明日はきっと帰って来てくれるかな
the GazettEというバンドを知ったのは中学生の頃だった。V系にハマって、いわゆる「ネオヴィジュアル系四天王」と呼ばれるバンドを少しずつ聴いていたころ。最初に聴いたのは『紅蓮』だったと思う。仄暗く、重く、微かに濁り、それでも美しい、海底のような世界観に惹かれた。この曲のc/wだった『傀儡絵』もまた、歪みながら浄化されるような感覚を味わうことができる。
高校生になると、中学時代より金銭的な余裕が出たので、アルバムや雑誌を買ったりした。特に『TOXIC』と『DIVISION』は何度も何度も聴いた。『DIVISION』収録の『影踏み』が一番好きな曲だ。当時は今以上に人混みが嫌いだったので、ついぞライブに行くことは叶わなかったけど、その分たくさん音源を聴いた。携帯は学校に持ち込み禁止だけどWALKMANは良かったから、通学バスでリピートしていた。もちろんあのロゴをノートに描き写しもした。当時のバンギャあるあるだよね。
当時の私に、音楽以外に真に好きなものは無かったように思う。学校も嫌いで、家族も嫌いで、勉強はそこそこ出来たけど、あんまり好きじゃなかったかもしれない。そして、そんな自分が一番嫌いだった。良いところなんて何一つないゴミクズが生きているのが許せなかった。
でも私は、いまいち自己肯定感を持てないままだが、まだ生きている。それには色んな理由があるのだけど、少なくとも高校時代においては、『TOXIC』とその中の一曲、『TOMORROW NEVER DIES』のおかげだ。時に救いがたいような現状を叫び続けてなお、「The death doesn't give freedom to you(死は自由をもたらさない)」「Spit out pain here(ここに痛みを吐き捨てに来い)」と歌うその曲に、私は何度もこの世にとどめさせられた。
その「命の恩人」の一人、the GazettEのベーシストのREITAさんが昨日亡くなった。2010年前後から聴いているため、平仮名の「れいた」さんという表記が馴染み深い、個人的には。昨年から今年にかけてアーティストの訃報が相次いでいるが、私にとって、the GazettEほど青春時代にリアルタイムで聴き倒したアーティストが亡くなったのは、今回が初めてだ。こんなふうに長々と書き綴っているが、正直、今は何も考えたくない。ただ、彼らが歌うように、「痛みを吐き捨て」たいだけなんだ。
Xにも書いたが、おすすめの曲を挙げておく。『TOXIC』にも収録されている『PLEDGE』。ゆったりとしたバラードなので、よりベースの美しさが際立つと思う。
彼が最後のポストで望んだように、the GazettEは永遠でありつづけるだろう。けれど、彼がそこにいないことがまだ認められない。
REITAさんが安らかに眠れますように。
ありがとうございました。
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