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夏の水分補給~あなたならどうする?~

気温と湿度が急に高くなってきました。熱中症に注意する季節ですね。
汗を拭いても拭いても出てくる、めまいや立ちくらみがする、全身がだるく意識がもうろうとする等の経験はありませんか?まさか自分が・・・
熱中症のサインです。怖いですよね!

熱中症の予防と言えば①水分を補給する②栄養と睡眠を十分にとる③室内の温度調節をする等が思いつきますが、中でも脱水症の予防として水分補給が重要です。
とにかく水やお茶ばかり飲んでいる人へ、脱水症を予防するためにはどのような水分補給が良いのかをお伝えしていきます。

1 体の水分を知ろう

体は、たくさんの水つまり体液(血液・リンパ液・組織液等)からできています。その成分は、水だけではなく電解質(ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等)と非電解質(ブドウ糖、たんぱく質、尿素等)からできていて、栄養のある水分なのです。体液は、成人で体重の約60%を占め、加齢とともに減少して高齢者では50%程度となります。その役割は①酸素や栄養を運ぶ②老廃物を運び出す③体温を一定に保つ等があります。
体液は、こうした様々な機能を維持するために必要ですので、脱水によって失われると、体は危険な状態にさらされてしまいます。

一般成人の体に入る1日の水分量は、おおよそ食事1000ml、飲料水1200ml、体で代謝する水が300ml、合計2500mlです。体の外に出る水分は、おしっこと便で1500ml、汗と呼吸等で自然に出るのが1000ml、合計2500mlで、これで体の水分の収支が保たれています。

2 熱中症の予防にはまず脱水の予防が重要

脱水症の原因は、気温の急な上昇、発熱、高温下における運動や作業、これらによる発汗、下痢・嘔吐、多尿等々です。脱水症は、体内の水だけではなく電解質も同時に失われてしまいます。これにより体液の量・質ともに不足して、体に循環不全を起こし、対応が遅れれば、命の危機にも直面してしまうのが熱中症です。

水や電解質が大量に失われるとなぜ体に悪いのでしょうか?
【体の水が失われると】
血圧が下がり各臓器の血流量が減少してしまいます。栄養が運ばれなくなったり、栄養のかすである老廃物が体の外に運び出せなくなって、代謝が悪くなり熱がこもって身体に障害が起こります。

【体の電解質が失われると】
骨ゃ筋肉の構成成分が不足したり、神経や筋肉の活動や臓器の働き(例えば不整脈等が発症)が障害を受け、日常生活に支障をきたすようになります。特に、高齢者はもともと体の水分が減少している上、食事量も少なくなり体液の量と成分の両方が大きく変化し、脱水の原因となって重症化しやすくなります。自分の身体と生活状況に応じた水分補給がこまめに必要です。

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3 水分補給と塩分

水分補給と言うと何が何でも水とかお茶を飲む・・・と考える方が多いと思います。体液は水だけではなく電解質、特に多くのナトリウムを含みますので、塩分補給が必要な場合があります。

◎塩分補給が必要な場合
長時間、高温の場所で作業や運動をしていると、大量の汗をかき、体の水分だけではなく塩分などのミネラルも失われてしまいます。この状態で大量に水だけをとりつづけると、体の電解質のバランスが乱れて体調を崩してしまいます。大量の汗をかいたときは、水だけではなく塩分などを補給できるドリンクや塩を添加した飴などをこまめに利用しましょう。

◎塩分補給が不必要な場合
日常生活でじわーっと汗をかいた程度では、水だけでも十分に水分補給になります。少しずつかいた汗は、体の中で塩分が再度吸収されて一定を保っているので、改めて食塩を補給する必要がありません。
日本では、普通に食事をしていれば十分な塩分をとっています。
汗をかいて失った以上の塩分の補給は、かえって血圧の上昇や、動脈硬化や腎臓病などを悪化させる要因となってしまいますので注意が必要です。

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4 脱水ぎみの時の水やスポーツ飲料で注意すること

水分補給は水と塩だけではありません。体の中では、塩と糖が水分を運んでくれています。この塩と糖の絶妙なバランスが実は重要なのです・・・

①水ばかり飲み続けているとどうなるの?
極端に水ばかりを大量に飲み続けていると、小腸から体の中に吸収され、体液全体量が増えてやがて血管の中へ水分が移動していきます。そして薄まってしまいます(希釈)。細胞に存在するナトリウムイオンも影響を受け、低ナトリウム血症として、倦怠感、吐き気、嘔吐などのいわゆる水中毒の症状が現れてしまうのです。水だけの飲み過ぎはよろしくありません。

②スポーツ飲料ばかり飲み続けているとどうなるの?
スポーツ飲料は、水と比較して糖質や電解質が多く含まれています。さわやかな甘さで飲みやすく、喉が渇くと大量に飲んでしまう可能性があります。飲み続けると、糖質濃度が高いために高血糖を引き起こし、血液の浸透圧が上昇し、さらに喉が渇いてスポーツ飲料を飲み続けるという悪循環を招いてしまいます。甘い飲み物等ペットボトル症候群の人も要注意です。
結局、脱水症が改善するどころか、肥満や糖尿病、腎臓病などの疾患を悪化させてしまいます。

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5 食事と水分

一般成人の1日の食事中の水分は、メニューと分量にもよりますが、1000~1200ml程度含まれています。基本的に食べ物からは水分もミネラルも摂れるのですから、まずは1日3食きちんと食べ、夏季においてもスープ料理(みそ汁や清汁等)は大切です。プラスお茶や水などの飲料水を1日1200mlを目安に摂取すれば十分な量です。食事時のお茶が1日600mlとして考えれば、残り600mlをこまめに飲めば無理なく水分がとれます。

6 その他

最近は、経口補水液と言って、いわゆる「飲む点滴」なるものが市販されています。意識があり、口から食べられる等脱水が軽度の内は、経口補水液は有効です。
健康な人が飲むと美味しくなく、脱水の人が飲むと美味しいと感じる程度の成分で体に優しくできています。
ただし、塩分制限を行っている高血圧症や、血糖コントロールを行っている糖尿病、心不全で水分管理中の方は、飲み過ぎで影響がありますので是非主治医にその取扱いをご相談ください。

今後は、炎天下のスポーツ時、災害時、室外での作業時、旅行時などあらゆる場面での熱中症対策を検討しておく必要があると思います。







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