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メン獄『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』から得た知見

「次マウスを使っている所を見たら、 手を切り落とす」 

本書31ページより

 Excelをマウスなしで使いこなすのが最低条件。そう、上記引用のとおり、恐ろしい日常を送っているコンサルタントが記したのが本書である。
 コンサルタントの何たるかもしらず、コンサルティング会社にまったく興味がなく、アナリストとコンサルタントの違いもわからない。それなのに友人に勧められるままに買ったら、あっという間に読んでしまった。いまのところ今年No.1の本である。
 ここでは、校閲者の観点から、自分のビジネスに役立ちそうなところを引用し、考察を述べてみる。

ミスを減らすためには

  私と同様、 ケアレスミスが多いタイプであれば、 アナリスト時代のうちに、ミスの多い自分との付き合い方を学んでおこう。

ミスの多い人間は、(中略)ある一つのチェックによってどのようなミスを減らしたいかという目的意識が希薄
「何のミスを減らしたいのか」という目的から、どうしたら減らせるのかの具体的な方法・手順を考え、それを自動的・機械的に適用することが品質担保には必要になる  

機械的に自動的なチェックを必ずかけ、 機械 判別できない点については人の目で、こういう観点で整合性のチェックをかけています、 と客観的に説明できてこそ作業の品質に迫力を持たせられる

本書51, 52ページ

 このまま校閲者に当てはまる内容だ。たとえば素読みでは何をチェックするのか、JustRight!には何を期待するのか、機械の「校正結果」をどこまで検証して校正紙に記入するのか、目視でしか追えないミスは何か。そうしたことをきちんと言語化しておく(マニュアルを自分で作っておく)重要性が、やっと最近わかってきた。本書で言っているのは、まさにそういうことではないか。 

校閲者の「集合知」をつくりたい

第3章「 自分の限界を会社の限界にするな」
―― 会社の〈集合知〉を徹底活用する
 
既に答えがある問題を自分で解いてはいけない

本書84ページより

 何か知りたいことがあればもちろんだが、そうではなくとも、会社や組織においては、ふだんからその問題に一番詳しい人に話を聞いておくというのは大事なことだ。
 だが、フリーランスにはそれが難しい。
 校閲者は、自分がしたミスを「二度と出さない」というだけではない。「他人のミスを自分のミスのように心に刻んで」経験を蓄積していくこともできる。
 そこでわたしは、twitterで校正プロダクションや新聞社が「ミスの例」を出しているのを読んでは、自分のリストに溜めている。
 だが、これをもっと広げられないだろうか。「他人のミスは自分の経験」なのだから、校正・校閲者が「自分の出したミス」を置いておき、メンバーならばそれを見ることのできるクローズドな空間。そういうのがあったらな、と最近せつに思う。
 校正・校閲者コミュニティともいえるかもしれない。しかし、いろんな機能を持ち、同業者が悩みを相談できるといった、至れり尽くせりのコミュニティは自分には主宰できない。
 「自分の出したミス」を置いておく会員制の場所、というだけの場所を作りたいのだけれど、どうしたらよいだろう。
 そもそも、そんなことを考えているのが自分だけなのであれば、このコミュニティは成立しない。一度Twitterで校正者・校閲者に諮ってみようかな。賛同者が多かったら安価な会費制にしてやってみたい。

「気持ち悪さの勘」は言語化せよ

なんとなく気持ち悪さを感じていながらその気持ち悪さを言語化しないでいると、1週間後に取り返しがつかないことになっている、ということは非常によくある。 
気持ち悪さの勘を無視したが故の失敗を、誰もが経験したことがあるのではないだろうか。後々の大きなトラブルを未然に回避するためには、どんなに小さな違和感であっても、言語化し、その違和感の正体を見極めるようにしたい。

本書181ページ

 「気持ち悪さの勘を無視したが故の失敗を、誰もが経験したことがある」まさにそう。なんか変だな、と思いながらもそれをきちんと言語化せずに「気持ち悪さ」を抱えていると、それが時限爆弾だったことが後からわかる。
 無論、自分にもある。会議の後や指示メールを読んだあと、小さい違和感を抱くことがあるが、大抵無視して仕事を進めてしまう。すると「そうじゃなかった」が発覚して大慌て!となってしまう。 
 これを繰り返さないためには、「違和感を掘り出して言語化しておく」ことがソリューションなのだ。覚えておかなくては。

自分が活躍できる場は自分で作る

  自分の仕事の評価や社会的な価値をまず自分自身で信じることができ、 その結果に責任を持つ気概のあるものだけが、真に価値ある仕事を生み出すことができる。

 私は何もできないわけではない。 ただ、自分自身ができること・ 得意とするところの言語化をサボって、勝てる場所を見定められていなかったのだ。 短所のみならず、長所を捉え直し、 私が自信を持って活躍できる方法を人に伝わる言葉にしていった。

(自分の)個性を発揮できる場所を自分でデザインする必要がある。
 どういう仕事、 どういう場所であれば他の人より高いパフォーマンスを発揮できるのかを率直に伝える。 何ができて何ができないのかを周囲に開示することで、自然と勝てる場所へと 自分を誘導するのだ。

クライアントに対しても同僚に対しても、自分がどういう人間であるのか、 何ができ何ができないのかを説明することについて、 怖いと思うことがなくなった。職業人としての自分と本来の自分との境界がなくなり、 融合していくようにも 感じた。
  それ以降、 クライアントから何かを怒られることがなくなり、 名指しで指名される機会も少しずつ増えていった。

本書192, 265, 275, 281ページより

 組織に属さないフリーランスが自分を認めてもらうには、自分のスキルに合った得意先を探すしかない。だが、「下手な鉄砲を数撃っても」当たることはない。
 「私が自信を持って活躍できる方法を人に伝わる言葉に」し、「自分がどういう人間であるのか、 何ができ何ができないのかを説明」して、「自然と勝てる場所へと 自分を誘導する」。
 これはフリーランスには難しいのだろうか。そんなことはないはずだ。たとえば、ここnoteをクライアント候補が読んでくれたら、「久松はこういう仕事が得意なんだな」とわかってもらえるように書いていかねばならない。
 営業をかけていくにしても「わたしはこういうことが得意です」と言語化して伝えなければ、選んでもらえることはないだろう。
 というわけで、本書で得た最大の知見「ますますnoteで自己開示する」を毎日実行していくことにしようと決意を新たにした。

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