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栄養食事療法№7 貧血編 貧血予防の食事を紅葉の彩に学ぶ

いつもよりパワーがない、疲れやすい、などと感じていませんか?
そこには、貧血が隠れているかも知れません。

貧血にはいろいろな種類があります。その中でも、一般に多いのは赤血球中のヘモグロビン合成に必要な鉄が不足する「鉄欠乏性貧血」です。
治療の基本は、食事療法と鉄剤等の併用ですが、今回は、鉄欠乏性貧血の食事について、管理栄養士からお伝えします。

〇貧血とは

そもそも貧血とは、酸素を体全体に運ぶ運搬車の役割としてのヘモグロビンが、少なくなった状態のことです。必要なところに酸素が運ばれず、息切れや動悸、倦怠感などがあります。

貧血の原因は、栄養不足や鉄の摂取不足、吸収障害、消費量の増大、他の血液疾患等によって、赤血球中のヘモグロビンの合成障害が生じて起こります。

健康診断の結果では、血清ヘモグロビン値が、おおよそ男性の基準値が12.6~16.5㎎/㎗、女性が10.6~14.4㎎/㎗で、これを下回ると、貧血傾向とチェックが入ります。数値によっては貧血の症状を感じないこともあり、治療に至らないケースも多々あります。

貧血には重大な病気が隠れている場合があります。医療機関を受診して、原因を追究し、主治医の治療方針に従って治療をすることが重要です。
その場合においても、誰もが行なう必要があるのが食事内容の見直しです。

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〇栄養バランスの良い食事が大前提

鉄欠乏性貧血には、極端な食事制限や欠食、偏食によるものも見られ、血中ヘモグロビン値は、栄養状態の良し悪しの指標のひとつとして使われています。

貧血といえば鉄の補充だけに注意が行きがちですが、まず、栄養バランスの良い食事が食べられているかどうかを見直すことが大切です。

栄養バランスを知るためにおすすめなのが、食事に赤・緑・黄色の組み合わせがあるかどうかを確認することです。
主菜にたんぱく質性食品(血液になる源:赤)、副菜の野菜(ビタミン類:緑)、主食である炭水化物のごはんやパン(エネルギー源:黄)がそろっていることを毎食意識して食事をとるように心がけます。
たんぱく質源の赤、ビタミン源(野菜)の緑、エネルギー源の黄、の彩が良いことが、秋のこの時季、紅葉の色にイメージがぴったりだと毎年思っています。
このように3色の彩を意識して食事をすると、自然と栄養のバランスが整います。その結果、栄養素の吸収や代謝が促進しますので、ぜひ意識してみてください。
参考までに、私は紅葉の時季が過ぎると、信号機の赤・緑・黄色を思い浮かべるように切り替えています。

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〇食品中の鉄には種類がある

日本人は普通に食事をしていると、鉄の摂取量は必ずしも十分とは言えません。鉄を食物として摂取すると、体に摂取量の10~15%吸収されます。

鉄には種類があります。肉類や魚介類などの動物生食品に含まれる「ヘム鉄」と、大豆や野菜などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の二種類です。この違いは、体内での吸収率に大きな差があります。
動物性のヘム鉄は、そのままの状態で吸収され吸収率は30%程度です。
植物性の非ヘム鉄の吸収率は5~10%と約1/3になってしまいます。

一般に鉄は体内に貯蔵されていて、減少すると新たに吸収されます。体内の貯蔵鉄が多いと吸収率が下がり、貯蔵量が少なくなると吸収率が高くなる素晴らしい仕組みがあります。常に貯蔵鉄は充足しておきたいものです。
完全に貯蔵鉄が枯渇すると、充足するまでに6ヶ月はかかるとされています。日頃から、食事中の鉄は意識して摂取しておきましょう。

食事中に吸収の良いヘム鉄を多く含んでいる肉類、魚介類、レバー等をメニューに取り入れ、野菜と果物を積極的に食べます。
また、非ヘム鉄は、たんぱく質の多い食品(肉・魚・卵・豆腐)やビタミンCの多い野菜や果物と一緒に食べると吸収が良くなります。

それでも不足すると感じる場合は、鉄強化のゼリーや乳製品、鉄強化飲料などを適正量利用するのもひとつの方法です。ただし、過剰摂取は胃腸障害や便秘などの弊害がありますので注意が必要です。

〇鉄の吸収促進と阻害のこと

鉄は、食品中三価イオン化合物として存在しています。人が食べて胃酸によって三価イオンとして遊離し、ビタミンC等によって二価イオンに変化して体に吸収されていきます。
体内で鉄を吸収しやすくするためにも、新鮮な野菜と果物は食事と一緒に食べたほうが良いと考えています。

胃酸の分泌を促進するためにも、梅干し、酢の物等酸味のある食品を取るのも効果があります。
また、クエン酸も鉄の吸収を促進するので、食後のデザートにミカンなどの柑橘類は鉄吸収率のアップに有効です。

緑茶やコーヒーには、健康における良い効能もあります。しかし、貧血がある場合は、緑茶や紅茶、コーヒーに含まれる「タンニン酸」が鉄と結合して、鉄の吸収を妨げてしまいますので、食事前後1時間くらいは控えることが必要だと考えています。
茶葉を焙じてタンニンを減少させたほうじ茶は、この限りではありません。

〇簡単美味しい「レバー料理」の一口メモ

私は、レバーを調理する時に手が汚れたり、臭み抜きの下処理が面倒だ、と思う方です。そうしたことにならない方法でお伝えします。
★豚レバーのレバニラ炒め(2~3人分)
 豚レバー200g(新鮮なものを選びましょう)
 塩コショウ少々
 サラダ油大匙1~2杯
 ニラ1束
① 豚レバーを塊のままラップで包み、冷凍をする
② レバーは半解凍して、やや凍ったまま3~5mm程度の薄切りにする。
こうすることで、レバーの切り汁が出ず嫌な臭みも出ません
③ ニラは4~5cmに切りそろえておく。お好みで、もやしを加えても良いです
④ フライパンに油を熱し、強火でレバーを炒め、塩コショウをする。レバーは油と相性が良く、臭みがないので塩コショウだけで十分に美味しく食べられます
⑤ レバーに火が通ったところでニラを一緒に炒め、しんなりしたらできあがり

★鶏レバーの甘辛煮(二人分)
 鶏レバー150g
 にんにく5~6片
 にんじん150g(中1本)
 しょうゆ大匙1杯
 砂糖大匙1杯
 みりん大匙1杯
① 鶏レバーは冷凍をする
② 鶏レバーは半解凍して一口大に切る。こうすることで手も汚れず臭みも出ません
③ にんにくは皮をむいたら、かるく叩いてつぶしておく
④ 鍋かフライパンに調味料を入れ煮立てておきます
⑤ 調味料を煮立てた鍋に、鶏レバー、にんじん、にんにくを入れて煮る。照りが出るまで十分に煮絡めてでき上り

参考にしてみてください。

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