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アリババ、サンアートの株式を過半数超取得でニューリテール戦略をさらに推進

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、アリババのニューリテールです。

アリババは、2020年10月19日付けのプレスリリースで、「Alibaba Acquires Controlling Stake in Sun Art(アリババはサンアートの過半数株式を取得する)」と発表しました。

プレスリリースによると、アリババは、中国の大手大型スーパーマーケットオペレーター「Sun Art Retail Group Limited(サンアート)」への出資比率を約72%(直間出資含む)にまで引き上げ(サンアートの財務諸表はアリババへ連結)、これによりオンラインとオフラインを統合させたニューリテール戦略(第4回参照)をさらに推進するとしています。(Bloomberg Markets and Financeの動画参照)

サンアートは、「Auchan((歐尚) 」と「RT-Mart(大潤發)」という2つのブランドのもと、中国の232都市で大型スーパーマーケット(ハイパーマーケット)を484店舗展開しています(2020年6月末時点)。

アリババは、2017年11月以降、サンアートの株式を取得するとともに、同社との戦略提携を進めてきました。現在、すべてのサンアートの店舗はアリババの「Tmall(天猫)」プラットフォームに統合され、またスマート物流「カイニャオ」やデリバリーサービス「Ele.me」といったアリババのエコシステムとの緊密なコラボレーションによって、アリババのニューリテール戦略の一端を担っています。

中国で207店舗(2020年3月末時点)を展開するOMOスーパーのフレシッポ(フーマー)が、アリババのニューリテール戦略の中核にあります。また、アリババは、大手老舗百貨店「銀泰商業集団(インタイム・リテール・グループ)」への出資を通した百貨店のデジタルトランスフォーメーション(2019年10月17日公開『デジタルシフトタイムズ』記事参照)や、伝統的なリアル店舗をニューリテール店舗化するという、いわゆるパパママショップのデジタルトランスフォーメーションも積極的に手掛けています。

アリババは、今回のサンアートへの出資比率引き上げによって、ニューリテール戦略をさらに強く推進していくことになります。

田中道昭

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