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この時季に食べておきたい~新鮮野菜と季節の移ろいと~

例年、3月下旬から4月上旬にかけて、朝採りの新鮮野菜を求めて北関東を訪れる。
今年は三年ぶりだ。

 濃いピンク色に染まった早咲きの「おかめ桜」を横目に、東京を出発したのは3月下旬の19日。暖かい。

おかめ桜

車は東北自動車道を、北へと2時間ほど走る。

途中、車中から見える遠くの富士山はすっぽりと雪をかぶり、那須連山も雪景色。

車中から山々の雪景色を眺める

北関東はまだ真冬のように寒い。

さらに進んで栃木県北部に到着した。一歩先は福島県だ。
東京のように桜のつぼみは見えてこない。
寒いから、人も少ない。19日から22日は雪が降り、20㎝も積もった。

立ち寄ったテラスはあっという間に雪が積もった

だが、朝採り野菜の市には新鮮な野菜達が並び、人々が市場に吸い込まれていく。

とりあえず数品購入

市場の前面に緑鮮やかな「アブラナ科」の新鮮野菜が並んで出ていた。

菜の花、菜花、かき菜、つまみ菜、丸くない房ブロッコリー、わさび菜、みず菜等々。

雪の下から顔を出した蕗の薹まで売られている。地元の奥さん達が朝収穫して市の店先に置いてくれている。

生産者さんの名前付きの野菜を店先に並べる姿も見えた。
生産者さんと、料理の作り手との距離感が一気に縮まる感じがした。

 
この時季いつも思うのが

「菜の花」「菜花」「かき菜」「つまみ菜」等そっくり野菜の何がどう違うのか?

どれも同じように見えて、食べ方の違いもよくわからない、と思ったことはありませんか?
売っている場所、食べ方等それぞれの違いはいったい何なのだろうか?

生産者さんに聞いてみた。

 【菜の花】
緑の葉の先端に黄色い花をつけているのが菜の花と思い浮かぶが、アブラナ科の総称が菜の花。
菜種油用や観賞用、食用と各々品種は異なるが、食用で2月頃から一般に出回っているのは「なの花」だ。

「浸し」「辛し和え」「パスタ」等のレシピが知られていて、鮮やかな緑色と少し苦みが効いて、これが「菜の花料理」のアクセントになっている。
浸しや辛し和えばかりでなく、脂っこい料理の添えに茹で野菜としてよく合う。

 【菜花】
菜花は、アブラナ科植物の茎の部分と若葉の部分を摘み取ったもの。
茎部分と若葉や花芽部分を食べ分けることができるため、料理の幅を広げられる。

苦味や渋みが少ないため「浸し」「辛し和え」「ごま和え」「炒め物」等に使っても癖が無く食べやすいとの声が多い。

地域によっては、食用のアブラナ科全般を「菜花」という名称で店頭に並べているため、区別をせずに使っている場合が多いようだ。

【かき菜】
これもアブラナ科の野菜。
もともと北関東で栽培されている菜花の変化した種類で、関東の伝統的な葉物野菜として知られている。
見た感じは次に出てくる「つみ菜」に似ていて、地域によっては「のらぼう」と呼ばれているのが、かき菜に近いもののようだ。

つぼみは無く、わき芽をかき取って食べられることから「かき菜」と呼ばれるようになったそうだ。葉に艶感がないため、高級には見えないが葉の甘みは高級に値する。

生産者さんによると、天気の良い日にかき菜の芯となる茎にとうが立ったら、その蕾を収穫して、わき芽の蕾や葉も収穫していくそうだ。

茎がしっかりした食感で、食べ応えがあり甘みもある。
私はこのかき菜が、他にない独特の香りがあって大好物だ。

【つみ菜】
これもアブラナ科だが、菜の花のわき芽や茎、葉の部分を積んだ葉物野菜。つみ菜という名称で売られているものには「アスパラ菜」と呼ばれるものもある。
茎がしっかりしていて、アスパラのような甘みがあるからだ。

地域によっては、つみ菜には色々な品種があって、スーパーで見かけるものは「つみ菜」でひとまとめにして販売している場合もあるようだ。

 
最近では、品種を少しづつ変化させながらアブラナ科の野菜は地域によって名称のとらえ方が違うので、面白いと思っている。

 菜の花、菜花、かき菜、つみ菜は全て食べることができ、無駄がなく、お得感がたっぷりだ。
これらは春先だけの期間限定野菜なので、ぜひ食べてみてほしい。

 
帰りがけに、ふと見ると「わさび菜」「みず菜」が目にとまった。

いつものスーパーで見かけるが、これらは数倍新鮮だ!
食べられるだけ買ってしまった。

【わさび菜】

アブラナ科のからし菜種。
わさびのような爽やかな香りとピリッとした辛味、シャキシャキ感がクセになりそうだ。

わさび菜は生でも茹でても炒めても美味しい野菜だ。新鮮なうちに生でシャキシャキの食感を味わう。葉先はサラダのトッピングやサンドウィッチにおすすめだ。

また、茹でても炒めてもよく、さっと茹でてお浸しや和え物に、鍋に入れても鮮やかな緑色を楽しめる。
炒め物、浅漬けの一品、天ぷら、みそ汁も美味しい。

 【みず菜】

これもアブラナ科の越年草で、年中見られる。
京都原産の京都の伝統野菜で京菜とも呼ばれている。関西では食べたときにピリっと辛みを感じる品種が出回っているそうで、関東では茎が柔らかく、辛みも少ないので生で、サラダのようにして食べられる。

冬の野菜なので鍋物にさっと使われるが、関東では、辛みの少ない一般的な品種をサラダなどにして食べることが多い。

紫水菜や路地物のしっかりした水菜もあるので、料理は使い分けるとよい。

 アブラナ科の野菜は、品質改良されて種類がたくさんあり、色々な料理に使えるので食べないと損。
さらに葉も茎も、花の蕾部分も全部美味しく食べられるので、無駄がない。


ただし、アブラナ科の植物は、生では強い苦みや渋みがあるので、生のまま多めに食べることはあまりお勧めできない。(少量なら可)

さっと茹でるなどの下処理をしてから料理に使うのが良いでしょう。


春先のスーパーでは菜の花をよく見かけるが、かき菜やつみ菜などは、道の駅や生産地の直売店などで新鮮な状態で見かける。
一度、直売所をチェックしてみてほしい。

特に、かき菜は関東の伝統的な野菜のため「種」も売られていて、自家栽培をする人も増えているそうだ。

 栄養は、日本食品成分表(2022年版八訂)から、「なばな類」として「和種なばな」を示した。

100g当たり、34㎉、たんぱく質4.4g、脂質0.2gとヘルシー。
βカロテンが2200㎍も含まれているため、緑黄色野菜と言え栄養の価値は高い。

今年もこの時季、北関東の道の駅(産直市場)で新鮮野菜を手に入れた。
現地で食べたら、野菜の香りと甘みを感じて調味料いらずだ。

わさび菜を新玉ねぎやサニーレタスと共に

ただ、帰宅して食べたら、同じ物のはずなのに食感や味に違いがあると感じた。
生産地の空気感、気温、景色、開放感等が食材の美味しさを確実に左右する。

今回もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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