それでも日報を書いている話~Beyond The Mendokusai Kimochi~
このお話は、新卒で入社した会社で日報を書く習慣が染みついた私が、転職した会社では日報を書くことを一切求められていないのにもかかかわらず、それでも日報を書き続けているお話です。
毎日終業間際に「日報書くのめんどくさい」「でも日報書かなきゃ」という気持ちの間で揺れるあなたに贈る、ちょっとポエムみたいな私の体験談を、ゆるっとした文体と共にお楽しみください!
(「あ、安部礼司」のオープニング風。伝わる人に伝われ…!)
「日報ってなに?おいしいの?」と思っている人にも、ぜひお読みいただければと思います。
ちゃんと日報書いてる?
新卒で入社した会社は、日報を書く文化が根強いベンチャー企業会社でした。
毎日終業時刻までに提出しなければならず、書かないで帰ろうとするものなら「日報、書いた?」と言われ、書かないで帰った日がちらほらあれば面談で「最近ちゃんと日報書いてる?」とたしなめられる始末。
社員が書いた日報は、社長や部門長だけでなく、メンバー全員が閲覧できるようになっていました。
(※私が在籍していた会社は某会社の複数ある子会社のうちのひとつで、200名程度の規模でした。グループの社長には全子会社の社員の日報が毎日送られていました。)
「あの人の日報みた?」という会話から、「こういう施策やってみたらいいかも」とか「なんかあの人最近大変そうだよね」とかそういう会話が当たり前のカルチャー。
最初は「日報ってめんどうくさいな、MTGでの報告でいいじゃん」と思っていた私も、数年在籍して日報を書くことに慣れました。
日報を書くことについてなんとも思わなくなってとりあえず出せばいいかという考えになったというより、「日報っていいよな」という考えになりました。
他部署や全社の動きをキャッチアップするための情報源としてがっつり活用していたからです。
だからこそ、日報を書くことの重要性を理解し、内発的動機をもって書くようになりました。
そうして、日報を書き、メンバーの日報を読むことが、私の習慣になりました。
ここまで読んで、「そりゃ、日報を書かなきゃいけない環境だったら書くようになるし、自分の行動を肯定的にとらえるようになるのが人間でしょ」と思った方、ここで離脱せずに、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
こんな光景、はじめて見た
新卒入社後約4年働いた会社を退職したのち、50名ほどのスタートアップに転職をしました。
社会人たるもの、日報を書くことが求められて当然だという教育を受けた私は、転職先の会社で見たこともない状況を目の当たりにしました。
「え……誰も日報書いとらん…」
まず、日報を書く場所がない。
コミュニケーションツール(Slack)で業務報告している素振りもない。
(※副業でジョインしている人は簡素な業務報告をしていました)
「今日何するの?」「昨日何してた?」と聞いてくる人もいない…。
つまり…、
「そっか~日報、書かなくてていいのか~(のび太)」
と思った自分がいたことは、ここにちゃんと書いておきます。
書かないとむずむずするんだけど
「日報書かなくていいじゃんラッキー(そういうことじゃない)」と思ったのは事実ですが、それと同時に「日報書く文化がないってことは、他の人が何しているかわからんってこと…?」と不安になりました。
これまでは、普段協業をすることがあまりない部署の動きでも、日報を読めば何をしようとしているかは把握することができました。
また、常日頃同じチームで働いてるメンバーの日報を読んで「あの時実はあんなこと考えてたんだ…」となり、相互理解が深まったことは何度もありました。
そういうコミュニケーションの場がなくなった(と錯覚したと表現した方が正確かもしれません)ことを理解したとき、急にひとりぼっちになった気分になったことを覚えています。そして、「意識的に色んな人とちゃんとコミュニケーションとらなきゃ、一生”よそもの”になってしまう!」と焦りました。
そこでとった行動は、やっぱり日報を書くことでした。
とりあえずやってみるけど、どうだろうか
とりあえず、日報を毎日書いてみることにしました。
(※「今日は低気圧で頭痛がひどいから早く退勤したい!」という日は除く。体調万全第一主義。)
私が新しい職場の人のことをわからないのと同時に、皆さんも私のことを知りません。まずは私がどんな人間で何を考えていて、毎日何をしているのか知ってもらうのが良いのではと考えました。
先ほど言ったように日報を書く場所はないので、ひっそり作成した自分のtimesチャンネルに投稿。
私のtimesには、チャンネル開設当初、チームメンバー・上長、他部署のメンバー数名の合計5人くらいが参加してくださっていました。
最初は特に反応がなく発信することに不安を感じましたが、単純接触効果を信じてデビューしたてのアイドル並みに頑張ってみることにしました。
(※アイドルを目指したことは一度もありません。その予定もありません。)
これは私の勝手な想像ですが、「この人律儀に日報書いてる…」と思っているチャンネルメンバーはひとりはいたはず。
それでも、時折リアクションやコメントをしてくださる人もいて、「実際どう思われているかわからないけど、自分が何を考えているか届いているな」と実感することも増えました。
日報はいいぞ、でも日報じゃなくてもいいと思うぞ
「日報」を書く話をさんざんしてきましたが、ここまで読んで「それは日報という形のものでなくてもいいのでは…?」と思った人!
はい、ありていにいえば、「日報」じゃなくていいと思います。
「日報」という形ではなくとも、timesで自分の状況をぽんぽん書いている人は何人かいます。そういう人のチャンネルを覗けば、「ああ、この人はこれをやっているのか」ということが伝わります。
どんな形でもいいので、「こんなことしています」「こんなこと考えています」がお互いに理解できる習慣や場があるのがいいと思います。
「日報」という形で提出を求められている人は、提出頑張ってください…としか言えないのですが、でも、ここまで読んで「日報書くのも悪くないな」と思ってもらえたら嬉しいです。
日報はこんな人、こんな組織におすすめ
まずは、私のように、転職したての人。
自分がやっていること、考えていることを積極的に発信し、自分について知ってもらう機会を作ってみましょう。
周りの人があなたについて知っていることがある方が、会話のきっかけが増えるでしょう。
つぎに、部署間の連携に課題がある組織。
お互いに何をしているかわからないことで生まれるミスコミュニケーション。そしてフラストレーション。
日頃発信していれば、「なんであの人あんなこと言うんだろう」「あの部署ちゃんと仕事してるの?」ということは減るはず。
相手の状況を知っていれば、想像力が働き、配慮あるコミュニケーションができるのではないでしょうか。
全員が完全に自走できる組織でレポーティングもちゃんとできていて、個人も部署間も相互理解ばっちりだぜ!という人/組織がいれば/あれば、日報(というか各々による発信)は不要かもしれません。
ですが、「人と人が完全に理解しあうことは不可能である」派の私は、どんな手段であれコミュニケーションをとる努力は怠らない方がいい、と考えています。
さいごに
この記事は、転職して約2ヵ月(入社前の業務委託期間を含めると3ヶ月)経って書いた記事です。
もしかしたら、「日報という手段以外でちゃんと周囲とコミュニケーションとれているし、日報を書く必要はないな」と思う日が来るかもしれません。
それでも、転職したての(気分がまだ続いている)今、日報を書いてよかったなと思っている私の話でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
最後の最後になってしまいましたが一点補足しておくと、転職して入社した会社で誰も日報を書いてないとは書きましたが、日報を書く文化はなくとも周りの皆さんはちゃんとコミュニケーションがとれている人たちです。
「日報書いてないからダメじゃん、前職では~」という出羽の守になるつもりは毛頭ございません。