「続・扁平の魚」
昔、こんな詩を詠んだ。
此の魚は相変わらず元気である
葉や水槽の苔を食べてくれるそうだ
今日、看護婦さんから教わった。
私は名を呼ばれるまで
眼を覆って眠っている
診察を終えると
この扁平の魚に話しかける
いつも自由に、苔を食み
いつも自由に、泡を食む
「ぺいちゃん、今日も元気かい?」
いつも私は声を掛ける
勿論返事など来るわけが無い
でもね、今日は違ったんだ。
「ぺいちゃん、くっついてるの可愛いよね」
そう声を掛けた
扁平の魚は水槽にぴたりと張り付き
私に口と腹を見せてくれた
心做しか、笑顔に見えたんだ。
私が勝手に、
扁平の「平」から取って
「ぺいちゃん」と名付けた扁平の魚
今日、心が通じ合った気がしたんだ。
ぺいちゃんは確かに私を見た。
ぺいちゃんは私の願いを叶えてくれた。
どんな想いでこちらを見たかは知る由もない。
それでも、ぺいちゃんは願いを叶えてくれた。
ぺいちゃん、また再来週会おうね。
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