『百年の孤独』ーー巡る環とその終焉の物語
私は大学で文学を修め、それを後悔したことはない。しかし時折、人文科学というのは、人類が同じことを繰り返し、愚かな輪に囚われるのを観察するだけのいとなみなのではないかと、悲しくなることがあった。たとえば小倉百人一首は百の短歌からなるが、今読んでも5首くらいは共感できる句が出てくるだろう。全く違う環境にありながら人の考えることはそう変わらない。
その一方で、年を経るにつれ、その図形的な美しさを愛するようになったのも事実だった(もちろん、戦争や差別など真に愚かしき行為には終止符