恐怖心を克服する小さな一歩【書評】脳が教える! 1つの習慣 ロバート・マウラー
何度も引っ越ししている我が家は、引っ越すたびに蔵書の一斉処分を行うのだけれども、どこに行っても持ってくる大事な本がある。それが、この本だ。この本は、元気を失くした時とか、不安に圧倒されそうな時とか、自信を失くしそうな時に読むと、小さなやる気の炎が燃える。大好きな本だ。
千里の道も一歩から
「習慣」に関する本を集めている中で出会った本だ。脳が教える一つの習慣とは「変化に向けて、日々小さな進歩を実践する習慣」のこと。そうするために、ばかばかしく思えるほど小さな一歩から始まる行動習慣を教えている。アマゾンのレビューの多さで買ったんだけど、ハズレ無しだった。
「毎日小さなことを改良していけば、やがて大きなことが起こる。毎日少しずつ身体を調整すれば、やがて大きな改良が見られる。それは明日ではない。翌日すぐに起こるわけではない。だが、いずれ大きな進歩が訪れる。大きな改良を早急に期待してはいけない。日々、小さな改良を求めるのだ。それが変化を起こす唯一の方法だ-こうして変化が起きれば、それは持続する。」(脳が教える!1つの習慣 ロバート・マウラー 講談社 P20)
小さな改善を繰り返して生産性を上げていくという考えは、もともとは、戦時中にアメリカで生まれた品質管理の方法(デミング博士が発案)だった。戦後、GHQのマッカサーが日本にこの方法を導入した。やがて、日本の企業で、この方法は「改善」として知られ、やがて全世界に「KAIZEN」という手法となって広がっていくことになる。
小さな一歩は恐怖心を克服する
どんなことを試みるにしても、脳は大きな変化を嫌う。それが、どれほど自分に良い影響をもたらすものであるとしても、変化することを脳は嫌う。恐怖心を抱くのだ。その恐怖心を突破する方法は、脳をだますこと。あまりにも「小さな一歩」(ばかばかしいくらいに小さな一歩)を繰り返すことだ。
そのために、この本の中では、
・小さな質問
・小さな思考
・小さな行動
を繰り返すことを勧める。運動しなければならないことが分かっているのに、おっくうで、運動できない患者に対して「テレビのCMの時間に1分だけ足踏みする」ようにとつげる。たかが1分。ちょっとだけやってみようと、取り組むと、やがて、それは1日30分以上の運動習慣へと成長していく。
つまりは、最初の「動き出し」が大変なのだ。自転車でも、最初に漕ぎ出す時のペダルが一番重い。一度動いてしまえば、あとはスイスイと進むのではないか。小さな一歩。できる限り、小さな行動は、脳の恐怖を回避するコツだ。行動に恐怖を持つ人が行えるテクニックを紹介しよう。
マインド・スカルプチャー
マインド・スカルプチャーとは、簡単に言えばイメージトレーニングだ。これから行動に移したいと思っただけで恐怖心を感じるような物事の場合、タスクを実践するのは簡単ではない。そういう場合は、まず頭の中で思いめぐらすところから始めるとよい。具体的なやり方は次の通りだ。
1:あなたがいま、やるのをためらっている作業、あるいはやっている最中にイライラする作業を一つ選び出す。それを実際の行動に移すまで、少なくとも一か月の猶予を置こう。
2:その作業のマインド・スカルプチャーに、一日あたり何秒かけるかを決める。割り当てる時間は分単位、時間単位ではなく、かならず「秒単位」にすること。取り組む時間がごく短ければ、毎日簡単にやり遂げることができる。繰り返しが大切だ。
3:マインド・スカルプチャーを行う準備ができたら、静かで心地よい場所に座るか横たわり、目を閉じる。
(脳が教える!1つの習慣 ロバート・マウラー 講談社P112)
つまりは「秒単位」のイメージトレーニングだ。この本の中では、苦手な対人関係の克服のために、毎日30秒を割いた男性の話が出てくる。イメージはできる限り、イキイキと思い浮かべるようにする。五感を使ってその世界に入り込む。イメージなのだから、好ましい反応になるように考える。
妄想でいいのだ。
やがて、苦手で恐怖心を感じていたものに、近づくのが恐ろしくなくなる時が来る。その時こそ、小さな行動を始める抜群のタイミングだ。次は「1分」だけでも、苦手を克服できる方向に進む一歩を探し出す。あとは繰り返しだ。
こんな小さなことで、何かができるだろうかと侮るべきではない。どんな偉業も、小さな一歩から始まっている。恐怖心を克服することさえできれば、どんな変化も遂げていくことができるのだ。
小さな「改善」を繰り返すことで、人は変化していく。読んで良かったと心から思える本だった。がむしゃらに何かにチャレンジする前に、ぜひ読みたい本だね。
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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq)