悲しいときは君の名前を呼ぶ

今日も家にいた。
何となくテレビをつける。連日、速報で流れてくる数字。
毎日のように隣り合わせにある、生きるとか死ぬとか。
それは本当は、今に限ったことではない。
なんて、頭では理解しても、心は落ち着かない。

会社を辞めたって、世界は今のところ変わらない。
毎日、同じ景色ばかりを映して終わっていく。
触れたいものに、顔を合わせることすらできない。
いつか終わりがきてしまうのに。
いつやってくるかも分からないのに。
私は今日も、胸を焦がさずに過ごしている。

そしてふと思う。
あれ、私は何が楽しいんだっけ。

大事なことが分からなくなりそうになって、無意識に助けを求めた。
そして手に取っていたのが、DVD。
私のスーパースターが、ステージの上で歌って踊っている。
再生するのは数年ぶりだった。

久しぶりに私の目に映った、スーパースター。
キラキラした衣装を身にまとい、手も足も、一心不乱に動かしている。
たとえ間違えたって、揃わなくたって、夢中で身体を震わせている。
久しぶりに聞こえてきた、数万人の歓声。
声をあげ、飛び跳ねて、一瞬一瞬を目に焼き付けている。

だって、時間は限られているのだ。
今思い切り楽しまないと、あっという間に終わってしまうのだ。

私のスーパースターは、やっぱりスーパースターだった。
それは、目も眩むような光だった。
その一瞬を駆け抜ける、閃光だった。
スターの手にかかれば、どうしたって明るくなってしまうのだ。
進む先を一気に照らされて、私は自分を見失わずに済んだ。

綺麗事だけでは生きていけないけれど。
綺麗事が必要な時だって、ある。

いつだって終わりと隣り合わせの世界で。
いつ誰がいなくなってしまうか分からない世界で。
それでも私たちには今しかない。
今、目の前にある光を、焼き付けるしかない。

たとえ映る景色が変わらなくても、顔を上げて前を見よう。
今、私の目に見えることをやろう。
そしてなるべく、楽しもう。
だって、時間は限られているのだから。
いつか、終わってしまうのだから。

親愛なるスーパースターよ。
今日もあなたに助けられました、ありがとう。

健やかに文章を綴るためにアイスクリームを買いたいです。読んでくれて本当にありがとう。