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ファーウェイ、深センで5Gのパイロットサイトを立ち上げ

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、ファーウェイの5Gです。

ファーウェイは、2020年8月20日付けプレスリリースで、「China Telecom Shenzhen and Huawei Launch World's First 5G "Super Uplink + Downlink CA" Pilot Site(チャイナテレコム深センとファーウェイが世界初の5G「スーパーアップリンク+ダウンリンク・キャリアアグリゲーション」パイロットサイトを立ち上げる)」と発表しました。

キャリアアグリゲーションとは、移動通信に使われる異なる周波数帯域を複数束ねること。ユーザーにとっては、通信回線の高速化や安定化などのメリットが見込めます。

プレスリリースによると、モバイルキャリアのチャイナテレコム(深セン)とファーウェイは、世界で初めて、5G網上の「スーパー・アップリンク」と「(複数のキャリアにわたる)ダウンリンク・キャリアアグリゲーション」を束ねるパイロットサイトを立ち上げ、5G網上での最適なユーザーエクスペリエンスを提供していくとしています。

ファーウェイの本拠地である深セン市は「5Gスマート都市」として独立した5G網を構築して、チャイナテレコムやチャイナユニコムの5G網が利用できるモデル都市になっています。(CGTNの動画参照)

さらに、このパイロットサイトを通して通信回線の高速化・安定化・効率化を進めることで、5Gアプリケーションをスマホ利用だけに限らず産業用IoTや自動運転など様々な事業領域の階層へ垂直的に拡大させる、5G網のケイパビリティの極大化に取り組むということです。

米中新冷戦の最中、ファーウェイの5Gテクノロジーをグローバル・サプライチェーンから締め出すような包囲網が構築されつつあります。しかしその一方で、5G規格にかかわる特許ではファーウェイは依然優位を保っているとのリサーチもあります。

ファーウェイは、毎年、売上高の10%以上を継続して研究開発に充てています。その研究開発費はトヨタやアップルを上回っており、また研究開発に従事する従業員も全体の4割以上にも及んでいます。今回のパイロットサイトの取組みも世界初(ソースは自社プレスリリースですが)。5G覇権の行方をみる中で、ファーウェイの存在が大きいことは間違いないでしょう。

田中道昭

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