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16. 五色は人の目を(ごしきはひとのめを)

外側の刺激や快楽を求めすぎず、自分の内側から湧く感覚を信じる


「老子」を学ぶ上で、その内容が何となく地味で深すぎて混乱し、また綺麗なものに対して批判やアンチ的な意味合いに捉えらえたり、行動を制限されるようで、「じゃあ何にもできないじゃん」と思われる方もいると思います。

せっかく頑張っているのに、足を引っ張るように「そんな欲望は持つな」とか、「学ぶな」みたいなことを言われてしまうと、残念な気持ちになってしまうこともあると思います。

ですので、「老子」にどっぷり浸かる必要もなく、頭の片隅に置いておいて、それらを自分が選択しているという認識さえあれば十分ではないかと思います。

そういった意味では、ある程度人生で何かをやり切ったと思える人にとっては、これまでの人生を振り返るには良い学びだと個人的に思います。

わかりやすく言うと、現役引退したイチローさんなんかは、もうこの完全に「老子」のフェーズに入っていると個人的に感じます。

若い人でこれから色々な夢を描いている人はまだ「老子」は早いかもしれません。もっともっと色々チャレンジして、沢山失敗したりしてから「老子」を読むと、かなり心に刺さると思います。

老子は「食べる」という生理的欲求以上は求めない事を勧めている


その上でお伝えするのは、「五色は人の目を」です。


老子は「簡単に手に入る快楽や刺激は人の感覚や判断を狂わせるのでやめよ」と言っています。

現代で代表されるのはやはり「スマホで見る動画」でしょう。

これは今日のタイトルのように「簡単に瞬時に得られる視覚刺激」です。

これが爆発的に需要があり、スマホ、スマホ、で世の中大騒ぎです。

しかし、なぜこんなにも人々がスマホ、スマホと言っているのかと言うと、人間は皆「自分ができるだけ傷つかずに簡単に何かをを得たい」と思っているからでしょう。それは人間には危険回避の欲求が備わっているので自然な反応なのですが、売る側はそれを熟知しています。

そしてスマホは物のない時代からすれば夢のまた夢のようなツールです。ですので特に現代の子供がそれを当たり前に思って使っていると、子供自身の感覚や判断力や可能性を奪われてしまうのではないかととても危惧しています。

このスマホですが、皆さんも薄々はわかっていると思いますが、これには莫大なインフラへのコストと電気エネルギーがかかっていて、実はこれこそが地球温暖化に拍車がかかっているのではないかと思います。

そして電気エネルギーというのは、その約80%が大気中に放出されてしまうとのことなんです。実際に使うことができるエネルギーは20%ということなんです。

もっとわかりやすいのはエアコンです。エアコンを付ければつけるほど外が暑くなるのは、その電気エネルギーの80%が大気中に放出されてしまっているからです。そして熱を持ったまま放出されたエネルギーは、回収することができないのです。

しかし、もうどうすることもできない時代に生きているのが私たちかもしれません。それが人類の危機につながるのかまだ誰にもわかりませんが、外側からの強い刺激に慣れ過ぎた現代人へのツケは、どこかで起こってくるかもしれませんね。

マズローの5段階欲求の「生理的欲求」を満たせるだけで十分に幸せだという老子


当時から、珍品や乗馬などの贅沢や、世を綺麗ごとで支配することに反対していた老子。そして空腹を満たすことに集中すれば、そんな見栄や贅沢などの気持ちが起こらないはずだと言っているのです。

もう現代では通用しない価値観かもしれませんが…。

しかし昔も今も人間の本質は変わっていません。

その意味は、外から刺激をもらうのではなく、「自分の体の内側から湧く感覚をもっと信じて大事にせよ。そしてもっともっと自分の命を大事にせよ。」という、老子の深い深いメッセージでもあるのです。



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