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テンセントが推進する「クルマのインターネット(IoV)」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げるのは、テンセントInternet of Vehicles(IoV/クルマのインターネット)です。

テンセントは、2020年7月31日、コーポレートブログに「Intelligent Vehicle Innovation Turns Cars into Mobile Digital Devices(インテリジェント・ビークル・イノベーションは自動車車両をモバイル・デジタル・デバイスへ変える)」という記事をアップしました。

テンセントが言うインテリジェント・ビークル・イノベーションとは、クルマで走行中、音声AIアシスタントに話しかけるだけで、例えばWeChatメッセージを読む、コーヒーを注文する、音楽をかける、映画チケットを購入する等、様々な作業をしてくれるソリューション。

これを実現するシステムが「Tencent Auto Intelligence(TAI)」です。TAIはアンドロイドとリナックスをサポートし、IoVのエコシステムを構築しています。今回ローンチされた「TAI3.0」では、便利なユーザー・インターフェイスのもと、組み込まれたテンセント・アプリの中から選択・設定し、ロケーション・ベースで、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供する、としています(動画参照)。

特長的なのが、「WeScenario(ウィー・シナリオ)」と呼ばれるテイラー・メイドの運転シナリオを作れるアプリのエコシステムです。「WeScenario」では、アプリを一つ一つダウンロードする必要はなく、自分自身が描く運転シナリオに合わせてクラウド上でアプリを設定・利用することになります。

つまり、テンセントは、「WeChat(ウィー・チャット)」のミニプログラムのエコシステムを利活用することによって、自社以外のアプリやサービス、開発者を囲い込み、IoVの主導権を取ろうとしているわけです。

田中道昭

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