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米国司法省がグーグルを反トラスト法違反で提訴

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』では、米国司法省がグーグルを反トラスト法違反で提訴した件を取り上げます。

米国司法省は、2020年10月20日付けプレスリリースで、「Justice Department Sues Monopolist Google For Violating Antitrust Laws(司法省が反トラスト法違反で独占事業者グーグルを提訴)」と発表しました。

プレスリリースによれば、連邦司法省は、フロリダ、テキサス、ジョージアなど11州の司法長官とともに、グーグルが検索および検索広告市場で反競争的かつ排他的な慣行を通して違法な独占を行っているとして、その是正・差し止めを求めてコロンビア特別区の地方裁判所へ反トラスト訴訟(Civil Antitrust Lawsuit)を提起したとしています。ここでは、グーグルは、「世界中の何十億人ものユーザーや数えきれないほどの広告主が利用するインターネットへの独占的ゲートキーパー」と言われています。

(なお、ウイリアム・バー司法長官による同日付け声明はこちらから)

第63回で述べましたが、10月6日には、下院司法委員会反トラスト小委員会がGAFAの市場支配に関する調査報告書を公表し、GAFA各社の分割など強めの提案をしたところでした。司法省による提訴は、この下院の動きとは直接は関係ないと思われますが、個人情報やプライバシーの保護、あるいはセキュリティーに対する意識の高まりという社会情勢とも相まって、市場支配による消費者への影響がけっして無視できないレベルにまで到達したと見ることができるでしょう。

司法省は、1974年に通信(電話)のAT&Tに対して、そして1998年にはOSとアプリケーションソフトのマイクロソフトに対して、それぞれ反トラスト訴訟を起こしています(いずれも和解成立、なおAT&Tは1984年に分割)。そして、「今回はデジタル市場だ!」とローゼン司法副長官が言うとおり、今回のターゲットが、デジタルプラットフォーマーといわれるグーグルなのです。

グーグルは、同日、コーポレートブログで「ユーザーがグーグルを利用するのは強制されたり代替手段がないからではなく、ユーザー自身が選択したから」「消費者にとっては何のメリットもない欠陥のある訴訟」と強く反論しています(2020年10月20日付け記事参照)。

訴訟は少なくとも数年~十数年続くことが予想されますが、どのようなことが具体的な争点となってくるのか等その行方、グーグルを含めたメガテック企業の反応、さらには各国の独占禁止行政を追っていきたいと思います。

田中道昭

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