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「発語を増やしたい」言葉についての最初の話

「できるようになってしまったら、できなかった頃には戻れない」

発達支援センターに来る子どもたちの目標に「発語を増やしましょう」はよく見かけるし、プレーパークに来るママたちとの会話でも「よくしゃべるようになった」という話をよくします。
成長のひとつの目安として、言葉への注目度はとても高いです。
それはきっと、大人たちが子どもとコミュニケーションを取りたいと思っているから。
意思疎通するために「言葉」という道具が必須だと思っているからじゃないでしょうか。

ところで、自分が飼っている動物に「お腹すいてるの?」「どうした?」って話しかけた経験はないですか?
そして、相手が思っていることがわかったこと、ないですか?
犬にしても、猫にしても、モルモットにしても、もしかしたら金魚も、飼い主に言いたいことがあるし、飼い主も「わかったよ、しょうがないな」って撫でてあげたり、餌をあげたりすること、ありますよね。
そして、そこに言葉のやりとりはない。

コミュニケーションに言葉は必須ではありません。
言葉のでない相手とも、私たちはコミュニケーションをとっています。
表情で、ジェスチャーで、もしかしたら醸し出す空気感で、私たちは相手を理解できる、分かり合える。
ただ、そのコミュニケーションでわかることはざっくりしていて、詳細はわかりにくいかもしれないけど。

言葉は便利です。
電気がなかったり、ガスや水道がない生活が不便なように、言葉を使わないやりとりは不便です。
だけど、火を起こす楽しさや、水を汲みに行く苦労のなかにしかない面白さもあるし、それを知った上だからこそ、電気やガスや水道のありがたさ、便利さがわかるんじゃないでしょうか。

言葉は伝えるための道具です。
伝えたいことと、伝えたい相手がいなければ必要のない道具です。
言葉がでない、うまく伝わらないからこそ感じる「伝えたい」という気持ちや「なぜ伝わらない」という葛藤があります。
そして、それが言葉を身に着ける動機になります。
伝えたい相手を見つけること、伝えたい何かを見つけること、そして伝わったときの、一緒に感じる、共感できる喜びをたくさん知ってほしい。
その先に、そのためにあるのが、言葉です。

「あなたのことをわかりたい」「伝えてほしい」と思っている人がいることを子どもたちが知っているかどうかはとても大切なことです。
私の周りにいる人たちに、私がそう思っているということが伝わるように日々を過ごしたいなと思っています。



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