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アップル、「Apple One」でサブスクリプションサービス事業を強化へ

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、アップルのサブスクリプションサービスです。

アップルは、2020年9月15日付けプレスリリースで、「Apple One makes enjoying Apple subscription services easier than ever(「Apple One」でアップルのサブスクリプションサービスをこれまで以上にもっと簡単に楽しむことができる)」と発表しました。

プレスリリースによると、今秋から、「Apple Music」「Apple TV+」「Apple Arcade」「Apple News+」「Apple Fitness+」「iCloud」などアップルのサブスクリプションサービスが一つになった「Apple One」が提供され、ユーザーは100以上の国・地域でiPhone、iPad、iPod touch、Apple TV、Macなどでそれらサービスを楽しめるとしています。「Apple One」には個人向け、ファミリー向け、プレミアの3つのメニューが用意され、価格も個々のサブスクリプションサービスよりもリーズナブルになるようです。

アップルの売上高は、2019年9月期決算では、iPhoneやMacといったハードウェアが7割以上を占める一方で、サービスからの売上も約18%となっています。しかも、それは、2014年度決算でのサービスからの売上高と比較すると、2.5倍以上の水準です。「Apple One」は、既存のサブスクリプションサービスをバンドルして価格的にもより使いやすくするという、サービス事業強化の一環と思われます。

ただ、確かに魅力的なサービスですが、バンドルすることでどれくらい他のテクノロジー企業が提供するサブスクリプションサービスとの差別化をはかっていけるのかという、戦略上の疑問は残ってしまうのが正直なところ。

その意味では、「Apple One」を契機とするアップルのプラットフォームやエコシステムの強化や相乗効果の発揮と合わせて、サービスの中に「Apple Fitness+」が含まれている点は興味深いと思っています。わたしはiPhoneやApple Watchがヘルスケアやウェルネスの新たなプラットフォームとなる可能性もあると思っていますが、「Apple One」の取組みがアップルの戦略にどのように作用するのか観察していきたいと思います。

田中道昭

PS. アップルについても解説している拙著も、ぜひ手にお取りください。



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