの中でエルフ種が恐れる「ますたー」が生まれることがあれば、それを取り込むということもあるそうです。
 そして、ライト達はヒューマンの尊厳や自由を得ようとするときに、どちらかと言えば強権的な支配もあり、自分の支配する街で、ライトの部下が犯罪者を追放してそれすら隠して「犯罪のない」理想の都市にしようとするなどのディストピアの要素もあります。

『シン・ウルトラマン』における外星人と人間

 『シン・ウルトラマン』では、現実に近い日本の人間達が禍威獣や、それを生み出したらしい外星人(宇宙人)の脅威にさらされる中で、ウルトラマンが助けようとするものの、その恐怖を解決出来ず、外星人メフィラスがウルトラマンのように人間を巨大化させるベーターシステムを提供して、人間に自衛の力を与える代わりに「上位概念」になろうとします。
 メフィラスは人間を資源だとみなし、ベーターシステムで巨大化して生物兵器になり得る生物として独占管理するつもりのようでした。しかし、現法はそのままと言ったり、自分が個人情報をさらした女性に謝罪してその流出を防いだりと、彼なりに善意を働かせ、ウルトラマンとの戦いも避けています。
 メフィラスは単独では巨大化した人間より強いかもしれませんが、その巨大化した人間の数を重視しているようでした。
 

人間の「強いところ」と危険性と「罪」

 ここで重要視しているのは、人間は単独で弱いものの、他の生物や知的存在から見て圧倒的な数があるということです。
 数が多いからこそ『ギフト無限ガチャ』ではエルフ種が「わいてくるからいくら殺しても良い」というような主張になったり、『シン・ウルトラマン』では外星人ザラブが「むやみに増殖する無秩序で危険な群体だから滅ぼすに値する」と言ったりするとみられます。
 おそらく、人間を生物資源だとみなし、その数が多いのを、人間でない存在の目線では問題視しているのでしょう。牧畜民族の表現が多いキリスト教で、人間が羊を管理するように神が人間を導くという主張が多いのを連想します。
 ザラブはウルトラマンに「君は私のものだ」と言ったり、メフィラスはそのザラブも含めて資源だと発言したりしていますから、「人を人とも思わぬ」と言えるところがあります。
 『シン・ウルトラマン』の「sin」は、創世記でアダムとイブが知恵の実を食べて、楽園から追放されてイブが産みの苦しみを知ったことの「原罪」を指しているとも考えられます。人間の繁栄、人口増加を、ザラブが問題視して、メフィラスは利用しようとして、ウルトラマンの同族のゾーフィですら危険視していたようにです。
 『ギフト無限ガチャ』でも、ヒューマンの「ますたー」が文明の発展を加速させると世界が滅ぶ可能性が敵対する種族で認識されているものの、それはヒューマンの繁栄による人口増加や、ヒューマンのギフトでライトがものを生み出すことなどによる環境破壊の可能性も私は考えています。

 

2023年6月15日閲覧

『ゴジラ ファイナルウォーズ』のX星人

 ここで、「人間を資源だとみなす」生物が登場する物語として、『シン・ウルトラマン』と繋がりの示唆される『シン・ゴジラ』の前のゴジラシリーズの『ゴジラ ファイナルウォーズ』(以下『GFW』)を挙げます。
 怪獣に地球の人間や、そこから生まれたミュータントが立ち向かう中で、怪獣を消すなどの一見友好的だった宇宙人のX星人が、実は人間のミトコンドリアを栄養とする、家畜とみなして支配しようとする敵だったという展開は、今から振り返りますと、『シン・ウルトラマン』に似ています。
 人間を資源として管理しようとするのは『シン・ウルトラマン』のメフィラスに似ています。X 星人の代表が当初は平和的に目的を隠して計画を進め、部下の参謀が殺して目的を明かして戦い始めたのは、メフィラスの前半と後半の流れを連想します。メフィラスも「暴力は嫌悪する」と言いつつ、ウルトラマンと戦い追い詰めたときに少し楽しんでいるような声でしたし。
 また、X星人の参謀は人間に「お前達を滅ぼす気はない。むしろまた増えてくれなければ困る」と言いながら、個人的に戦いを楽しむ傾向がありましたし。

