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ウォルマート、店舗設備のデジタルシフトで顧客との関係性をさらに強化

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、ウォルマートを取り上げます。

ウォルマートは、2020年11月24日、ニュースルームのサイトに「We’re Using Our Stores to Help Online Orders Arrive Faster(私たちは、既存の店舗を利活用することによって、オンライン注文の商品がより迅速に届けられるようにします)」という記事をアップしました。

ウォルマートは、クリスマスホリデーシーズンに備えて、「Walmart.com」でのオンライン注文の一部について、通常のオンライン・フルフィルメント・センターの荷重を削減し、より迅速に顧客に商品を届けられるように、店舗から直接配送する仕組みを整えたとしています。現在、米国の2/3のエリアをカバーする2800以上の店舗から直接配送を行っているとしています。

第34回でも述べましたが、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、近年、EC環境の構築に加えて「ストアピックアップ&デリバリー」「インホーム・デリバリー(自宅冷蔵庫までの食品配達)」、さらにはウォルマートを中心としたエコシステムの構築によって、カスタマーエクスペリエンス向上や顧客との関係性強化を進めてきています。

この小売事業のデジタルトランスフォーメーションのポイントは、ウォルマートの最大の強みである店舗設備のデジタルシフト、つまり「EC×店舗」です。今回の打ち手も、その一環と見てよいでしょう。

EC・小売りにおけるマーケティングの要諦は、「強く、好ましく、ユニークであること」が三拍子揃うこととされています。「好ましい」かどうかは、消費者から受け入れられ、共感されるかどうかです。その点、「強い」ウォルマートが、「好ましい」「ユニーク」な存在であり続けられるか。アマゾンも2017年にホールフーズを買収しオムニチャネル化を進めていますが、店舗設備のデジタルシフトは、その重要なアプローチと言えます。

田中道昭

PS.わたしが監修を行った『GAFA見るだけノート』が11月24日に宝島社より刊行となりました。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのビジネスモデルから、決算書、マネジメント術、経営者のリーダーシップまで、テクノロジーの最新動向等ともあわせて、図表と簡潔な文章でコンパクトに1冊にまとめました。よろしければ、ぜひ手にお取りください。


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