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スターアライアンスがITインフラをデータセンターからAWSへ全面移行

このnote記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとして「GAFA×BATH」などの米中メガテック企業をはじめと国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中からその内容をシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』も、アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「AWS」についてです。

アマゾンは、2020年12月14日、「Star Alliance Goes All-In on AWS to Invent the Next Era of Air Travel(スターアライアンスは空の旅の新時代を切り拓くためにAWSを全面採用)」とプレスリリースしました。

プレスリリースによると、スターアライアンスは、AWSを全面的に採用することで、既存のすべてのITインフラをAWSのクラウドに移行するとしています。スターアライアンスはすべてのデータ、プラットフォーム、アプリケーションをAWSへ移行、既存のデータセンターを閉鎖することによって、ITインフラにかかるコストを25%削減するとしています。

ご存じの通り、スターアライアンスとは、全日空、ルフトハンザドイツ航空、シンガポール航空、ニュージーランド航空など26の航空会社が加盟するアライアンス。通常、197ヶ国の約1,300空港に一日当たり12,000便以上のフライトを飛ばしているとしています。

周知の通り、現在、コロナ禍にあって航空業界は深刻な打撃を被っています。各国は出入国制限も行い、旅客や物流の空輸市場は極端に縮小、フライトは大幅減便されています。そうした中、航空会社の収支状況は悪化、事業縮小や経営破綻も起きています。その点、ITインフラのコスト削減は喫緊の課題で、ネイティブのデータセンターからクラウドへの移行は有効な方策となるでしょう。

もっとも、クラウド活用のメリットは、けっしてコスト削減や事業効率化に限るものではありません。また、メリットを効率化だけに留めてしまうことは得策ではありません。ITインフラの信頼性・拡張性を向上させて、また組織の動きをよりアジャイルにすることで、それらをカスタマーエクスペリエンスの向上に結びつける必要があります。

コロナ禍の中でスターアライアンスのクラウド活用がいかに旅客のカスタマーエクスペリエンス向上に資していくのか、関心をもって見ていきたいと思います。

田中道昭


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