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アントグループのオンライン専用銀行MYbank、「グローバル・ショッピング・フェスティバル」に参加する小規模事業者向けに無担保クレジットを準備

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、アントグループMYbankについてです。

アントグループは、2020年10月21日、「MYbank shortens payment cycles for small and micro businesses in the lead up to 11.11 Global Shopping Festival(MYbankは11月11日の「グローバル・ショッピング・フェスティバル」に向けて中小・零細企業の支払いサイクルを短縮する)」とプレスリリースしました。

MYbankは、2015年に設立されたアントグループ傘下のオンライン専用銀行です。アントグループのAIなどテクノロジーを基盤とした小規模・零細企業や個人向けの小口融資、消費者金融を事業の柱としています。借手は、MYbankへの融資申込み手続きをスマホ一つで行うことができます。

一方、11月11日の「グローバル・ショッピング・フェスティバル」とは、アリババが開催する毎年恒例の世界最大規模のショッピングイベントで、B2Cの「天猫(Tmall)」や「天猫国際(Tmall Global)」、C2Cの「タオバオ」といったECプラットフォーム、物流の「カイニャオ」、決済の「アリペイ」、デリバリーの「Ele.me」などアリババのエコシステムはもちろん、多くの事業者が参加しています。

プレスリリースによると、MYbankは、「グローバル・ショッピング・フェスティバル」に参加する事業者向けに、4000億人民元の無担保クレジットを用意したとしています。それによって、事業者は、購入者が事前注文を行うと融資全額を受け取ることができ、売上がたってからの支払いサイクルを最大約20日短縮できると言います。言わば、アリババ経済圏の総力をもって、アリババの一大イベントにのぞむ格好です。

第35回で見たように、アントグループの2019年売上高の内訳を見ると、MYbankをはじめとするクレジットテック(Credit Tech)は、決済関連(43%)に次いで35%を占め、インシュアテック(Insure Tech)とともに高い成長を記録している事業部門です。

中国人民銀行によると、中小企業は中国の事業者全体の90%以上を占め、都市部の雇用の80%、中国のGDPの60%に貢献しています。MYbankは、これまで2900万以上の小規模・零細企業や個人向けに小口融資を実行、その平均融資額は約50万円で、「小規模事業者の活動を支援する」「金融包摂を実現する」というミッションにのっとった事業活動を行っています。

田中道昭

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