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目的ではなく目標を達成する「勝負脳の鍛え方」林 成之

最近は「脳科学」にはまってしまい、類書をせっせと読んでいる。刺激を受けて脳が活性化している感じもしないでもない。心理学的、メンタルを強める的な観点で考えてきたことも、脳科学のフィルターを通すともっとよく理解できる。

今日は、北京オリンピックの競泳チームにも随行した林成之氏の本を紹介したい。著者は救急の現場で世界最高峰のチームを育て上げた脳外科医だ。

サイコサイバネティクス理論

著者は、サイコサイバネティクス理論を自分なりに応用している。(サイコサイバネティクスとは、整形外科医のウィナー博士が開発したもので「人は目標を定めると、無意識にその目標に向かうようになる」という理論。)

1. 目的と目標を明確にする。
2. 目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する。
3. 目的を達成するまでその実行を中止しない。

林氏によると、「目的」を持つのは大事だけれど、いざ勝負に臨む時には「目標」に焦点をあてた方が実力を発揮できるという。たとえば、野球の例で言えば、「ノーヒットノーラン」を目的にすると、必要以上にピッチャーは気張ってしまう。だからこそ「一人一人を確実に討ち取ること」を目標に据える。

例えば、1番の選手は前のめりの姿勢でバッティングするので「内角高めにストレートを投げ込むこと」のように目標を手の届くところまで細分化して、そこんとこだけ、考えて投げ込む。この姿勢がもっとも勝利に近くなる考え方だという。

勝つことではなく過程に集中する

イチローもヒット数の世界記録を作ろうという大目標の前に、毎回の打席で一本ずつヒットを打つ目標を持っていたそうだ。得たい結果ではなく、その過程過程での目標に注意を集中することが、結果として目的にたどり着く助けになる。

「2006年冬季オリンピックのフュギアスケートで金メダルを手にした荒川静香選手・・・「順位はまったく考えていませんでした。新しい採点法に対応するために、演技ごとに自分の欠点を明らかにして、一つ一つをいかに完璧にこなすか集中していました。一位になれたことにびっくりしました。(P111)」
「結果を意識するのではなく、それを達成するために必要な技、作戦に気持ちを集中させる。(P111)」

とくに、日本人の勝負の勝ち方は、これが鉄板なのだという。勝つという目的ではなく、それを細分化した、小さな目標を達成することに全力を傾けること。「気がついたら勝っていました」というのも、脳科学の分野から言えば、あながち謙遜だけでもない。

仕事に適用すれば、「出世する」とか「給料をあげる」とか、自分が望む「目的」にあまりにも焦点を合わせすぎてはならない。もちろん、「目的」がないと、迷宮入りしてしまう可能性もあるんだけど、実際に仕事に取り組む時、それこそ一日ごとには、もっと身近なところに「目標」を定めなければならないということだ。

一日ごとに目標を達成する

私の場合だと、毎日、行う仕事をファイルに入れておくことで、その日、その日のうちに、なすべき仕事を終える。「目的」にそって細かく「目標」を細分化しておく技術が必要だけど、それさえ、済んでいれば、あとは細かく考えなくても、とにかく一日一日一生懸命生きるだけだ。

私の場合、「目的」という大前提から少しでも外れていると思うと、動けなくなる、フリーズしてしまう不器用さがある。ここらへん柔軟に一日ごとに今日の目標を、こなしていく!くらいの感覚で取り組んでいきたい。

シンプルに、毎日の行えることを決めて、それに全力で取り組むには「マニャーナの法則」を読んでみるのがおすすめ。

まとめ

バリバリの脳外科医が、スポーツ・ビジネスについて語るという発想が面白く、楽しんで読んだ。趣味の読書だ。スポーツに限らず、何でも「脳」だな~という実感を深めている。当たり前なんだけど。たまに、脳科学っぽい本を読むと楽しい(でも、あまりにも難しいと読めないけど)

この本もおすすめ。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq