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グーグル、ニュースメディア支援を強化

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、グーグルのグーグル・ニュース・イニシアティブ(GNI)を取り上げます。

グーグルは、2020年10月29日、コーポレートブログに「A stronger future for journalism through the GNI(GNIを通じたジャーナリズムのより良い未来)」という記事をアップしました。グーグル・ニュース・イニシアティブ(GNI)とは、グーグルが2018年に立ち上げた、グーグルとニュースメディアのコラボレーションを促進する取組みです(動画参照)。

記事では、グーグルは過去2年間でGNIを通して118ヶ国、6250以上のニュースメディアに対して、資金や施策、グーグルのサービスやツール提供などのかたちで総額1億8900万ドル(約200億円)のサポートをしてきたこと、今後もジャーナリズムコミュニティとの緊密な協力を通して建設的かつ持続可能なニュース・エコシステムを構築していくことが紹介されています。

遡ること2020年10月1日付けのコーポレートブログでは、グーグル/アルファベットのサンダー・ピチャイCEOが「Our $1 billion investment in partnerships with news publishers(ニュース・パブリッシャーとのパートナーシップに10億ドルを投資)」とGNIに関する記事をアップし、まずは約200のメディアと提携済で、ニュースメディアの持続的な成長のために今後3年間で10億ドル(約1050億円)の投資を行うとしていました。

この時合わせて、新しいニュース提供サービスである「グーグル・ニュース・ショーケース」も開設しています(2020年7月25日付けコーポレートブログ記事参照)。

かねてから、グーグルに対して、各国政府や報道機関から掲載料の支払いを求める声があったことは周知の通り。10億ドルの拠出や「グーグル・ニュース・ショーケース」開設は、メディアが出すコンテンツをグーグルが使用する見返り、使用料としての意味合いがあります。

売上高の8割以上を広告事業に依存するアルファベット/グーグル。メディア支援を強化している格好ですが、その一方で「優越的地位の濫用」によってメディアに損害をもたらすのではという競争上の懸念も根強く残っています。折しもグーグルは、検索広告市場で反競争的・排他的な慣行で違法な独占を行っているとして米国司法省に反トラスト訴訟を提起されています(第70回参照)。

田中道昭

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