【入浴日記】時計

飯の仕込みを終えて
食事を終えて
昼寝を終えて
夕暮れに起きた

具合はすっかり良くなって
元旦に行けなかった初詣に行こうと
いつもの神社へてくてく歩いた

少し前、親父に腕時計を貰った
俺は腕時計が好きじゃない
時間に縛られてしまう気がして
何かに縛られている気になって
仕事でも腕時計はしない

誰かが決めて、誰かが言った
腕時計で身の程が測れるなんて
クソ喰らえ下らねぇって思ってる
現代、時間確認するのなんて
携帯見りゃ分かるだろう
職場に固定時計だってある
仕事中に携帯出すのがいけない雰囲気
そもそもその思考がどうなんだと
傾奇者は思うわけなんです。

でもまぁ折角貰ったもんだし
修理しようかなって思ったら
近場に時計屋があるじゃんか
一度地図を引けば大体分かる
通り道だったので寄ってみた

シャッターが降りていた
一部の外装が剥がれていた
三賀日だから休みなのかな
或いは店閉めちゃったかな
哀愁を抱きながら、また来ようと決めた

初詣
いつもの神社はいつも通り
こじんまりした神社
元旦は甘酒配ったりしてたけど
流石に三日の夕暮れじゃあねぇ

神様に御挨拶と
お話したいことを伝えて
お辞儀をして後にした

家路の途中にある公園で
いつ以来か覚えていないが
ジャングルジムに登った
頂上の俺の特等席で煙草を吸う

空を見上げてみた
夕空は住宅街の奥に沈んで
背中を月光が照らし始めた

どこからが白で
どこまでが蒼で
いつ頃から黒か
分かりづらい曖昧な空
意外と、嫌いじゃない

時間が解決してくれる。
俺はこの言葉が嫌いだ。
自力で何とかしてみろ。
そう思うけど残念ながら
時間しか解決出来ない事もある。

時計屋はもうやってないのかな
折角だから老舗で直してもらいたい
ただの電池交換だけなんだけどね
歴史を重ねて経験を積んだ所が
どうしてだか落ち着くんだよね
しゃらら。