英検3級から翻訳校閲者になるまで #2

https://note.com/merlin_witch/n/n323752aac0bd の続き。

念願の翻訳会社チェッカー

 TOEIC860点、英検準1級をとったところで、翻訳会社にこないかというオファーがあったのだ。
 じつはこの少し前まで、派遣やアルバイトで翻訳をしていた。バイト先の会社がつぶれてしまって職探しをしていたところだったので、渡りに船と新しい会社にお世話になることにした。
 そこでは、最初は「翻訳者兼翻訳チェッカー見習い」というポジションだった。社員ではないが専属契約のベテランチェッカーがいるので、その人に教えてもらいながらチェックを学び、時間のあるときは翻訳をしていた。

トレーナーに恵まれた

 運のよいことに、この先輩チェッカーというのが素晴らしく高品質のチェッカーだった。英文法書を何冊頭に入れているの?という知識に加えて、硬い文章が大得意。英語のリーディングも日本語のライティングも、当時のわたしからはおそろしくレベルが高く思え、ここまで自分は到達できるのだろうかと危惧した。
 この人に教えてもらいながら、ここでもう一度、英語、とくに読解力を鍛えないと到底やっていけないことがわかった。だが、市販の教材ではとくに文法や読解など挫折しがちだ。

薬袋方式で「英文が読めた」喜び

 試行錯誤しているときに出合ったのが薬袋善郎の『英語構文のエッセンス』シリーズだった(残念ながら絶版)。構文分析をして英語を読んでいきましょうという教材。CDの音声で、先生が自ら教えてくれるのわかりやすいし挫折しづらい。
 この教材、テキストは書き込み式なので、別にノートを準備しなくてもよいというのも大きなポイントだった。最初はほんとうに易しい問題で、単文一文にS(主語)とV(述語動詞)を書き入れるところから。だんだん英文も長くなって複数の文になり、倒置なども登場するようになってくる。
 フルタイムの仕事をしながら独学で6冊のシリーズ本を仕上げるには2年間要したが、ほんとうにやってよかった。何よりも「英語ってこうやって読むんだ……」「一見、難しそうな英文であっても、構文分析をしてから辞書を引けば、ちゃんと意味がわかるんだ……」とわかり、まさに目から鱗がぼろぼろと落ちる体験ができたのである。
 ここで構文分析を習得したのが、いまのわたしの英語力のベースになっている。スキルそのものについてもいえるが、どんな長い英文を見ても、構文分析すれば対応できるという自信が得られたのが大きい。
 この教材は英語の勉強で行き詰まっている人にぜひ勧めたいのが、残念ながら絶版だ。いまなら同じ著者の『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』を勧めたい。Sとは? Vとは? というほんとうの基本から、産業翻訳で読む英文レベルまでの英文までのレベルを網羅している。

ここからがほんとうのスタート

 「薬袋方式」に出合って、はじめて「ああ、英語ってこういうふうに読むのか」とわかってきた。やっとスタートラインに立てた。ここからほんとうの勉強の始まりになるということが、痛いほど自分でわかった。

続きは https://note.com/merlin_witch/n/n3e30f91c5113

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