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発達障害(ADHD)にとっての「天職」を見つけよう。地味でも熱中できることを。

発達障害の特性を持つ人が、うまく社会でやっていけるかどうかは、相当の部分、どんな仕事を選ぶかに依存するのではないだろうか。学校はもちろん大変なのだけれども、仕事が合っていないと本当に苦しいはず。(参考:ADHDに合う仕事、合わない仕事。私の場合。

しかし、発達障害の特性を持つ人が、「天職」を見つけるというのは難しい現実がある。本音を言えば天職どころか、まともにミスをしないでやっていける仕事なんて、ほんの一握りしかないのだ。岩本氏が言う通りだ。

「自分の特性はわかったけれど、そんな特性があったらどの企業も採用してくれないということに気づくんです。ひとり悩んだあげく、大人の発達障害の解説本に書いてある「ADHDに向いている仕事」「アスペルガー症候群に向いている仕事」に就こうとします。でも向いているとされる仕事に求人なんてなかなかありません。現に私もADHDに向いている仕事に就こうとしましたが、「記者」だとか「学者」なんて仕事はそうそう転がっているものじゃありません。」

発達障害の「天職」

発達障害本、ガイドブックでおすすめされているような仕事は、簡単には転がっていない。それこそ、夢を大きく持てば持つほど、挫折感も大きくなる。そんな中で、岩本氏の天職の見つけ方は参考になると思う。現在はレノボで「データ分析」の仕事をしており、それを天職だと感じているという。

「いちばん簡単に自分がフローの状態になりやすい作業を探すときの方法が、「時間の感覚がなくなる作業を見つける」ことです。」
「そしていざ自分の経験を思い起こしてみると、ちょうどその年から担当していた予算作成の作業でやっていた過去実績の分析のとき、食事やトイレもそっちのけになるくらいに時間を忘れて集中して仕事をしていたことを思い出しました。」
「朝からその作業に着手して、昼食時間も忘れそうになりながら、定時過ぎまで時間を忘れて作業がつづけられたのはデータの分析作業が初めてでした。」

岩本氏の場合は、その熱中できる仕事の分野がデータ分析だった。そこで、就職活動をデータ分析に絞って探し、自分にあった仕事を見つけたのだという。岩本氏も最初は、企業ブランドや会社規模・給与・待遇などで、仕事を探していたのだが、途中からは「自分が熱中できること」に絞るようになった。その結果、データ分析という分野を見つけたのだ。

発達障害を持つ人の成功本は、起業をしている人などが多く、一般人から見ると、そもそものレベルが違って参考にならないということが多い(ように思う。そもそも成功本を出しているのは、そういうレベルの人のなのかもしれないけれど。)その点、岩本氏のデータ分析というのは、地味に見えるものの、手が届く感じがよい。

そうか、あらゆる仕事の中でも、自分が熱中して、時間の経過が速く感じるような仕事があるだろうかと考えると良いって分ったからだ。

「天職」を見つけるまでの過程

発達障害は、普通の人から見れば、怠け者に見えることがあるようだ。努力していないと言われることがある。しかし、そうではない。何度も何度も、練習しても、どうしてもできないなら、その仕事の適性がない可能性が高い。私の場合だと、レジ係の適性はゼロであった。何度もお釣りを間違えて、クレームの嵐だった。

無理なことは速めに見切るのがストレスだらけの日々から抜け出す方法だ。幸い大人になれば仕事は選べる。たまたま最初に選んだ仕事と一緒に心中する必要はない。ADHD特性のある人の場合は、職場環境というより、その職種に適性があるかないかで、その後のストレス度が変わる。そういう意味では、無駄な我慢をしないようにしよう。

ただ、色々やってみないと、自分の適性が分からないというのも事実だ。痛い経験もしながら、向いていないものが分かってくる時に、向いているもの、大げさではなくても、岩本氏が言うように時間の感覚がなくなっちゃうくらい集中しちゃうものを探すのもよい。

私の場合も、会社経営も含めて、いろいろな職種をやってみて、結局は、WEBライターのように文章を書きまくっている仕事が、一番熱中できる。こうやって、仕事じゃない時間に、noteを書いたりするくらいなのだから。ここまでたどり着くまでに15年はかかった。いたずらに、できないことを克服しようとしていた時期も長かったので。

発達障害、特にADHDは、向いている仕事をしよう。結果として、人から見ると、かなり地味な仕事になるかもしれないが、日々の幸福度は高くなるだろう。やりがいを追求し・高い給与をもらう格好いい仕事に就いていても、日々のストレスに悶絶しながら、日々、涙目だったら意味がない。

発達障害の天職は、手の届くところに、地味なところにある可能性が高い。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq