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【読書感想文・夏の夜明けを待つ僕ら】ー自分に正直に生きるー

紹介

今日は、最近読んだ小説の感想を書いていきます。

音はつきさんによる、自分を見失ってしまった二人の社会人、一真と雫が、ある小さな村での生活を通して本当の自分を探す物語です。

この本を読んだきっかけを話すと、自分は今16歳で、将来に向けて考えている時期。やりたいことはありますが、大人になると仕事三昧で自分を見失ってしまうのではないかという不安があったのです。

主人公の二人がどのようにその壁を乗り越えていくのか、とても気になりました。

主人公の紹介

①一真

一真は学生時代は成績優秀、トップの国立大に進学し、大企業の商事に難無く就職することが出来たエリートでした。

物語は社会人四年目の様子が描かれており、上司曰く「働き盛り真っ只中。スポンジのようにどんなことでもぐんぐん吸収できる時期」とのこと。

しかし、一真は過酷な日々を過ごして仕事に耐えられなくなり、いくら勉強が出来ても意味は無いんじゃないか、この企業を選択したのは間違いだったのではないか、と考えるようになってしまいます。

そんな一真がどのように変化するのか、とても興味がそそられました。

②雫

二十歳で、恋愛を描いた曲がヒットしている人気なシンガーソングライターです。恋を語る歌詞が多いので、世間から「恋の神様」と呼ばれています。

しかし、本当は彼女は全く恋愛経験が無く、たまたま曲がヒットしてしまい、自分の書きたい歌詞が全く書けずにいました。事務所に書きたくもない恋愛の歌詞を書かされ、「嘘の自分」を作り上げてしまっていたのです。

物語が進むにつれて起こる雫の変化も、注目すべきポイントの一つとなっています。

【本編】ネタバレ・感想

僕がこの本を読んで感じたことは、

「自分に正直に、自由に生きていきたい。」

ということです。

印象に深く残っているのは、第四話の雫編。民宿望月の女将、望月葉子さん(以下おばちゃん)が、村の夏祭りの音楽ステージで歌う話です。

始めは、おばちゃんは娘の双葉にステージに上がることを反対されていました。親が歌っているのを友達に見られるのが恥ずかしく感じていたのです。しかし、ここでおばちゃんが双葉に言った言葉。

「双葉、あんたは私の娘だけど、あんたは自分の道を進んでいいの。それと同じで、私の人生は私のものなのよ。」

おばちゃんは昔、歌手になるのが夢でしたが、母の許可が下りず、その夢を捨ててしまったという過去がありました。

自分自身を双葉の母親でもなく、民宿の女将でもなく、「望月葉子」という一人の人間として、周りを気にしないおばちゃんの考え方は、僕たちの日常でもとても重要だと思いました。

肩書を全て捨て、自分に正直に、やりたいこと最優先で動いているおばちゃんは、凄くカッコよかったです。

考えたこと

村での生活を通して、一真は「自分は人に教えるのが得意」ということを認識し、学校の先生になり、また雫は自分の歌いたい曲を作って、最高のミュージックビデオを作り、世に出すことが出来ました。

一真は退職時に、周りから「変わった」と評価され、自分のやりたいことを見つけることが出来ました。

また、雫は今まで書きたくもなかった恋愛の曲から卒業して、自分に正直に、自分が作りたいものを完成させています。

先程も書きましたが、僕はこの本を読んで、「自分に正直に、自由に生きたい」と考えました。僕は世の中には自分に正直に生きている人は少ないと思います。周りの目を気にして、自分の肩書に囚われて、自分を見失ってしまう人もいるかもしれません。

大企業に就職するのが本当に正解なのか、勉強が出来ることは何の役に立つのか、人によって答えは違います。

これからは、まずは些細な事から自分のやりたいことを実践し、あの村の住人のように、自由人になれるように努力したいです。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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