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ウォルマートとGM傘下のクルーズが自動運転配送サービスで提携

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、ウォルマートを取り上げます。

ウォルマートは、2020年11月10日、「Walmart Teams Up with Cruise to Pilot All-Electric Self-Driving Delivery Powered by 100% Renewable Energy(ウォルマートは100%再生可能エネルギーによるEV自動運転配送のパイロットプロジェクトでクルーズと提携)」とプレスリリースしました。

プレスリリースによれば、ウォルマートは、GMグループで自動運転の開発を担うクルーズとの提携によって、アリゾナ州スコッツデールの居住者を対象として、オンラインで注文された商品をクルーズの自動運転車で配送するサービスを提供するとしています。

アマゾン(第6回参照)や中国のJD.COM(第44回参照)など、自動運転による配送サービスは、すでに複数の企業によって社会実装や実証実験が進められています。EC小売りにとって、物流の強化は、カスタマーエクスペリエンス向上にとって欠かすことができない戦略です。一方、環境の観点からEC小売りの事業活動は厳しい目を向けられるという点では、「EV×自動運転」は、ますます事業への実装が求められることになるでしょう。

そして、自動運転の社会実装を進めてきたGM傘下のクルーズ。GMは、リーマンショック後に一度破綻した会社です。かつては世界最大の自動車メーカーとして業界に君臨したGMも2000年代には経営状態が悪化、2008年には世界ナンバーワンの座をトヨタに明け渡しています。しかし経営破綻以降、GMは経営変革を着々と進めてきました。そして2014年以降、変革を牽引してきたのがメアリー・バーラCEOです。

バーラCEOによれば、自動運転の車両から無人タクシーサービスまで自社で手がけるための「パラレル戦略」をとるとのこと。そこで、2016年にGMは自動運転技術開発ベンチャーのクルーズ(動画参照)を買収、GMの量産や部品調達ノウハウを注ぎ込むことでスピード感ある製品化を目指してきました。EV事業も「2021年までには黒字転換する」と公約しています。

田中道昭

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