『ギフト無限ガチャ』を通じた、「神」への疑い

 また、『ギフト無限ガチャ』では、主人公のライトを神として扱うカードのヒューマンの部下のエリーなどもいますが、ライトは「女神」を崇めていたのが、少しずつ自分達のあまりの不運に疑い始めています。
 この劇中世界で女神が世界や生命の種族を作りつつも、それはヒューマンを資源として扱う目的があり、そのためにもてあそんでいる可能性も私は考えています。
 キリスト教における人間を神にとって羊のような存在とみなし、「産めよ、増やせよ、地に満ちよ」と主張して、中絶や自殺を禁じる傾向のある主張が、人間を神の資源として作り出したためだという皮肉な意味合いがあるかもしれません。それに反論しようにも、「人間はそのために作られた」と主張されれば難しくなります。
 『二重螺旋の悪魔』や『幼年期の終わり』では人間がそのような資源扱いをされていますし、反論が難しく、ウェルズの『タイムマシン』でもかなり残酷なことになっています。
 『GFW』のX 星人、『シン・ウルトラマン』のメフィラス、『ギフト無限ガチャ』の「女神」などが、人間やヒューマンを「何だと思っている」のかが、物語の大きな鍵かもしれません。

「空気から人が出て来る」

 特に、『ギフト無限ガチャ』で、空気中の魔力を吸収してカードとしてヒューマンを生み出したことについて、生まれたメイがライトの「カードから人が出て来るのか」という疑問をいつの間にかその尊敬で曖昧にしてしまったのは、人間を生み出すことの問題点も曖昧にしたとも言えます。
 以前記事で紹介しましたが、経済学者のマルサスが人口爆発に対して食糧の足りなくなる危機について、ハーバー・ボッシュ法の「空気からパンを作る」と言われる窒素肥料が重要だとされたのは、『ギフト無限ガチャ』における「空気から人間が生まれる」のに似ていると言えます。
 

『ショグゴス』も踏まえた「融合」

 また、『ショグゴス』も踏まえますと、『シン・ウルトラマン』、『ギフト無限ガチャ』、『GFW』は、「主人の種族と資源の種族の融合」とも言える要素があります。
 『ショグゴス』では、人間のある国の大統領が、海百合状生物により不定形生物が奴隷のようにされるのに義憤で解放しようとロボットなどで戦いを挑み、徐々に人間達も不利になりながらやめず、なおかつロボットが人間全体の安全のためだと、「人間を守れ、人間に従え、自分を守れ」のロボット三原則を歪めるように個人を切り捨てるなどの独断をしています。
 それに恐怖する大統領も、「自分がロボットにすることが、海百合状生物が不定形生物にすることと同じではないのか」という指摘や示唆に気付かず、視野の狭い善意を貫いています。
 しかし、海百合状生物が不定形生物に寄生するように、人間もロボットと融合するような状態になっていきました。大統領の「ロボットは人間に奉仕するための被造物だ」という言葉を貫徹するようにです。
 この、主人の種族や生命が、奴隷や資源として扱われる種族や生命やロボットと同化や融合をするような要素が各作品にあります。
 『シン・ウルトラマン』は、外星人として珍しく、ウルトラマンが人間を「理解したい」と自分の行動に巻き込んで死なせた人間と融合して、人間に近付いています。それが様々な災いに繋がるようですが。
 『GFW』では、最初から登場する人間の中で特殊な身体能力を持つミュータントが、実は人間を家畜扱いするX星人との間に生まれた「ハーフ」だと判明しました。ちなみに、劇中のゴジラ以外の怪獣はほとんどX星人の遺伝子のM塩基を持つために操られるようです。
 『ギフト無限ガチャ』でも、ヒューマンは基本的に弱いものの、「ギフト」を持っていたり「ますたー」という強い個人が生まれたりするため危険視されるようですが、ヒューマンを嫌悪するエルフ種との間に子供が生まれることはあります。
 人間がロボットに、X星人が地球人に、外星人が人間に、エルフがヒューマンを資源扱いする中で、その中間的な存在はどう扱うのか、という揺らぎが物語を複雑化させるようです。
 『ターミネーター4』もそうかもしれませんが。

