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アマゾンのヘルスケア&ウェルネス・エコシステムの起点「Amazon Halo」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』も、アマゾンを取り上げます。テーマはヘルスケア&ウェルネス・エコシステムです。

アマゾンは、2020年8月27日、「Introducing Amazon Halo and Amazon Halo Band—A New Service that Helps Customers Improve Their Health and Wellness(「Amazon Halo」と「Amazon Haloバンド」-顧客の健康増進を支援する新サービス)」とプレスリリースしました。

新サービス(まず米国で提供開始)の「Amazon Halo」とは、簡単に言えば、装着するリストバンドのセンサーとアプリを介したコンピュータビジョンやAI/マシーンラーニングによる解析によって、ユーザーの健康状態を計測、表示するサービスです。計測されたユーザーの個人情報は暗号化され、クラウドに転送、保存・管理されることになります。リストバンドとメンバーシップをアマゾンのサイトで購入できます(サブスクもあり)。

「Amazon Halo」には、運動の強度や時間によってポイントを付与する「Activity」、心拍数や体温から睡眠を分析する「Sleep」、体脂肪率を測定する「Body」、声の状態を計測する「Tone」、最適なワークアウトを利用できる「Labs」という5つのコア機能が備えられています。

この「Amazon Halo」で注目したいのが、「Labs」の機能として、健康的な生活習慣を身に着ける最適なワークアウトをユーザーへ提案するに当たって、「オレンジセオリーフィットネス」「エイトフィット」「オープンフィット」などのサードパーティーによるプログラムも提供されるということです。

つまり、アマゾンは、クラウドや「ビッグデータ×AI」を基盤にヘルスケア&ウェルネスのエコシステムを構築、さらにそれを通してユーザーのヘルスケア・データを収集することで、エコシステムを強化する仕組みを創っているわけです。

アップルは、「アップルウォッチ」「iPhone」というプラットフォームやヘルスキットのエコシステムによって、ヘルスケア戦略を立てていることが推察されます。南アフリカの金融サービス企業「Discovery」は、各国で保険商品と一体化した健康増進プログラム「Vitality」を提供、ある意味ではVitalityのエコシステムを構築しています。

アマゾンは、「Amazon Halo」によって、ヘルスケア&ウェルネスでの競争にも加わることになります。今後のグローバルな事業展開に注目したいと思います。

田中道昭

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