ADHDの仕事が遅いのはなぜ?優先順位をつけられない脳。
ADHDは仕事が遅いと思われている。実際には過集中している時ってのは、普通の人の何倍も速いと思うんだけど、とにかく余計なことに気が散りまくるので、最終的には納期に間に合わなかったり、仕事をため込んでいる印象があるのだと思う。も~ほんと、残念だよ。
ビジネスは結果がすべてなので、言い訳にしかならないけれど、努力だけは人一倍しているのに、仕事が遅く見えるのは残念だ。しかし、そんな私でも十数年をかけて、少しずつ自分をコントロールできるようになってきた。今では仕事が速いと言われることもあるくらいだ。今日は、そんな話だ。
参考:仕事術の基本は、ラストスパートではなくロケットスタート。
原因は優先順位がつけられないこと
ADHDが集中して仕事をしている姿を見たら、とても不真面目とは言えないことが分かると思う。本当に一生懸命に仕事をしているのが分かってもらえるはずだ。しかし、結果が伴わないのはどうしてか。
それは一言で言えば、優先順位がつけられないことにある。仕事にはいくつかの種類がある。優先順位というのは、この種類を見分けて、一番大事なことから、しっかり手を付けていくことを言うのだ。
・緊急で重要なこと
・緊急で重要ではないこと
・緊急ではないけれど重要なこと
・緊急でも重要でもないこと
しかし、ADHDの場合は、大事なことよりも、やりたいことに手をつけてしまうことが多すぎる。発達障害の専門医、田中氏の指摘がズバリだ。
「その瞬間瞬間の判断で行動することが多いので、先を見通して全体の進み具合を調整するという発想がほとんどありません。目の前にある業務に集中して、ひとつずつこなしていくほうが得意なのです。」
「しかも自分の興味や関心が行動の基準になりますから、関心が高い仕事には必要以上に手をかけます。いろいろ気になり、そこから余計なことまで調べだし、横道にそれていくこともしばしばです。本来の仕事が進まないまま、気がつくと「えー、もうこんな時間?」と本人も驚くような事態になりかねません。」(P64)
ADHDは、気がつくと「緊急でも重要でもないこと」に集中して時間を使っていることがある。なぜ、そのタスクを始めたのかというと、やりたかったからだ。仕事をやりたいか、やりたくないかで判断してしまうのだ。普通の人なら「このタスクはやりたくないけど、今やらないと間に合わないよな」と思うと、まずは、やるべきタスクを片付けるのだが、ADHDは違う。
「やりたい仕事」が「重要」であると勘違いしてしまう。私も「緊急ではないけれど、重要な仕事」を書き出していたところ、気がついたら、リストが延々と伸びていった。つまり、なんでも「重要」と思い込んでいるということだ。実はほとんどのタスクは「重要」ではなく「やりたいこと」なのだ。
タスクを見える化すること
もちろん、冷静になれば、どちらが大事なのか、緊急なのかはわかる。ADHDは知的障害は伴っていないのが普通なので、本当に重要度が分からないわけではない。しかし、とっさの時に判断を誤るのだ。時間がない中で判断しなければならない時、ADHDの脳内はフリーズする。
始業前に、今日のタスクが決まっていないとしたら、それはレッドゾーン(危険)である。朝になって「さあ、仕事を始めよう。さて、何からやるかな?」と考えだしたら、まず大事な仕事は放っておく(おそらく一日中)ことが目に見えている。これを防ぐためには、前日の夜までには、次の日の仕事を見える化しておくことだ。
私はタスクはすべてフセンで管理している。前の日の晩に、フセンを並び替えて、最も大事な仕事(緊急で重要)は何かを見極める。そして、朝一番はとにかく、その仕事に全力を尽くすのだ。
やりたいかやりたくないかではなく、前の日に自分で決めたタスクをやる。ここに意志を入れないことだ。MIT(もっとも大事なタスク)から仕事を片付けるのだ。
ADHDは、頭の中で、ごにょごにょと考えることは不可能だと知ろう。とにかく、一度、頭の中から外に出した情報を、並び替えて、事前にタスクを決めておくことだ。ちなみに、私の経験では、正確にタスクの並び替えができるのは、一日分だけだ。
夜ルーティーンに組み込む
だから、毎晩毎晩、次の日に行うタスクを決定することが必要だ。この準備なく、朝を迎えてしまうと、今でも余計なことに翻弄されて、気がつくと仕事をためてしまうことが多い。これは治らないらしい。
おすすめなのは、夜ルーティーンに翌日のタスクを見返す時間を入れることだ。私は21時からの30分は、一日の反省と、翌日のタスク並び替えと決めている。21時になると、スマートウォッチのアラームが教えてくれる。この時間になると、何をしていても、次の日のタスクの準備だ。
数か月、これをやり続けると習慣になってくる。習慣になれば、一日ごとは大丈夫だ。最近少しずつ進歩して、1週間単位くらいの予定であれば、優先順位のコントロールができるようになってきた。しかし、1か月は、まだ遠い目標だ。
今のところまでの、MIT仕事術やルーティーンの作り方をまとめた本が下記のものだ。ただ、ノート術やフセン・時間割の作り方は、この本を書いた後に、ぐんぐん進歩したので、やがてアナドレン2をリリースする予定だ。
綿樽剛の著書一覧
大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq)