グーグルの反論:司法省によるグーグルに対する反トラスト訴訟
このnote記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとして「GAFA×BATH」などの米中メガテック企業をはじめと国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中からその内容をシェアするものです。
今日の『戦略をアップデートする』は、第70回で取り上げた米国司法省によるグーグルへの反トラスト訴訟に関連して、グーグルの反論をシェアしたいと思います。
グーグルは、2020年12月17日、コーポレートブログに「Redesigning Search would harm American consumers and businesses(検索サービスの再設計は米国の消費者や企業に不利益をもたらす可能性がある)」という記事をアップし、進行中の反トラスト訴訟に関する見解を述べました。
グーグルは、検索および検索広告市場で、その優越的地位を濫用して不当に市場競争を阻害しているとして、反トラスト訴訟を起こされています(第70回参照)。
ブログ記事は2020年10月20日付け記事などに続くグーグルの反論ですが、特にグーグルの検索サービスでメリットを享受している消費者や企業の観点から、グーグルのスタンスを述べたものです。
それによると、グーグルの主張は次のようなものです。グーグルはユーザーに対して企業サイトへのダイレクト接続を提供することで検索サービスの品質を向上させてきたが、訴えではそこに仲介者(Online Middlemen)の介在が求められている。そして、そうした求めに応じるには、検索サービスの設計を変更する必要があり、それは検索サービスの品質低下につながり、つまりユーザーにも企業にも役に立つことはない。
米国の反トラスト法(シャーマン法)は、第2条で、不正なやり方で市場を独占したり、そうした独占力を濫用したりすることを禁じています。グーグルの検索サービスの品質向上やカスタマーエクスペリエンス向上への取り組みが、この第2条がいう「不正なやり方」や「独占力を濫用」と法的に捉えられるのか、またユーザーと企業がダイレクトにつながるような設計上の仕組みに仲介者が入ることが「不正なやり方」や「独占力を濫用」の是正につながるのか、が争点になってきます。
田中道昭
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