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やめたいことを確実にやめる「強化の原理」7つの法則(行動分析学)が面白い。

根性が弱いほうだ。意志の力も強くない。万年帰宅部だし、自己コントロール感が全くない青春時代を過ごした。ADHD傾向も相まって、やりたいことがやれない、やめたいことがやめられない・・自分自身に引きずりまわされるような半生だった。今の成熟度を持って、小学生に戻れるなら戻ってやり直したいくらいだ。

ところが、そんなダメ人間の私も、この数年で新たな習慣をどんどんと身につけることができるようになっている。今さらながら「発達」している自分に気づいてちょっとワクワクした。
多くのノウハウ本を読んだり、ライフハックを研究したりしているうちに、その根底にある行動分析学・行動心理学を知らず知らずのうちに使うようになっていたからだ。今までは、無意識のうちに行っていたことだが、行動分析学を本格的に学びだすと、自分の習慣や行動を「自在」に操れることを理解できるようになった。(理論的には)

行動分析学の本を読み漁っている中で、出会ったこの本は格別に面白い。イルカのトレーナーが書いた「強化の原理」に関するノウハウだ。この中から、特に「やめたい行動をやめるための7つの法則」(厳密に言えば、やめてほしい行動をやめさせるための方法が、この本には取り上げられている。)を紹介してみたい。

やめたい行動をやめるための7つの法則

最初の3つの方法は、ネガティブな方法だが、それなりの効果があるので、社会で使われている。4番目~7番目は、ポジティブなアプローチで行動を変革する方法だ。

1:抹殺法
織田信長式だ。「泣かぬなら殺してしまおうホトトギス」。やめさせたい行動を止められないなら、存在自体を抹殺してしまうことだ。他の人の問題行動をやめさせたい時に、抹殺法しか選択肢がないとなれば、それは恐ろしいことになるだろう。究極的には「死刑」か「投獄」しかないからだ。

タバコやアルコールなどの依存を引き起こす物質の常用をやめたいなら、この世界からタバコを抹殺してしまえばいい。つまり、身の回りにあるタバコやタバコを吸いたくなる誘惑すべてを消去する。これは思い切った処置だが効果はある。しかし、問題は、世界のすべてから、誘惑を抹殺することはできないことだ。

2:嫌子法
これは、お仕置きや罰を与える方法だ。家庭内では親、学校では教師、職場では上司、社会では警察が、この方法を使ってあらゆる行動をコントロールしようとするため、行動を変えるには「嫌子」を与えるしかないと思い込んでいる人が多い。

しかし、この方法の大きなデメリットは、嫌子の刺激に人は徐々に慣れていき、やがて、もっと厳しい罰を与えないと効かなくなること。つまり罰がエスカレートしやすいことだ。しかも、嫌子は、どんな行動が良いのかを教えるものには、決してならない。ただ、ただ抑え込もうとすると反発が待っている。(参考:ADHDの二次障害は反社会的行動と非行。発達障害は褒めて育てよう。

自分自身に罰を与えて、自分の行動を正そうとする人もいる。罪悪感で、自分を罰する癖を持つ人もいる。私は、罪悪感と共に生きてきた。しかし、これは、あまり効かない。正確に言うと効かなくなったのかも。慢性的な罪悪感は、すでに行動への影響がなくなっている。

3:消去法
やめさせたい行動が出現した場合に、それに全く反応しない(無視)ことで、だんだんその行動が出なくなっていく。時と場合によっては有効だ。いじめのように、いじめられる子が泣いたり怒ったり反応すると、よりいっそう、からかいやいじめが激しくなる場合がある。しかし、何も反応がかえってこないと、いじめっ子は、やがて面白くなくなってやめてしまう。

自分の行動を変えるためには、行動をすることによって得るメリットを消すことだ。例えば、タバコ依存の人が、タバコが美味しくなくなる薬などを飲むのは、この方法の応用だろう。タバコを吸うとリラックスしたり、美味しいという好子がなくなり、吐き気などの嫌子が生じるようになると、黙っていてもタバコをやめるだろう。

私も、慢性膵炎になりかけていた時、アルコールを飲むと、みぞおちが痛くなり苦しくて横にならざるを得なかった。そんなことを繰り返しているうちに、お酒を飲みたい気持ちが、どんどん少なくなっていったのだ。

4:対立行動法
この方法は、とても興味深い。やめたい行動と同時にはできない行動を強化することで、結果として、やめたいことを確実にやめられるようになる方法だ。この本の中で取り上げられている例では、吠えてやまない犬には「伏せ」を訓練すると良いという。横になった状態で吠えることができる犬は少ないからだ。

タバコをやめたいのであれば、タバコを吸えないような趣味や楽しみを強化すれば良いということになる。タバコが大嫌いな彼(彼女)ができれば、デート中にタバコは吸えなくなるだろうし、本当に惚れていれば、吸いたいとは思わなくなるはずだ。

