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2. 急遽センチネルリンパ節生検手術を局所麻酔下で行う

2019年夏に40歳でステージⅠ期乳がんが見つかり、計3回の手術(局所麻酔2回・全身麻酔1回)および放射線治療を経てホルモン治療期間に入りました。 私はピラティスインストラクターをしておりますので身体操作に制限が起こることが最も心配でしたが、術後約4ヶ月(2019年年末時点)で大きな問題はございません。 特に運動が生業の方やスポーツをされている方は「術後どれくらいで動けるのか」が懸念事項となりますでしょうから、参考までに治療の経過を記します。病態は千差万別となりますので、あくまで個人の例としてご覧ください。

【予想外の展開、センチネルリンパ節生検(切開摘出)を局所麻酔で行うことに】
2019年7月18日 クリニックから突然の電話がかかってきました。「急遽、明日『センチネルリンパ節生検』を局所麻酔下で行いたいから来てほしい」とのこと。
「センチネルリンパ節生検」とはリンパ節に転移がないかの生体検査です。電気メスで身体を切開し組織を取り出すので通常は入院・全身麻酔下で行い、私もその予定でした。
理由は「急を要する別の患者さんが同日7/26に手術することとなり、当日の時間が取れなくなったため」で断ることはできず、翌日のプライベートセッションを予約してくださっていたお客様に事情を話し、お休みをいただいて手術することになりました。

2019年7月19日 クリニックで局所麻酔下センチネルリンパ節生検を受けました。意識がある中、身体に電気メスが入るのは相当な恐怖でした。

まずは生体を採取する箇所、「センチネルリンパ」の位置を探します。乳頭近くから色素を注射し、乳房を強く揉みながら色素を乳管内に押し進めていきます。

医師は私に「モニターを見てください。管の中に入った色素が光るのが分かりますか。やっていることはかなり原始的で『マニュファクチュア』という感じですが…」と呼びかけました。手作業という意味でおっしゃったのだと思います。その色素が辿り着いた箇所が最初の腋窩リンパ節=センチネルリンパがある位置という当てをつけ、皮膚に印を描いたらいよいよ手術です。

(↓画像は参考です)

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場所は脇の下というより乳房上部外側でしたが、電気メスが身体に入ると右腕全部にその動きが伝わります。血管、神経、リンパ等「たくさんの管が腕に通っていてその管が土木工事されてる!」という感じでした。じゅくじゅくと液体が中で動く感覚が手首の辺りまであり、腕の可動性に悪影響が起こらないかとても心配で恐ろしかったです。電気メスは何度も何度も身体の中に入り、人間のタンパク質の焼ける臭いと音が続きます。

(…)色素法だけで行う場合の欠点は、わきの下のリンパ節に向かう色素の流れを皮膚の外からでは追いきれないことです。実際に皮膚を切開して、肉眼で色素を確認しながらセンチネルリンパ節を突き止めるという作業が必要になります。(…)」とある通り、ひたすら肉の中を掘って探される作業は永遠に感じました。手術にかかった時間は実質1時間半くらいのようで、受ける側としてはとても長い!

助手の先生(男性)も加わり、この方はとても楽しそうでした。手術中は音楽をかけており先生方で曲についての雑談もありました。

助手医師「こんなところまで大胸筋がきてる!すげえ!男ですか?褒めてます」
私「。。。(答えられず)」
主治医「インストラクターだからね〜」
私「はい〜。。。」
助手医師「良いです、変な脂肪がたくさんあるより良いです」
「男並みの大胸筋」と、切開し医師の目で実際に見てもらった経験は貴重だと思いますので確かに良かったですし、ベテランで余裕のある先生方だと思います。でもとにかく局所麻酔での手術は怖いのでもうやりたくない!

【採取されたリンパ節は柔らかかった】
肉と皮をぐいぐい引っ張られながら縫合が終わり、手術台から起き上がると先生が採取したリンパ節であろうものを血まみれの指で持ったまま「これを取りました!」と見せてきました。1.5cm角程度の肉片で管のような尾がぴろーんとぶら下がっていたような。貴重ですが、血まみれの肉って若干気持ち悪いかも。「柔らかいので大丈夫だと思います」つまり、がんが転移してしこりにまでなっていたら固いのでしょう。

全身麻酔の手術内で行われるセンチネルリンパ節生検は大急ぎで病理検査をする術中迅速診断となるのですが、術前の場合は時間をかけて診断できるので「より確実な病理結果が出るから良いでしょ?」とのことでした。

【環境について:クリニックでの手術はなかなかワイルドだった】
手術といえば手術室。雑菌などが入らないようある程度 外界から遮断された空間を想像していましたが、小さなクリニックの手術室にはドアがなく(あるのかもしれませんが解放されっぱなし?)そのまま廊下を通れば屋外へ繋がる自動ドアまで直ぐで、普通に人が出入りしています。古びたロッカー室(あまり綺麗ではない、ごめんなさい)で上着のみ患者衣に着替え、お惣菜を入れるビニール袋のようなキャップを頭にくしゃっと被せられる程度の装備で「まじかよ」と思いましたが、傷口の感染等は起きず無事でした!

「野戦病院ってこんな感じ?!」と大袈裟に失礼なことも考えながら手術を受けました(←野戦病院がこんなに安全なわけない)。その空間でぱっくり皮膚と肉が開かれ、筋肉は露出し(褒められた)、リンパ節を1個掘り出されましたが、通常の空気に触れるくらいでは案外なんてことないのですね。

肉掘りだけでなく「糸で縫う」のも本当に嫌な感触(とにかく怖い〜)でしたが、帰宅後に騒いでいたら夫に「ランボーは麻酔なしで縫ったんだから大丈夫」と言われました(件の『ランボー』撮影シーンではシルヴェスター・スタローンが実際に怪我をし、傷は特殊メイクではなかったらしいです)。
(3割負担医療費 13,150円)
(処方痛み止め薬 510円)

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