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アントグループが上海と香港でIPOを計画

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、アントグループのIPOについてです。

アントグループは、2020年7月20日付けプレスリリースで、「Ant Group plans a concurrent listing on Shanghai Stock Exchange's STAR market and The Stock Exchange of Hong Kong(アントグループは上海証券取引所STARボードと香港証券取引所での同時IPOを計画)」と発表しました。

アリババが33%の株式を保有するアントグループは、金融サービスを提供するアリババ経済圏の中核企業です(アリババとは非連結)。その傘下には、決済の「Alipay」、信用情報の「芝麻信用」、銀行の「MYbank」、保険の「信美相互」など多くの金融事業会社を置き、世界最大の金融サービスグループの一つと言ってもよいでしょう。

同社は数ヶ月前まで「アントフィナンシャル(Ant Financial Service Group)」としてプレスリリースを出していましたが、現在は「アントグループ(蚂蚁集团)」となっています(正式な発表は出ていないようですが、登記変更をしたと思われます)。

アントグループは、従来から、自らを、「包摂的な金融サービスを世界に提供するテクノロジー企業」と位置付け、「フィンテック」ではなく「テックフィン」企業と呼んできました。今回社名から”フィナンシャル”を取り去ることで、金融サービスやフィンテック自体で収益をあげるのではなく、あくまで「ユーザーの生活上の金融ニーズに応える」「テクノロジーによって金融包摂を実現する」というアントグループの事業の本質をより意識した社名となっています。

アントグループはかねてからメディアで上場のうわさが流れることもあり、「世界最大のユニコーン企業」とも言われていましたが、今回はプレスリリースでの正式な発表で、すでに上場手続きを開始したと言います(目論見書はまだ開示されていません)。時価総額はどれくらいに評価されるのか、昨今の香港情勢に鑑みてどのような影響を持つのかなど、大きな注目を集めています。

田中道昭

PS.著書にてアントグループ(旧アントフィナンシャル)について詳しく解説しています。よろしければ、こちらも手にお取りください!




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