私の場合で言うと、何かにつけて落ち込む癖があるんだけど、そんな時に、落ち込み行動と対立する行動を強化すると良いと分かった。例えば、大声で好きな歌を歌うとか。落ち込まないようにしよう!と意気込まなくても、落ち込めないようなことを行うと良いのだ。

そういえば、以前、この番組で、緊張しない方法として、下を向くのではなく、上向きになり飛び跳ねるという方法を紹介していた。(参考:【感想】又吉直樹のヘウレーカ!「大舞台で実力を発揮できますか?」)。飛び跳ねながら、緊張することはできない。ははは、面白い。

5:合図法
ある特定の状況下だけで、その行動を起こさせるように強化することで、他の場面では、その行動が起こらなくなる方法だ。著者はイルカのトレーナーなので、この方法を用いて訓練した例が出ている。

イルカがショーの最中に、何度も勝手に潜ってしまう問題行動に悩んでいた著者だが、合図法を使うことにした。つまり、イルカが潜った時に、その行動にご褒美(餌)をあげて強化したのだ。やがて、イルカは合図があった時にだけ、潜るようになった。そうしたら、ショーの最中は合図を出さないことで、イルカの問題行動を制御できることになる。

この方法の応用では、子供たちを静かにすることができる。どうしても子供が騒いで静かにならない時は、時間を決めてその時間は大騒ぎをするようにする。30秒とか時間を決めて大騒ぎをすると、その瞬間は楽しいのだが、やがて飽きる。2~3回やると、すっかり大人しくなるという。

実は、私がネットサーフィンをやめることができたのは、この方法だったと分かった。Toggleという時間計測ツールを使って、あらゆる行動の時間を計るようにした。ネットサーフィンを行う時は、ネットサーフィンの時間を計って、その行動を行うようにした。
結局、ネットサーフィンの醍醐味?というのは意識せずともダラダラしてしまうことなので、意識的に時間を計ってネットサーフィンをすると、長くても10分以内にやめてしまうことが分かった。これは、良い方法だと思ったが、実は合図法の応用だったのだ。

6:他行動法
やめさせたい行動は消去(無視)し、良い行動だけをひたすら強化する方法だ。消去法の発展版と言えるのかもしれない。著者の実例では、老人ホームにいるお母さんから愚痴の電話が来るのに閉口していたが、愚痴に対しては、反論も何もせずに「ふんふん」とか「へえ」と相槌で返し、不平以外の話題には、熱心に応答し強化したのだ。そのうちに、お母さんは不平を言わなくなり、いつの間にか電話の時間は楽しいものになった。

これは、興味深い方法だと思ったが、自分のやめたい行動をやめるための応用は難しい?(わからない)。

7:動機法
これは、行動の動機となるものを操作することだ。簡単な例で言えば、スーパーでお菓子を欲しがる子供も、買い物に行く前に十分にお菓子を食べていれば欲しがらない。私も、買い物に行くまえにプロテインを飲むと、さすがに、お腹が空いていないもんだから衝動買いを避けることができた。動機法は、行動分析学というより、私がなじんできた心理学の知識に近い。

行動の原因になる動機を分析して、先んじて、それを変えることだ。タバコを吸う人は、実は孤独で寂しいことが多い。タバコが唯一の友達なのだ。それを変えるためには、タバコ以外の交友の機会を少しずつ作ることだ。この本には、タバコを吸う前に、必ずカウンセラーに一言電話(留守電に吹き込む)してからにするというルールを決めて、人に頼ることや、交友することを条件づけて、タバコをやめた例が登場する。(参考:恐怖心を克服する小さな一歩【書評】脳が教える! 1つの習慣 ロバート・マウラー

行動は変えられる

以上、7つの方法を取り上げてみた。原著では8つあるらしい。中には応用方法がちょっとわからない?ものもあったが、やめたい(やめさせたい)行動が明確であれば、この方法を組み合わせて「強化の原理」を使いこなすことで、行動に変化をもたらすことは、難しくないのだ。

「強化の原理は単純である。それを全部黒板に書くのに十分もあればいいし、一時間もあれば覚えることができる。この原理を応用するのはもっと楽しい。強化を使った訓練はゲームのようで、それも速い思考を必要とするゲームである。」(うまくやるための強化の原理 カレン・プライア著 二瓶社 P2)

すっかり行動分析学にハマり、あらゆる本を読みまくっているのだが、グサッと心に刺さるものもあれば、なんだか七面倒くさくてよく分からんという本もある。これは、実践しながら学ぶ類のものであろうから、こんなワークブックで、自分で自分をしっかり教育しようかと思っているところ。これは、面白い趣味を見つけてしまったという感じ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq