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ファーウェイとサウジアラビアが「ビッグデータ×AI」で提携

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』でピックアップするのは、ファーウェイです。

ファーウェイは、2020年10月22日付けプレスリリースで、「SDAIA partner with Huawei to launch National AI Capability Development Program(SDAIAは国家AI能力開発プログラムを立ち上げるためにファーウェイと提携)」と発表しました。

SDAIAとは「Saudi Data and Artificial Intelligence Authority(サウジアラビア データAI庁)」の略で、原油依存からの脱却を進めるサウジアラビアの「ビッグデータ×AI」に関する成長戦略を担う政府機関です。そして、SDAIAが立ち上げた「国家AI能力開発プログラム」は、サウジアラビア政府、企業、研究機関などがAI領域でパートナーとともに、AI人材の育成を強化したり、AIアプリケーションの開発や民間のソリューションの活用を推進することによって成長戦略に結び付けることを目的としています。

プレスリリースによると、ファーウェイはサウジアラビアの「国家AI能力開発プログラム」にパートナーとして、都市管理、エネルギー、製造、ヘルスケア、輸送、ロジスティクスなど500の領域のAIプロジェクトに協力するとしています。

10月21・22日に開催された「Global AI Summit」の動画も参照願います。

実はファーウェイには、かつて毛沢東が実践した「農村から都市を包囲する戦略」を参考にして、競合企業が手を出せずにいる農村部の市場を開拓することで存在感を高めてきた歴史があります。さらに、中国国内だけでなく、海外進出時にも同様の戦略でシェアを広げ、売り上げを確保。途上国で成功をおさめた後、欧州市場へと事業を拡大していきました。中東やアフリカでのファーウェイのプレゼンス確立には、そうした戦略が背景にあります。

サウジアラビアは、2016年、原油収入に依存し過ぎない国づくりに向けて長期経済計画「ビジョン2030」を発表。このときの目玉が、政府資産の「民営化」と国営石油会社サウジアラムコの「石油生産大手からグローバル複合工業企業への変革」(サウジアラムコは2019年に株式公開とIPOを実施、今やアップルやマイクロソフトと時価総額世界一を競っています)を含めたグローバルなレベルでの民間活力の取り込みでした。そして、「ビッグデータ×AI」はその成長戦略の中核を占めています。

SDAIAの「国家AI能力開発プログラム」は、まさにファーウェイとサウジアラビアの戦略と方向性が一致したというわけです。

田中道昭

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