仕事は手を抜くべきだというお話
どうもこんにちはもっちーです✋
本日は少し刺激的なタイトルを付けてしまいましたが、お読み頂くとその理由がお分かり頂けると思います。精神科医と言う立場で私が考えていることをお話ししますので是非最後までよろしくお願いします😊
しかしこのタイトル、「仕事では一生懸命頑張るべき」「手抜きなんてズルだ真面目にやるべき」と言う声が聞こえてきそうです。
画像の田中さんはやり過ぎですが、実は社会人として長く働いたり活動していく中では上手に休む事が「頑張る」ためにもとてもとても大事なスキルになります。
なんせ人生は長いです。学校を卒業してから定年まで長ければ40年以上あります。この期間を「真面目」に「頑張る」ためにはエネルギーをいかに温存するかや蓄えるかが重要です。
それ即ちいかに「上手に手を抜くか」、「上手に休むか」という事になります。
学校生活ではテストなどで頑張る期間が区切られており、テストまでにいかに頑張るかが求められます。そしてテストが終われば自然と緊張が緩和していました。
しかし大人になれば仕事の締め切りなどはあるものの、それよりもいかに長く続けられるかという事が重要になります。学校を卒業すると勉強の手を止めてしまう方が割と多いですから勉強を細く長く続けると大きな差が着きます。そんな「継続は力なり」を体現するためには自身でしっかりとテスト後の様な緊張が解けるタイミングを作ってあげるか、続けられる様な負荷のかけ方をする必要があります。
ただ、私の体感ですが精神科を受診するに至る方の中には「上手に手を抜く」事が苦手な方が非常に多いのです。
ある方は疲れやストレスを認識する事自体がとても苦手だったり、ある方は「真面目に頑張るべき」と言う考えから離れられなかったりします。
「疲れやストレスを認識する」と言うと、「そんな事くらい普通に出来るよ」と感じると思います。ですが、実は「疲れやストレスを認識する」までにはいくつかのハードルがあります。
「疲れ」「ストレス」と言うのは日常的に使われる単語なので何となく分かっている気になりますが、実はとても抽象的で言語化しにくいものなのです。生まれ持った脳の特性によって「抽象的なものを理解する能力」と「抽象的なものを言語化する能力」は人それぞれに得手不得手があります。そしてこう言った学校教育で習って身につける事では無いものは学生時代に数値化されることが無く、また自分の感覚が他の人と違っている事を認識させられる機会も少ないので、自分でもまた家族や友人からも気が付かれにくいのです。
周りの人も自分が学んで身に付けたもの以外は当然全員が出来ると思っているので、出来なかったり苦手だったりする人が居ることを思いも付かなかったり理解出来なかったりします。
自身で疲れやストレスを認識する事が難しいと限界ギリギリまで頑張れてしまいますし、身体の不調が出てしまいますがそれが一体何故そうなっているのかを理解する事が出来ません。なので、ギリギリまで頑張ってある日パタリと動けなくなってしまうという事が起こります。
「○○するべき」という考えを「べき思考」と言ったりする事もあります。「べき思考」に捕われてしまうと段々と余裕のある柔軟な考えが出来なくなり、「こうやるべきなのに出来ない自分は駄目だ」と自責的(自分を責める考え方)になってしまいます。
そう言った「べき思考」にとらわれないようにすると言うのは言葉で言うのは簡単ですが、1度捕われてしまうと抜け出すのは非常に困難です。「こうするべき」と言う指針があると言うのは、本人にとっては正解がある事になり、正解の無い漠然とした状態から解放される事になります。漠然とした状態に強い不安を感じる方も少なくない人数いらっしゃるので、「べき思考」と言うのは一時的にはその方にとっては救いになってしまいます。いずれはその考えが足枷になってしまう訳ですが。精神科では徐々にそう言った「べき思考」から離れるようにお話を聞くことがありますが、ある程度時間が経ってもふとした瞬間に「べき思考」に捕らわれていることを再確認するという事があります。そのくらいに手強いものなのです。
なので、この文章のタイトルは敢えて「仕事は手を抜くべき」と言う極端な言葉にしました。長く続けるのに良い「べき思考」が世に広まってくれれば、「べき思考」に捕らわれたままでも上手く過ごしていく事が出来るようになります。「べき思考」というその方にとっての正解に寄って立ち、穏やかに過ごせるのであればそれが1番良いのではないかと思います。精神科に受診するくらいに辛くなってしまう方が減る事に繋がるのではないかと思います。なので、是非皆様も「仕事は(上手に)手を抜くべき」という啓蒙をして頂けたらと思います。
ところが、ここでひとつ問題が発生します。「抽象的なものを理解するのが苦手」な方にとっては「上手に」手を抜くと言うのが非常に難しいのです。
「疲れたら」ちょっと休憩するという事が難しいので、より具体的に考える必要があります。「1時間デスクワークをしたら3分ストレッチをする」「昼寝を15分とる」などが例として考えられます。
上手く手を抜く事が出来る方は頑張り過ぎてしまう方を見つけてそれとなく長く続けられるコツを伝授してあげてくれたらと思います。
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