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アントグループ、上場に向けての詳細を開示

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、アントグループです。第16回第35回でアントグループが香港証券取引所へ提出した上場に向けての暫定目論見書などについて述べましたが、今回はその続報です。

アントグループは、2020年10月26日、コーポレートIRサイトで、香港証券取引所での上場/IPOに関する4つの公式資料(『Listing Documents - Green Application Form』『Listing Documents - H Share IPO』『Announcements and Notices - H Share IPO』、および10月21日付けの『Post Hearing Information Pack(1st submission)』)を公表しました。ちなみに、香港証券取引所のサイトでも、10月21日付けの『Post Hearing Information Pack(1st submission)』が開示されています。

これら資料によれば、香港証券取引所に上場される株式「H株」の発行株式は 1,670,706,000株、オファー価格が80.00香港ドル、よってアントグループは香港市場だけで日本円で約1兆8,000億円の資金を調達する予定ということになります。アントグループのH株は、すべてのプロセスを経た後、2020年11月5日(木)の午前9時から香港市場での取引が開始される予定です。

なお、上海証券取引所STARボードに上場される株式「A株」に関する詳細は、10月27日午前9時の時点では、まだ同コーポレートIRサイトには公表されていません(報道などによると、68.8人民元のオファー価格で香港市場と同規模の調達額とのこと)。

アントグループは、決済の「Alipay」、信用情報の「芝麻信用」、オンライン銀行の「MYbank」、保険の「信美相互」など多くの金融事業会社をその傘下に置き、自らを「包摂的な金融サービスを世界に提供するテクノロジー企業」と位置付けています。その売上高は決済事業とフィンテック事業が約99%を占めていますが、依然売上高に占める割合は小さいながらブロックチェーン「AntChain」をベースにしたテクノロジーサービス事業が成長してきています。

香港と上海での同時上場を契機に、テクノロジー企業としての存在感をますます高めていくアントグループ。引き続き、その事業展開を注視していきたいと思います。

田中道昭

留意事項: 本note記事は、アントグループが2020年10月26日に開示した資料などに基づいて作成したものであり、また冒頭に書いた通り情報のシェアを目的とするもので、いかなる売買や契約の締結/解約を勧誘するものではありません。

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