 

『GFW』の「知らない方が良いこと」と支配

 また、『GFW』では、X星人の擬態した人間が無機質とも言えないところがあり、まばたきはしないものの、人間を嫌悪したり、自分達の潜入を調べる人間に「知らない方が良いこともある」と言ったりしています。嫌悪はしていても、それは格下の種族と思っているだけで、無制限に暴力を振るいたいのではなく、あくまで穏やかに支配したい感情、パターナリズムが「知らない方が良い」と言わせたかもしれません。
 しかし、それはキリスト教や生命倫理で「神に人間は近付くべきでない」というような問題にも似ているかもしれません。
 『シン・ウルトラマン』では、人間が外星人の脅威にさらされるためにそれに近い巨大化の能力を手に入れようとしたり、それを「我らと同じ進化に至る可能性が高い」と危険視されて滅ぼされかかったりしており、「人間は外星人に近付いてはならない」とみなされているようです。それはデザインワークスの初期設定のように、「人間が生物兵器」だからかもしれません。
 『ギフト無限ガチャ』でも、主人公のライトは自分個人や村に関する復讐も目指しており、ヒューマン全体にそれを知られたくない感情もあると言えます。また、ライトを崇めるエリーは弱かった頃のライトを捕食しようとした、しかし今は味方になっているスネークヘルハウンドの種族を「歴史から消し去ろう」としたこともあります。ライトやエリーの顔が隠されているのは、「支配者の詳細を、守るべき民衆にも教えたくない、信頼していない」と言える気配があります。
 ある独裁政権の学校の教科書には、独裁者の顔を落書きされないように載せないそうです。また、イスラームでは預言者ムハンマドなどの顔を絵でも描きません。
 「偶像崇拝禁止」なども踏まえて、「支配する側に善意があっても、支配される側は知ってはならない、近付いてはならないところがある」とも言えます。
 「知らない方が良い」というのは、『GFW』に近い時期にテレビ放映されていた『ウルトラマンネクサス』で、人間の敵や防衛組織の情報を一般人に教えない、記憶すら消すのにも似ています。『ギフト無限ガチャ』や『シン・ウルトラマン』ではそれがしにくいので、「支配する側」も苦労するようですが。

