【詩】曇重
重苦しい鉛色の空から
銀色の水が落ちてくる
飲んでも浴びても死にはしないが
心を殺すには十分過ぎる空である
いっそ降る水銀を全身に浴びて
ジョッキに注いで飲み干したい
洗濯機は轟き暴れ
エラーを出して止まってしまった
暗い明
may cry
命、喰らい
コンクリート製の雲が
排泄物をゆっくり注ぐ
何故貴方は幸せなの?
何故私は幸福なんだ?
考えるだけで吐きそうだ
オート・マティックな人生は嫌だね
気持ちが悪くて嘔吐が止まらないよ
無心で鼓動を続けていれば楽だろう
でも少なくとも僕は有心家であって
人間不信の最果てで仰向けになって
猛毒のベッドに茨の布団で眠るんだ
故に、苦しく
故に、悲しく
故に、楽しい
分厚い服を何枚も着た言葉に追い剥ぎを
お前のその言の葉をありのまま寄越せよ
着飾って騙暗かさなくていいよ面倒臭い
臓物の奥で湿って燻る言葉を
脳
で
繋ぎ
整え
ズブ濡れにして燃やしてやる
予報通りなら明日も世界は暗いのだろう
世界って地球の色んな国のことじゃないよ
俺が見て聞いて味わって感じる世界のこと
光無き深海で泣き続けても答えは出ない
誰かが言ってたな、未知の何かがあると
誰よりも最初に見っけて道を作ろうかな
導かれるがままに、潮が満ちている内に
いつかこの海が干上がったら
眩しいお天道様に手を振ろう
胸を凛と張って、光の果てへ
俺は泳げないから歩いてくよ
始まりの日に初めて終わりが始まって
今、僕はどの辺りまで来たんだろうね
流されて、溺れて、沈んでを繰り返し
八合目くらいまで来たんじゃないかな
あと二十パーセント
愛の炎はもう無いよ
合縁奇縁
ここは深くて暗くて居心地が良いよ
でも、きっと、来ないほうが良いよ
こんなところで過ごすには狭いから
山椒魚
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