『ギフト無限ガチャ』の後先

 『ギフト無限ガチャ』で気になるのは、「後先のことをどこまでライト達が考えているか」です。
 ライトは12歳の容姿を、(復讐の怒りを忘れないために)ギフトから出たアイテムで成長しないように止めており、顔を隠しているとはいえ、冒険者として自ら活動しています。しかし、その姿で成長しない以上は、正体を隠したまま活動出来る時間は限られます。
 つまりライトは、短期的に復讐を終えるつもりなのです。
 しかし、それが終わったあと平穏に暮らすつもりだとしても、既にカードのヒューマンは、ライトのカードによる食糧や物品により、通常のヒューマンや他種族よりぜいたくな暮らしをしています。その意味でライトを「創造主」、「神」のように扱うのは正しいとも言えますが、自分達が依存しているとは考えていないとも言えます。
 カードから分身を作り出すことで、ライトの分身が24時間カードを出し続けているのも、ある意味で「神の分身」を「奴隷」にしているようにも受け取れます。
 『ショグゴス』と同じ小林泰三さんの『灰色の車輪』で、人間に近い感覚を持つロボットに、痛覚で無理矢理別のコンピューターで苦しませて従わせることで、様々な経緯で反乱が起きる可能性がありました。これは、「労働するロボットを人間に近付けたい」、「しかしロボットに人間のような権利は与えたくない」という揺れ動きとも言えます。
 『ギフト無限ガチャ』でも、自分で生み出したカードのヒューマンにも優しいライトの精神が、自分の分身を奴隷のように扱い、カードのためにさらにカードを出し続ける循環が起きているとも言えます。
 「神の分身」を「もの」扱いするとすれば、『新世紀エヴァンゲリオン』にも似ているかもしれません。『エヴァ』で、「神様」に人間が近付くために人間がその分身をもののように酷使するのは、神を怒らせる行いかもしれません。
 また、「ライト神様の御子を産みたい」と普段から言っているエリーも、仮に産まれれば強く成長させられるのか、複数生まれればその権利をどう併立させるか、ライトが(どれほどあるか分からないアイテムで)老化しないのをいずれ子供のためにやめてもらうのか、という問題などが山積みだと言えます。

『ギフト無限ガチャ』の「替えのきかない有能」

 また、『ギフト無限ガチャ』のカードのヒューマンの多くは、これを書いている時点でこそ他種族より強くても、実はどれほどモンスターを倒しても強くなれずに「成長」はしないので、本当は一般のヒューマンや他種族に追い抜かれる危険もあります。現在は「よほど強いモンスターを、カードの強者の協力で倒さなければ、ヒューマンも強くなれない」からこそ成り立っているものの、やがてその論理に限界が来るかもしれません。
 唯一カードのメイなどの協力で強くなったライトは、最初のレベル上げに利用した敵の生物が、現在は部下のアオユキによって味方にしているので、「仲間を裏切りたくない」ライトが殺せない、エリーの能力で極端に強いモンスターを呼び寄せると弱いヒューマンを強くするどころか余波で死なせてしまうということで、「他のヒューマンはたとえ王女でも、あまり強く出来ない」という論理が成立しています。
 しかし、それは『左ききのエレン』少年ジャンププラス版で言えば、「量産出来ない替えのきかない有能」、「少数の天才」で成り立つ組織だとも言えます。
 自分の代わりを作るために分かりやすく指導したり、自分と同じ能力を与えたり出来ない「替えのきかない有能」な部分が、ライト自身やその部下のナズナにもあります。
 また、『シン・ウルトラマン』のザラブも、「考えただけでコンピューターを操作出来る」のですが、「すまないがこれは私の身体機能に由来するので教授出来ない」と言っており、まさしく「替えのきかない有能」であり、ウルトラマンはある程度は分かりやすく自分の技術を人間に数式で教えたので、「替えのきく有能」だとも言えます。
 『GFW』のミュータントのうち、かなり親しげで人間味のあるとも言える主人公の尾崎は、どこか軽めの口調もあり、X星人の擬態した人間の不自然なところを「何だか気持ち悪い」としか言えず、「まばたきしていない」という事実を通常の人間に先に指摘されました。つまり、尾崎は戦い慣れていても、感覚でしか不自然な違いを見破れない、周りに説明しにくい「替えのきかない有能」で、その意味では通常の人間に劣るとも言えます。『ギフト無限ガチャ』のweb原作で、ナズナがヒューマンの体内の爆弾を勘で見抜いたようなところにも似ているかもしれません。

2023年6月15日閲覧

持ち上げないからこそ出来る助け

 また、ライトによるカードのヒューマンで、登場する中では珍しく通常のヒューマン並みのモヒカン冒険者達は、男性でもあるためか、web原作では、ライトを無闇に持ち上げない発言として、「絵の技術はまだまだですよ」と言っています。
 ライトはメイやエリーに「分かりやすい」指導を求めたこともありますが、やがてレベルの低い部下からも、正直な意見や事実を伝えられることで、別の「成長」をするかもしれません。

「唯一無二」でいたいからこそ出来ないこと

 そして、個人の優秀さが「分かりやすい指導」、「周りに自分と同じことを出来るようにする能力」が、人間の数などと相まって、未知の力になる可能性に、『ギフト無限ガチャ』や『GFW』ではどこまで気付いているか分かりません。
 そうすると、主人公達の「唯一無二」なところが崩れるためかもしれません。
 ロボットを人間に近付けたい、近付けたくないという揺れ動きのように、主人公と同じように周りになってほしいのかほしくないのか、という悩みは、主人公達が優秀な物語ではよくあるかもしれません。

「唯一無二」同士の争い

 ちなみに、『シン・ウルトラマン』でウルトラマンは、人間を生物兵器の候補として「廃棄処分」しようとするゾーフィに、「この星の人類にとって自分達は唯一無二だ」と言っています。ゾーフィの所属する「光の星」は、自分達が唯一無二でいるために、同じ進化に至る可能性のある人類を危険だと処分したかったのかもしれませんが、皮肉にも人類も別の意味で「自分達は唯一無二」だと考えていたとみられます。
 キリスト教で異端とされるグノーシス主義において、神の末端の女神のソフィアが密かに産み落とした無知な神が、無知故に自分を全知全能と思い込んで物質の世界を作り出したとされるように、『シン・ウルトラマン』の人類も無知によって「自分達こそ最上だ」と考えたのかもしれません。

2023年6月15日閲覧

まとめ

 『ギフト無限ガチャ』や『シン・ウルトラマン』に『GFW』や『ショグゴス』も加えて、「主人が奴隷や家畜や資源のように扱う存在」との関係を考察しました。
 そこには、「融合」、「替えのきく有能」、「唯一無二」などの問題と関わるようです。

参考にした物語

特撮映画

樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝
北村龍平(監督),三村渉ほか(脚本),2004,『ゴジラ FINAL WARS』,東宝(配給)

小説

クラーク/著,池田真紀子/訳,2007,『幼年期の終わり』,光文社古典新訳文庫
小林泰三,2014,『百舌鳥魔先生のアトリエ』,角川ホラー文庫(『ショグゴス』)
梅原克文,1998,『二重螺旋の悪魔(上)』,角川ホラー文庫
梅原克文,1998,『二重螺旋の悪魔(下)』,角川ホラー文庫
梅原克文,1993,『二重螺旋の悪魔 上』,朝日ソノラマ
梅原克文,1993,『二重螺旋の悪魔 下』,朝日ソノラマ
H・G・ウェルズ(作),雨沢泰(訳),1998,『タイムマシン』,偕成社文庫

明鏡シスイ,『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,小説家になろう(掲載サイト)
https://ncode.syosetu.com/n9584gd/
2023年6月15日閲覧

明鏡シスイ,tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,ホビージャパン
小林泰三,2010,『天体の回転について』,ハヤカワ文庫(『灰色の車輪』)

実写映画

マックG(監督),ジョン・ブランケットほか(脚本),2009,『ターミネーター4』,ソニー・ピクチャーズエンタテイメント(配給)

特撮テレビドラマ

小中和哉ほか(監督),長谷川圭一ほか(脚本),2004年10月2日-2005年6月25日,『ウルトラマンネクサス』,TBS系列(放映局)

テレビアニメ

庵野秀明(監督),薩川昭夫ほか(脚本),GAINAX(原作),1995-1996(放映期間),『新世紀エヴァンゲリオン』,テレビ東京系列(放映局)

漫画

かっぴー(原作),nifuni(漫画),2017-(未完),『左ききのエレン』,集英社
作画/大前貴史,原作/明鏡シスイ,キャラクター原案/tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,講談社


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